服と食事には金を惜しむな! 04
「うん、やはり君は俺の妹の資格を持っている!」
「変な服......」
やはり、猫耳美少女にはゴスロリだよな、うん、ゴスロリだ。
《おい、チャイナは無いのか! キワドイチャイナはないのか!!》
(和服を所望する! 文系としては和服を所望する!!)
世界観を考えろ、今あるものを最大限に活かし、そして、着飾る。そうさ、オイラ達はコーディネーター、一人の女の子をお姫様にする天使。
《天使と表現するには脳内がお下劣すぎると思うのだが?》
(それは男の性だろ、わかるか、理系)
わかるだろ、男だし。
「で、どの服が着やすい?」
「......これかな?」
流石は我が妹、初っ端から最大級の戦闘力を誇る服を選びやがった......。
《その名は――》
(童貞を殺す服!!)
流石は我が第二の妹、兄貴の性癖をよく理解してやがる。これは長旅は危険だな、だが、オイラは紳士だ。そう、紳士、そうさ、そうなのさ、そうでありたい。オイラは紳士なんだよ!!
《落ち着け! 水温と油温が上がりすぎている!! クールダウンするんだ!?》
(これは、暴走? いや、覚醒だな......)
「でも、尻尾が出ないから着にくい......」
「スタッフ―! スタッフ―! 尻尾が出るように仕立て直せ! 金は出す!!」
さて、美少女をラブ&ベリーにするのは最高だよ、最高だ。
《可愛いは正義! 可愛いは暴力! 可愛いは愛! カワイイは俺の翼だ!!》
(やべえ、ロリっ子の困り顔で心の汚い部分が浄化されていく......)
やめろ! 消えるな!! お前達がオイラの汚い部分を集結して作られた人格だということは誰よりもよく理解している! だが、消えてしまったら誰と会話すればいいんだ......。
《(いや、ミャーと会話しろよ! おまえにはその権利があるんだぞ!?)》
しーましぇん。
「洋服は嫌いか?」
「動きにくい......」
「すぐに慣れるさ」
「兄者は服、買わないの?」
「女物の洋服しかないから、男物の洋服がある場所で一緒に買おうか」
いや、いっそのこと女装して旅をするか? シャブ中共に見つからないように.......。
《別に見つかっても対処できるだろ、体育会系という最強の体を持ってるんだから》
(そうだ、服装くらい自分の趣味に合わせようぜ)
でも、オイラの服の殆どが母ちゃんが勝手に買ってきてくれたものだし、美的センスというものを理解できないんだよなぁ......。
《それでも、美少女のコーディネートは出来ると》
(都合の良い話だ)
おまえらさあ、男のコーディネートと美少女のコーディネートは別物だろ、同意義にしないでくれよ、オイラ怒るよ、激おこだよ。
「尻尾が出て、動きやすい......」
「よし、これで楽しい旅が出来そうだ」
「うん......」
さて、次はオイラの服を調達して、最低限の食料とかを購入したら出発の準備だな、これで異世界一周旅行が出来る。
《まあ、所詮は旅行、楽しむのが吉ってやつだな》
(じゃあ、元の世界に戻れたらこの世界のことをラノベにして売ろうぜ、小遣い稼ぎだ)
お小遣いは大事だからな、そうだ、バイクの免許を取りに行って、夏休みに北海道に旅しに行くか?
《(いいねぇ~)》
「よし、俺の服を調達しにいこう」
「わたしが選ぶ......」
「マジ? 兄者嬉しいなぁ~」
あの、ミャーさん?
《流石にこれは恥ずかしいな......》
(つか、結構、高級な店なのにこの服は何よ?)
「青いツナギ......」
「機能美に優れたとても素晴らしい服!」
これ、確実に目立つだろ、目立ち過ぎて逃げられないだろ。
《だが、ミャーはこの服を指定した。この服を購入する他ないだろ》
(逃亡生活が少し忙しなくなるだけだ。受け入れよう)
まあ、その程度なら、まあ、どうにかなるか。
「お客様もお目が高いですねぇ~このツナギは特殊な魔法がかけられていて、どんな場所でも暖かく、涼しく、動きやすいものになっています」
超高機能だな、そら、高級店に陳列されてるのがわかるぜ。
《でも、見た目は安っぽいツナギなんだよなぁ》
(それでも、これが選ばれたのだ。これにするしかない)
「いい買い物したね」
「ああ、我が妹よ、この服装を見てどう思う?」
「ん? カッコイイよ」
流石はドライ系の妹、あの伝説の名作の言い回しを使わないのか......。
《その以前に知らないだけだろ》
(凄く、大きいです......)
まあ、これで札束の量が残り三束になったから動きやすいな。
(でも、三束あれば衣食住には困らない)
《俺達の冒険はこれからだ!》
理系、おまえはいつもすぐに冒険を終わらせようとするよな? 冒険したくないの?
《いいだろ、お約束だろ》
(一理あるな)
まあ、それもそうだよな。
「さて、妹よ、お腹すいてないか?」
「凄く空いてる。あの豚野郎はパンしか食べさせてくれなかった......」
「よし、飯食ったら奴隷商を殺しに行こう。俺の妹を栄養失調にしようとした奴は絶対に殺す。確実に殺す。聖剣の忘れ形見で殺す」
さて、ハンバーグを食べよう。
《いや、ステーキを》
(ここは、ビーフシチューを)
なんか、文系だけ妙にオシャンティーな選択だな、気取ってる?
《まあ、文系は若干のナルシ入ってるし》
(ただ、ビーフシチューを心から食いたいと思ったらいけないのか?)
一応、オイラ、冴えない高校一年生だったわけだし。
《一応、俺、冴えない高校一年生なわけだし》
(そして、私も冴えない高校一年生......悲しくならないか?)
『《(なるなる!)》』
「何食べる?」
「焼き魚定食......」
「渋いな、ミャーちゃん渋いな」
まあ、猫だし。
《猫だもんな》
(猫ですもの)
じゃあ、オイラ達は何食べる? 選択肢は三つだけど......あれ?
「すみません、レバー野菜炒めに鶏ささみ、あとは茹でブロッコリーを大量に......」
......え? 体育会系?
《......え? 体育会系?》
(......え? 体育会系?)
『《(体育会系が無意識に注文しやがった!?)》』
「美味しい......」
「うん、美味い、美味いよ......」
体育会系、おまえは絶対に封印してやる......。
《俺達をボディービルダーにしようとしている体育会系は必ず封印しなければならない》
(美食な私達の精神的な衛生のために......)
その後、八つ当たりで奴隷商人を傷めつけた。
《まあ、予定だったし》
(気持よかったな)
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