第59話 新しい乗り物をゲットしたよ

前回のあらすじ!


街一個滅ぼしちゃいました。テヘペロ!


死神代行楓ちゃん!がんばります!



私たちは、魔族の国カープを滅ぼしました。もちろん、ぶっころしたのは襲ってくる人だけです。無抵抗な人は殺してないですよ。


そして、私は今カープ城の王様が座る椅子に座っていました。


「皆の者控えろ~~とか、一回やってみたかったんだよね~」


私は、無駄に豪華な椅子に座りながら言います。誰も反応してくれなかったので若干虚しかったですが...


「さて、皆さんこれからどうしますか?」

「とにかく、海を助けに行きましょ!」


私の問いかけにシャルロッタさんが元気に答えてくれました。


「そうですね、お兄ちゃんのことは若干忘れてましたけど、そろそろ助けにいきましょうか」


こうして、私たちはお兄ちゃんを助けるべく、旅を再開したのでした。


・・・・・・・・・・・・・


私たちは、魔力自動車に乗り込んでサキュバスがいると言われている、魔王城に向かって移動していました。相変わらず土色の大地がただひたすら続く、つまらない景色です。各々魔力自動車の上で暇な時を過ごしていました。サカナさんは運転、ドロップさんは爆睡、シャルロッタさんはなぜか筋トレ、私はというとネットの繋がっていないスマホをいじいじしていました。


そんな適当な時間を過ごすこと、半日


私たちの乗る魔力自動車の進路に、何かが立ちふさがっているのが見えました。


「シャルロッタ様何か見えますが?」


運転手のサカナさんが、いち早く気づきました。そいつは、顔が青く頭に角をはやしたデカ物でした。


「そんなもの、蹴散らしてしまいなさい!!」

「アラホラさっさ~」


サカナさんはスピードを緩めることなく、立ちふさがるものに魔力自動車で突っ込みます。


「ちょっと、待て!」


デカ物がなにか、言っているような気がしますが当然無視。と、思っていましたが、魔力自動車がデカ物にぶつかった瞬間に止められてしまいました。


「何?私の進行を妨げようって言うの?身の程を知りなさい!サカナ全力で自動車に魔力を注いで、引き殺すのよ!」

「アラホラさっさ~」


シャルロッタさんがサカナさん命令し、魔力自動車のタイヤが高速にスピンし始めます。じりじりと進行を妨げるデカ物を押しています。応援しましょう!


「頑張れサカナさん!よく分からないけど潰しましょう、その方が面白そうです!」

「任せろ!楓殿うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


サカナさんが、雄たけびを上げた時、とうとうデカ物は根負けしたのか、魔力自動車の下敷きになる様にして、倒れていきました。


「やったわ!よくやったわサカナ!」

「身に余るお言葉」


シャルロッタさんがサカナさんをなでなでしていると、下敷きになったそいつが、遠くで立ち上がるのが見えました。


「シャルロッタさん、なんかあいつ立ち上がってますよ...」

「しぶといわね、ゴキブリ並みの生命力ね・・・」


そして、デカ物は赤い光線を出してこちらに攻撃してきました。やばっと思った時には、もうすでに遅く、魔力自動車に直撃…


「「「きゃあああああああああああああ!」」」


私たちは、魔力自動車から叩き落されます。私は、見事地面に着地しましたが、他の皆さんが心配です。


「皆さん大丈夫ですか!」

「大丈夫!でもサカナが、地面に叩きつけられて気を失ったわ・・・」

「ハイパーキュア!」



私は、急いでサカナさんに回復魔法を掛けましたが、意識が戻りませんでした。


「zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz」


ドロップさんは相変わらず爆睡しています。


「許さないわ、この私に土を被せるなんて!ひき肉にしてあげる」


シャルロッタさんが板前包丁を片手に、地面を蹴りデカ物に立ち向かいます。


「死ね!」


シャルロッタさんの渾身の板前包丁切りが、デカ物を切り裂こうと振り下ろされますが、板前包丁は空を切りました。


「なに!?」


突如消えた、デカ物どこだ?と探していたら、いきなり私の目の前に現れました。突然のことで驚いた私ですが、エクスカリバーを抜刀して、横なぎに切りつけます。

しかし、またもや攻撃は空を切ります。


「ウザ!シャルロッタさん、私の後ろに来てください!一気に蹴散らします」

「分かったわ!」

「させるか!」


シャルロッタさんが、後ろに後退しようとした瞬間、赤い光線がシャルロッタさんの真上から降り注ぎました。


「きゃあああああああああああああああ!!!」

「シャルロッタさん!!」


私は、かなり心配しましたが、そんな心配無用だったようです。ピンピンしたシャルロッタさんが土煙から現れました。シャルロッタさんが着ていた白い服はびりびりに破れて肌がところどころ露出してましたが...


