第十一話 強制パワーレベリング

 あれから三日が経過した。


 未だに俺は腐餓鬼の腹の中にいた。


 というのにも理由がある。


 今の俺でも多分腐餓鬼の体から抜け出すことはできるだろう。

 

 だが、もしもその後腐餓鬼より強いものに遭遇し、さらにそいつが俺のスキル『物理無効』を貫通する腐餓鬼のもつスキル『風圧』の上位版や、力の差の有るものの動きを鈍らせる『威圧』をもっていた場合、俺は死ぬ。多分至極あっさりと。


 まるで、誰かが蝋燭の弱々しい炎を、一瞬で吹き消すかのようにして。


 だから俺は、腐餓鬼の腹の中から出る前に、ある一定以上強くならなくてはならない。


 少なくとも、腐餓鬼の俺の『物理無効』を通過するスキル『風圧』や『威圧』を無効化出来るぐらいには。


 そういう理由もあって、未だに俺は腐餓鬼の腹の中にいた。


 もちろんネットゲームなどで有名だったパワーレベリングとやらをするためだ。


 腐餓鬼の腹の中にいて、俺がどうやってパワーレベリングをやるのかというと、その答えは今俺の目の前にあるこれだ。


 そうそれは、腐餓鬼が己の腹を満たすために狩りをして、止めを刺さずに自らの腹の中へと手当たり次第に放り込んだ餓鬼や死人たちだ。


 腐餓鬼は、なぜかはわからないが、自分が狩った餓鬼や死人に止めを刺さずに丸のみにする癖がある。


 そのことを、腐餓鬼に生きたまま丸飲みにされたあとに腹の中に落ちてくる死に損なった餓鬼や死人たちを見て知った俺は、弱った彼らに止めを刺してみたら、案の定俺に経験値が入ったために、この三日間というもの腐餓鬼の踊り食いを利用して、せこせことレベル上げをしているのだった。


 そのおかげで俺のレベルは、この三日間でそれなりに上がっている。

ちなみにこれが今の俺のステータスだ。


 名前 なし

 種族 火の玉族 大火(無機物)

 状態 並


 レベル 8/20

 HP 32/32

 MP 24/32

 攻撃力 0

 防御力  0

 素早さ 4

 呪力  18


 耐性

 耐火 +35

 耐水 -


 スキル  火の粉   レベル5

      浮遊    レベル5

     火の玉特攻 レベル2

     大火    レベル3


 特殊スキル 物理無効

       

 特性スキル 燃え移り レベル4

       寄生   レベル3

 称号 集団殺し

    残虐

    無慈悲

    狡猾

    うかつ 

    

 装備 なし

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