第80話 学園初日

海たちは、王に言われた通り学園に来ていた。今は、学園の校門らしきところに立っている。学園の外観は、白を基調とした城の様な立派な外観だ。大きさで言えば、かなりのものだ。


カレビ帝国の中心部近くにある学園。カレビ学園は、カレビ帝国の10代の様々な人間が集められ、勉学や武道などを学ぶ学園だ。

スポンサーは、この国の王マァカス自らが行っているため、中には大きな芝でできたグランド、大きな体育館、学生なら食べ放題の食堂など、かなりの好条件の施設が整っている。因みにすべて無料だ。

そして、海はというと...


「激めんどくさい!!うんこしたくなってきたわ!!」

「もしかしてお兄ちゃん緊張している?」

「し、してねぇ~し!!そんなんするわけなじゃん!!」

「海!!緊張したら、手のひらにシャルちゃん愛してるって書けばいいわ!!そしたら緊張が和らぐから!!」

「そうか...」


海は、手のひらに「メンヘラ嫌」と書いて飲み込んだ。


そして、シャルロッタ、海、ドロップ、サカナ、楓は学園の校門をくぐるのだった。





真新しい教室に、入っていく海。

海はシャルロッタ、サカナ、楓、ドロップとは、違う教室になったのだ。それもそのはず、5人固めてしまえば明らかに悪いことが起きると王も分かっていたからだ。


海が、教室に入ると...


世紀末の様な格好をした奴らが思い思いのだらしない格好で椅子に腰かけていた。


「...間違えました...」


海は、そっと扉を閉める。


「これは、あれな...教室どころか、世界間違えたって感じだよな...きっとそうだ。そうに違いない...」


海は、現実逃避をした後、曲がれ右をする。


しかし、そんな海の肩は何者かによってがっしりと掴まれた。


「待つんだ。君が鈴木海だね?」


海は、その野太い声に振り向く。すると…


ガチムチの世紀末ファッションの男が立っていた。


「イッワッシャアアアア!!」


海は、世紀末的な叫び声をあげた。


「失礼な奴だな...私が、この教室の担任を務める。タナカ・タロウだ」

「なんだよその例文みたいな名前は!!世紀末ファッションするような名前じゃないだろう!!例文見たいに生きやがれ、この野郎!!」


普段はふざけてばかりの海が、素早く突っ込みを入れる。


「いいから教室に入りたまえ...」

「いや...へ?ボクノキョウシツココデスカ?」


思わず片言になってしまう海。


「勿論!!君はこの社会のごみ溜めが集められるクラス、Gクラスに転入してきたんだ。因みにGクラスのGは、ごみのGだ」


タナカは無駄にさわやかな笑顔を浮かべて言った。





世紀末の教室に入った海は、初めの自己紹介のために壇上に立たされていた。

先ほどまでの海は、学校という女の子がたくさんいる場所に若干期待を寄せていたが、今の海は期待どころか、すぐにでもワープを使って家に帰りたい気分だった。


「あの...鈴木海ですよろしく...」


一気にテンションが下がった海の簡素な自己紹介に、世紀末たちのブゥイングが飛び交う。


流石に、イラっとする海...。


「文句があるやつ出てこいや!!ぶっ殺してやるよ!!」


世紀末たちと、同じレベルで挑発する。


「上等だゴラッ!!表に出やがれ!!」

「やってやろうじゃないか!!てめぇら全員泣かしてやんよ!!」

「あの~授業...」

「黙ってろ!!タナカ!!」

「ヒッ!!」


海の恫喝に怯えるタナカ。


これが、異世界ファンタジーから、ヤンキー漫画に代わる瞬間だった...(嘘)





学園の中庭に出た海と、世紀末たち...。


決戦は一瞬にしてついた。中庭に出て2秒もたたないうちに、世紀末たちのゴミの山が出来上がったのだ。


「これぞ、Gごみクラス」


海の登校初日は、こうして幕を下ろすのだった...





因みに楓たちは、普通のクラスに配属されたので、普通に学園初日を迎えることが出来たのだった。





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