第一三話 死人の村

 

 連係した死人たちとの死闘の末に生き残った腐餓鬼は、今ある場所に訪れていた。


 そこには、朽ちた廃屋のような小さな小屋が十二、三並んでいた。

 

 村だ。


 地獄のように餓鬼が溢れかえり、死人が闊歩する世界にも村が存在していたのだ。


 腐餓鬼が訪れた。ということは、その村は腐餓鬼たちの村かに思われたが違っていた。


 なぜならその村の住民たちが皆、ボロボロの死に装束を身に着けていたからだ。


 この様子からして、この村は先に腐餓鬼に襲い掛かった死人たちの村であるらしかった。


 家屋の数からして、村人の数は、十二、三人から、五,六十人ほどといったところだろうか? 


 死人の村の入り口にたどり着いた腐餓鬼は、大口を開けると巨大な咆哮を発した。


「があああああああああああああっっ!!」


 腐餓鬼のスキル『威圧』だ。


 いきなり村の目の前に現れて、スキル『威圧』を浴びせかけられた死人たちは、腐餓鬼との力の差によるものか、前に俺が腐餓鬼の威圧を受けた時、いやそれ以上に恐怖で体を強張らせて、動きを停滞させる。


 もちろん腐餓鬼がその隙を見逃すはずもなく、動きを停滞させた数十の死人たちに向かって突撃すると、野太い腕を振り回して死人たちを薙ぎ払う。


 腐餓鬼の薙ぎ払いをまともに受けた死人たちは、ある者はそのまま吹き飛ばされ絶命し、またあるものは、腰骨や腕の骨足の骨や肋骨などをあらぬ方向に曲げられて、その場で倒れ込んでしまう。


 そうしてその場で倒れ込んだ瀕死の死人たちは、当然の如く腐餓鬼によって、生きたまま丸呑みにされていった。

 

 もちろん廃屋のような家屋の中に隠れ、潜んでいた死人たちも、家屋ごと腐餓鬼の体当たりや薙ぎ払いを受けて、吹き飛ばされたり、家屋の下敷きとなっていった。


 腐餓鬼はそうした死人たちも、一人残らず丸のみにしながら、死人たちの村を蹂躙した。


 これは先ほど死人たちによって、狩られそうになった腐餓鬼の復讐であった。

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