#1:ストレンジャー・ヒーロー

緑の肌の怪人1

 意識を取り戻した本堂の目に入った光景は、先ほどまで自身が存在していた場所とは異なる内容であるというものであった。


 そして、意識を失う前には枯渇していたはずの活動エネルギーが、何故か満たされているという事を感じながら、ゆっくりと体を起こして立ち上がり、



「ここ・・・は・・・?」



 あたりを一瞥した本堂から漏れた第一声は、誰かに問いただしたいという意思が含まれていた。

 なぜならば、それは先ほどまで自身が体験し記憶していた場所とは全くかけ離れたものであったからだ。



 先ほどまであたり一面にあったのと言えば、無機質なモノともいえるのか定かでないものばかりで、空も青くはなく、灰色とも黒色とも白色とも混じった物という物であり、一般的な空と言われる物とはまったく違うものであった。


 だが、今現在本堂の視界に入ってくるものは、背の高い木々がまばらにならんでおり、その隙間からは青い空とそこに流れる白い雲の存在が見えていたからだった。



「外に、出られたのか?」



 本堂は、その空に流れる雲を眺めてからまるで自問するかの様につぶやく。


 どうやってかは解らないが、あの空間から脱出できたのだろうと思ったのだが、「お前はいつも短絡的だ。少しは冷静になれ」という友の言葉を思い出し、外ではない別の何かである可能性も考慮する。



 しかし、起き上がってから周囲の木々を触れた時の手の感触は、本堂が記憶している感触となんら変わりなく、落ちている葉や土などの香りも、本堂が知っているソレと全く同じモノでもあった。



 辺りの状況を冷静に観察し続け、最終的に"亜空時空からはどうやってかは解らないが、とにかく脱出できたもの"と判断した。



「しかし・・・どうやって脱出できたのか・・・」



 本堂は思考してはみるが、結局答えなどでるものもなかったのだが、すぐに気持ちを切り替え、



「仕方がない、今はこの場所がどこかを知る事が先決だ。」



 まずはこの森ともいえる場所を出る事。そしてこの場所がどこであるかを確認することが先決であろうと考え、その場を後に歩き出した。


 しばらく木々の間を歩いていると、ふと、気になる事があった。


 木々の内容が日本のそれと異なっているという事に気づいたからであった。



 針葉樹なのだろうが、それらがまるで巨大な大木の森とでもいうのか、一本一本がその大きさ日本の山間部とはまったく異なる太さが、かなりの数存在する事に気づいたからであった。


 これらは、どうみても植林で行われたものではなく、自然と育った場所であるという印象をうけるのだが、日本という土地の中でその様な場所に思い当たる知識がなかったため、本堂としては日本であってほしいという願いが膨れ上がってきていた。



 疑問や懸念を抱きながらも、森を抜けようと移動してしばらく進んでいた頃に、本堂の耳に人の叫び声の様なモノが入ってきた。


 人の声、というにはいささか聞きなれない音でもあったのだが、その音は獣が吠える雄叫びといえるソレとは異なる事ぐらいは判別できていた。


 そして、そのそれらしい人の声が聞こえたという事は、少なくともこの近辺には人が住むという地域であるという事なのだろうとも感じていた。



 だが、叫び声に交じるかの様に、怒声や悲鳴らしき声が入ってきた事で、本堂はその声の主に何らかの事態が発生したのではないか?と思案していた。


 もし、野生の熊かイノシシか獰猛な獣が存在し、それに偶発的に発生でもしたのだろうか?と思いつつも、その悲鳴が聞こえてきた場所へと急ぎ移動を開始する。




 しかし、その声の主だと思われる人物が視界に入った際、本堂が予想した獣という予想は見事にハズれることになった。




 その声を荒げた人物の先に視線を向けた時、本堂の目に入ったのは声を上げた人物たちに向かって刃物を持った子供ぐらいの大きさの緑の肌色をした複数の人型の存在だったからだ。




「まさか、ザ・リークの怪人か!!」




 襲われている人物をひとめみた感じでいえば、どうみても日本人ではない。


 欧州人とでもいう顔のつくりをし、さらにブロンドの髪をなびかせていた女性と、同様に傷をおってはいるがブロンドに青眼という白人男性がいたからであった。



 本堂は、一瞬ここは日本ではないと思った。


 そして、ドン・ガバメンが世界中に組織がある様なことを言っていたことを思い出し、ドン・ガバメン亡き今、他の支部ともいえる組織が存在し活動し続けていたとしたら・・・



 いや、"今はこの怪人を倒し、彼らを助けるのが先決だ"と思考を切替え行動にでる。



変身イグニッション!」



 本堂があるポーズをし、キーとなる言葉を叫ぶことにより、戦闘モードへとその体が瞬時に変わる。


 変身したその姿は、紅色の全身鎧をまとった兵士のごとくであったが、その重厚そうな見た目とは裏腹に、まるで軽業師の如くの動きで、その怪人と白人の人との間に割り入る。




「ザ・リークの怪人ども!無抵抗な人間に対してのこの非道、このトライヴが許さん!!」




 本堂はそう叫び、緑の肌色をした怪人へと目がけ、さらに走り出した。





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緑の肌の怪人

・ゴブリンさんです。


○説明しよう!

トライヴは、とあるポージングと変身イグニッションというキーワードを口にすることにより、

その体内に存在する未知エネルギー(名称は現在未定)変換炉を活性化させ戦闘モードへと移行する。

その際、生み出された過剰エネルギーを利用し、体内に存在するナノマシンの自己増殖が促され、

さらに戦闘モードフルドライヴ状態へと形状変化を起こしその身を包み込むのである。

その変身プロセスはコンマゼロハチ秒

では、その変身のプロセスをもう一度みてみy(略


(※CVはあの声でお願いします。)



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