「もう許さない、この技は楓ちゃんと戦闘用に取っておきたかったんだけど」


そう言うとシャルロッタさんは、びりびりに破れた服の上着を脱ぎ棄てました。そして、シャルロッタさんのインナーをみると、大量の板前包丁がセットされていました。


「殺すわ」


シャルロッタさんがそう言った瞬間、大量の板前包丁がシャルロッタさんの元を離れ、宙に浮き、地面に降りたったデカ物目掛けてものすごい勢いで飛んでいきます。まるで、ファン○ルみたいです。


「甘い!」


と言い、デカ物はまた姿を消しました。しかし、


「ぎゃあああああああああああ!!!!!」


消えたと思っていた、デカ物に大量の板前包丁が突き刺さっていました。


「決まったわ!新技「すべてを切り裂く板前包丁インビジブル

「さすが、シャルロッタ様!」


丁度、サカナさんが目を覚ましたようです。


「ていうか、どうやって消えるデカ物に当てたんですか?」

「簡単よ、この技は相手がどんな状況だろうが、絶対に命中する技なの」

「何それ、怖っ!」

「楓ちゃんとのバトルの時に使う予定だったんだけどね...」

「やめてください、遠慮しておきます」


私たちは、気を取り直してお兄ちゃんの所に向かおうとしましたが、肝心の魔力自動車が、デカ物に壊されてしまいました。困った・・・


「そうだわ!いいこと考えた」


シャルロッタさんが名案を思い付いたといった顔をして、先ほどのデカ物の死骸に近づきます。


「ちょっと死んでないんでしょ?」


シャルロッタさんが死体蹴りを始めました。さすがの私も止めようかと思いましたが、デカ物がぬっくと立ち上がりました。


「はい、生きてますから蹴らないでください!やめてください!」


何となく私も蹴りに参加します。おりゃ、おりゃ


「痛い、やめて!痛い!」


なんだか、楽しイイいいいいいいいいいいいい…


・・・


私たちが飽きたころ、突然デカ物が名乗りはじめました。


「わ、私の名前はイヴリース、魔王リリスの兄である…どうか、妹に手を出さないでほしい」


デカ物が、突如土下座をします。シャルロッタさんがイヴリースという、悪魔に同情したのか、近づいて行きます。


と思ったらやはりシャルロッタさん、土下座したイヴリースの頭を足で踏みつけました。シャルロッタ様鬼畜!


「いいわ!別にただし私たちを海のところまで連れて行きなさい、今日からあなたは、私たちの馬よ!」

「えっ!?」

「楓ちゃん、モンスター使役の魔法持ってる?」

「持ってますよ、一応勇者ですから」

「ならお願い」

「分かりました」


私は、アイテムボックスから短剣を取り出しイヴリースに突き刺しました。


「チョマッ!ぎゃああああああああああああああああ」

「「メイキングモンスター」!」


私は、イヴリースを使役することに成功しました。


因みに「メイキングモンスター」は短剣をモンスターにぶっ刺して、レベル差があるほど、モンスターを使役しやすくなる魔法なのです。


「これで、足を確保したわ」


私たちは、4メートルあるイヴリースにまたがり、魔王城に向かうのでした。


「柔らかい太ももが当たって…ぶひいいいいい」

「気持ち悪い!」

「ブヒッ!」


シャルロッタさんに文字通り手綱を引かれながら、イヴリースはわけの分からないことを言い、私たちを乗せて四つん這いで走り出しました。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


魔王城にて


海は、いつものように自室でダラダラごろごろしていた。そこにいつものようにあわただしい様子で、海の部屋の扉を開けるメイドのコイズ。


「海様大変です!!」

「なに?イヴリースが逝ったか?」

「いえ、もっとひどいです…」

「なに?」


コイズが何かをためらうように言う。


「…人間に使役されました・・・」

「そうか…」


海は、心底どうでもいいと思いながら、ベットで惰眠をむさぼるのであった…







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