1-3.新入り

竜兵と別れてから来た道を戻る。


武装管理室は直接執行部の人しか基本的に使わない。よって直接執行部の班室のすぐ傍にある。


ちなみに長官室は魂魄管理局の建物の最上階。直接執行部は緊急出動することも多いため、待機室でもある班室も一階にある。


つまり班室から長官室は相当遠い。


武装管理室の前に着く。苛立ちと疲れを込めて荒めにドアを開く。


「……それとここには暴徒鎮圧にも使える催涙ガス弾とかが……あ、羽月ちゃん。遅かったね」


長官、ここ魂魄管理局のトップだ。


「人を呼びつけるなら場所も明示して欲しいですね。長官室までは遠いですし」


「あ、確かにそうだね今度から気をつけるよ」


精一杯の皮肉も通じた様子はなし。


「それで用件なんですけど、大和くん」


長官は後ろの男を呼ぶ。


「先月一人異動したでしょう、その補充人員です」


私は初めて彼を注視した。やはり背が高い。190cmはあるんじゃないか。


髪は長めでボサボサ、あまり気にしていないのだろう。顔つきは整っているのに少し損してると思う。


体は細身だが筋肉はしっかり付いている。


「草薙大和(くさなぎ やまと)っす。これからよろしくっす」


「こちらこそ。どこかの地方支部からの異動ですか?」


「いや、彼は新人だよ」


今は新規採用の時期からはかけ離れているが。


「それは珍しいですね、局長自ら案内してるのも謎ですし」


「色々と訳ありでね。

大和くん、こちらが君の配属先の違法魂魄対策課直接執行部羽月班の班長、羽月華澄。

君の直属の上司だよ」


「えっ」


大和がまじまじと私を見てくる。


「この人が上司なんすか?!てっきり局長の孫でその相手でもさせられるのかと!?」


「いきなり失礼ね?!これでも四捨五入したら三十路なんだけど!」


「嘘だっ!ランドセルでも違和感ないっすよ」


「羽月ちゃんのことは孫のようには思ってるけど」


「局長まで……やめてくださいよ……」


「とりあえず僕は戻るから。後よろしくね」


そそくさと局長は部屋を出ていった。


「あー、えっと……」


「大和でいいっすよ」


「じゃあ大和、とりあえず」


そのときアナウンスが。


『緊急出動要請です。羽月班は至急班室に集合してください。繰り返します……』

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