二通目

【なぜ雨天であれば、泣いているという比喩になるのだろう】


天の邪鬼な自分には、さながら合わない言葉ばっかりだ。


だれかが泣いていたのなら、きっと自分がかなしくても涙は引っ込んでしまう。

いつからそんな不器用な自分になったのだろう。


だれかと比較ばかりしてしまって、そんな毎日はくるしくて、くるしくて仕方がない。


ほんとうに泣きたいのは、いつだって自分だったんじゃないか。


だれかが言った。

あなたが泣かないから代わりに泣いているんだよと。


自分で泣かないかぎり、そんなの意味がない。

なにひとつ解決していないじゃないか。


この溜まった感情をどうしよう?

ねぇどこに吐き出そう?


だれかに言えば、だれかを傷つけて、言葉にすればナイフになって人の胸を刺して、音にすれば人の耳を汚して、視線に宿せば呪われたとなる。


なにも話さないで聞かないで見ないことが解決方法だ。


ただひたすら自分のなかに落としていく。


受け入れるしかない。

すべては自分が吸収する。

うれしさも怒りもかなしみも。



「たのしさ」は、どうなんだろう。

「たのしさ」くらいは、共有できたっていいのに。


うれしさはだれかには皮肉に取れて、怒りは暴力的で、かなしみはあまりに鬱陶しい。

けれど、「たのしさ」って罪があるかな?


しかしながら、どのような感情だって、時と場合によって、人には居心地がよくなるものだ。


あなたの好きな感情は、どれですか?




【いったい何をどうしたいの】


自分のしたいことって、なにかなぁ。

なんでこんなふうになっちゃったかなぁ。


完璧な生き方なんて出来ないのにね。


ね、不器用なままでいいよね。


もう、そのままでいいや。




【笑われてりゃ本望】



こんなのはもうさぁ…


ほんとうに、からだが持たないよ。


いったいなにを求めてるの?って尋ねたいけれど、それじゃ結局いつものわたしだ。


すぐにひとの意見を受け入れてしまうわたしだ。


自分がどうしたいかが大事なんだ。


でもそもそも自分の意見って、あったっけ?


人の意見を押し退けてまで推し進める自分の意見なんて持ち合わせてないよ。


明快な回答なんて聞きたくもない。



【役にも立たないこの手】


ほんとうのことを求められていない、つらさ。


どうせ道化しか求められていない。


フィクションばかりの世界のノンフィクション。


どれが現実でどれが虚構なのかね。


わたしの本質なんぞ見られていない。


それでも今まで見ていてくれた謎。

すべて受け入れてくれるのかと思いきや、突きはなす冷たさ。


ねぇ、わたしはどこに向かえばいいのかな。



【だいたい、愛がない】



見てはいけないものだったのかもな。


知らなければよかったな。だからこんなに切ないんだろうな。


あの人はそういうふうに見てた。

わたしをそんなふうに見てた。


どうしようもなく切ない。ひどく切ない。


あの人だから、そういうふうに見れたのかな。


それなのにやさしくしてくれるのはどうしてだったのかな。

同情なのかな。

それとも仲間に対する表向きな態度だったのかな。


そうだとしたら、わたしはまた人間不信のどん底に堕ちていくんだね。


どうかもうこれ以上わたしに地面を這わせないで。


もうつらいよ。本当につらい。


【得体のしれないもの】


気になるときは仕方がない。もう気にしてしまおう。

抗ったところで仕方がない。


どうせ気になってしまうのだったら、なにも違わないでしょう。


知らないふりができたらどんなに楽なのかな。

知ってて知らないふりっていうのは、案外むずかしいな。


でも知らない自分がいるっていうのもなんだかイヤだな。


やっぱり知りたいって思っちゃうんだろうな。


その気持ちの行き着く先にだけには、気付かないふりをしておこうかな。




【わたしの脳内環境】



なんで見たいと思ってしまうのだろう。


見なければ気にならないはずなのに。


ほらやっぱりどこかで気にしている自分がいるのでしょう。


なぜ割り切れないの?どうしてそんなに執着してしまっているの?


この関係は、きっとなにも生まないよ。


よくわかっているよ。都合よく利用されているだけなんだろう。


わかっているのに、何で何で何で何で。


恋の病って、ほんとうだ。



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