緑の肌の怪人2

 本堂の視界に入っている怪人は3体

 まずはその先端となる怪人にめがけて走り出す。


 しかし、本堂はその走り出した行為に対し、思うように体が動かせれないという違和感に気づく。



「な、どうなっている!?」



 先端となる緑色の怪人は、その持ち得る武器をこちらへと、まさに斬りかからんとしていたが、本堂はその両腕を駆使してその一撃を受け止める。


 受け止めた先は火花が飛び交うほどの威力であったが、そのままその武器を受け流す形として、ついで追撃を避けるべく後ろへ飛び去った。



「ちぃ・・・やはり、亜空時空の影響が続いているか・・・」



 先ほどまでいた亜空時空という空間において、本堂自身が持っているエネルギーが消費され続けた結果、いままさにその力を発揮できずにいるのだと、本堂はそう判断した。


 そうなってしまうと、このままでは不味い。


 戦闘力としては、エネルギーの充填が十分である時であるならばいざ知らず、現状の状況でドン・ガバメンとの戦闘で負った傷が治り切れていない、いうなれば五体満足ではない状態で怪人を相手どるのは聊か不利であったからだ。


 しかも、目に見える範囲において、構成される戦闘員の存在が確認できていない為、どこかに隠れている可能性があるのではないか?と本堂は警戒を強める。



「ギギギギ・・・」

「ギャギャ!!」



 警戒を強めた本堂だったが、緑の肌の怪人たちは先ほどのこちらの戦いを見て警戒をしたのか、今度は二人組がこちらに襲ってくる形となった。



「くっ!!」



 同時、というにはいささか異なるが、本堂としては迫りくる相手の武器を火花を散らしながらその腕で受け流して直撃を避けるのが精いっぱいであった。が、その受け流しの際に相手の横腹へと蹴り技を入れる事には成功する。


 相手腹部へといれた蹴りにより、緑の肌の怪人はもう一体の方へとその身を飛ばし、その勢いをぶつかる事によって相殺する形となったが、それがもう一体の持っていた武器がその体に埋もれていくには十分であった。



「グギャァァァァァァ」



 断末魔の様な叫び声が聞こえたと思うと、緑の肌の怪人の一体はぐったりとしていった。

 そんな怪人を、もう一体の怪人はまるで物でも扱う様に振りほどき、ドサリとその倒れこんだ怪人はそのまま緑色の液体を垂れ流し続け、痙攣をしたかと思えば動かなくなっていった。



 これで残り2体。

 うまく相手の力を利用する事が偶然にも叶った事に、ようやく本堂は少し戦闘の感を取り戻し初めていた。



「ギャギャ」

「ギャ・・・ギャ・・・」



 緑の肌の怪人の二体は、お互いに何かを示し合わすかの様に会話をしており、意思疎通がとれるという状況をみて、本堂はより一層の警戒を深めたのだが、その警戒とは裏腹にその怪人2体はゆっくりと後ろへ下がると、その体を生い茂る藪の中へと消していった。



「ま、まてっ!!」



 本堂は逃がすまいと後を追ったが、追った藪の先にはもう怪人の姿を望めることはなかった。



「逃げられた・・・か。深追いは・・・すまい。今は負傷者の事が先決だ。」



 本堂はそう判断を切り替え、先ほどから怪我を患っている白人の二人の元へと赴く。

 二人の白人からは、警戒をあらわにする姿勢をとっていたため、言葉が通じるかどうか迷いはしたが、出血による朦朧なのか、男性の方は女性に支えられながらこちらを警戒しているという恰好であった。



「大丈夫だ。今から治療を施すから、安心してほしい」



 そういって、片方の手をその白人男性が負っている傷に対して手を当てていく、そうするとその当たった手のひらからは、赤い光とともにその傷が少しづつ消えていき、苦痛に歪んでいた白人男性の表情が幾分か和らいでいった。



 トライブの機能の一つに、ナノマシンによる治療能力が備わっている。その能力を使用することにより、トライヴ自身の傷に関しては処置が施せる形となる。



 これは自身のメンテナンスを一手に引き受ける能力でもあり、また他者に対してもトライヴが直接触れている間において行う事ができる代物である。


 しかし、いま行っている内容が、いつもよりも治療速度がはやまっていることに本堂は疑問を抱きはしたものの、彼の生命を救助できるという事が先決であるとし、その疑問に対して考えることをやめた。



 おおまかな応急処置が終了したとき、本堂はその手を放し、その姿を確認する。


 見た目的には、先ほどの外傷があったというのがウソの様に治っており、また刃物傷により痛んでいた衣類ももとに戻っていた事に、機能的には問題が発生していないという安堵感がもたらされたが、他に傷が無いかと思い



「どうだ?これで傷は治ったと思うが・・・ほかに負傷している場所はないか?」



 そう聞き返す。

 しかし、その問いに対して、本堂はおどろくべき回答をもらう。




「Vi...Vi estas, iu ajn...?」


 先ほどまで白人男性を支えていた女性は、今度はその男性をかばうかの様に前に出でてきて、その口からその様な言葉が紡がれた。


 紡がれた言葉に対して、本堂はというと



「まいったな・・・言葉がわからない・・・」



 本堂の耳に聞こえたのは、本堂自身が聞いた事もない言葉であった。



「やはり、ここは日本ではなかったか・・・」



 疑問が確信に変わった事に、本堂にとっては信じたくない状況であるには十二分であった。




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○説明しよう!

トライヴの能力の一つ、治癒能力

これはトライヴ自身が持っている自己修復ナノマシンを利用した能力であり、

トライヴが持っている未知エネルギー変換炉のエネルギー供給により、

トライヴが触れている間、自身の治癒・修復が行える。


ただし、他者や他の物に対して行われる場合は、

トライヴがもつ未知エネルギー変換炉が|戦闘モード(フルドライヴ)状態でなければならない。


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