第35話 シャルロッタたちとの休日

レナを解放した次の日、屋敷でくつろいでいた海は、シャルロッタとの、モッコロに行く前の約束を果たすため、デートに行くことにする。


「シャルちゃん今日は、デートに行こう」

「えっ、覚えていてくれたの...最近の頭の悪い行動してたから、私覚えてないかと思ってた」

「シャルロッタさんも、最近はものすごい毒吐きますね...」


海は、毒を吐くシャルロッタに思わず敬語になったが、どこに行きたいか聞く。


「何か希望は、あるか?」

「そうね、海がエッチなこと考えないところがいいかしらね!」

「どういうことだよそれ...まぁ、場所を選ばず考えてるけど...」


シャルロッタは、海の発言を無視して、提案する。


「水族館なんてどう?」

「世界観!!」

「じゃあ、決まりね!」


海が、変な突っ込みを入れる中、シャルロッタは海の意見も聞かずに決めた。


「シャルちゃん、酷い...」

「海には、言われたくないわ」


そして、最近シャルロッタたちの扱いが雑だった海は、反省しつつ、機嫌取りのため、行きたくもない水族館に行くのであった。


水族館は、カレビ帝国内に存在しているらしい。

海は、素直にシャルロッタについて行った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




そして、水族館についた海たち...そこに声をかけてくる人物たちがいた


「あっ、お兄ちゃんとシャルロッタ様、奇遇だね、こんなところで会うなんて!」


楓が白々しく言う


「ホント奇遇です...よかったら、一緒に回りませんか?」


ドロップが何処かぎこちなく言った。そしてサカナ


「私は、鈴木の邪魔をしに来た!!!!!!!!!!!」


海は、サカナを殴る。そしてシャルロッタに聞いた。


「どうする?皆付いてきたみたいだけど?」

「う~ん、ホントは二人きりが良かったけど、皆で行っても楽しそうだからいいわ!」


どこか無理したような、笑顔で言うシャルロッタを見た海であったが、素直にシャルロッタの意向を聞くことにする。


「じゃあ、皆で行くか!」


そして、海たちは水族館の中に入った。


異世界の水族館と聞いて、海は少し怪しいものを感じていたが、中に入ってみると、大きくは日本と変わった所はない、ちょっとショボい水族館という感じであった。


「わぁ、綺麗!」


シャルロッタは、近くにあった大きな水槽に駆け寄っていく

海たちもシャルロッタの向かう方について行く、するとそこには、たくさんの小魚たちが、群れを成して泳いでいた。泳ぐ小魚を見て、シャルロッタが感想を言う


「海すごいわね、いろんな色の魚がいて!」

「そうだな、美味そうだ」

「何言ってんの、お兄ちゃん...」

「そうですよ...」


海の冗談に呆れる、楓とドロップ、そして、同じ感想を持ったとは言わないサカナ。


シャルロッタは、その水槽を見終わると、移動するため海に声をかける


「海、移動しましょ!」


ちょっと子供ぼい笑顔をするシャルロッタ。海はそれに見とれてしまった。


「何してるの、海置いてくわよ!」

「お、おう」

「お兄ちゃん、デレデレ顔だ~珍しい、写真撮っとこ」


楓は、ポケットから携帯を取り出し、写メする。


「おい、撮るなよ...ってなんで携帯持ってんだよ...」

「私、異世界来たとき、鞄に携帯とソーラー充電器入れてたからね」

「準備のいいやつだな...」


海も、アイテムボックスからスマホを取り出してみる。充電切れだ...


「おい楓、後で充電器貸せよ」

「え~やだ~お兄ちゃんに貸したら、白いの付いてきそうだもん!」

「付けねぇよ、ホントにつけるぞ...」


海は、楓との話を打ち切り、シャルロッタの方に向かった。


向かった先の水槽には、クラゲが浮いていた。ふわふわ浮くクラゲに対して、シャルロッタが感想を言う


「クラゲって、見ていたら癒されるわね...」

「クラゲって食えんのか?」

「お兄ちゃん...」

「海さん…」

「クラゲは食えるぞ鈴木、食用クラゲというものがあってだな、それは、大きく分けて二つある、一つは業務用クラゲ、もう一つは、加工用クラゲだ、業務用クラゲは、よく前菜などで出てくるクラゲだ、加工用クラゲは、スーパーにも売られているぞ」

「へぇ~」


海の冗談に頭を抱える楓とドロップ、そして冗談にマジレスするサカナ。

シャルロッタは、幸い水槽に集中して、海の感想など聞いていない。


「海、次に行きましょ!」

「うぃ~」


そして、海たちは何処までも、無邪気なシャルロッタについて行く。


次に、到着したのは、少し開けた観客席のような場所だ。そして、目の前には、大きな水槽があり、そこにはイルカが泳いでいた。観客席からは、上からイルカが見える。


シャルロッタたちは、早速観客席に座る。丁度イルカショーが始まるようだ。

そして、イルカたちは、飼育員の号令と共に、動き始める。

飛ぶイルカ、泳ぐイルカ、輪をくぐるイルカ、挨拶するイルカ。イルカはたくさんのパフォーマンスをする。シャルロッタとドロップは、それに興奮した様子で見ている。


「すごいわ!、すごいわ!」

「イルカさんです~」

「おう、すごいな!あんなに飼育員じょうしの命令聞いて、働くイルカはすごいと思う、社畜の鏡だ!」


海が変なことを言っていたので、楓がからかう様に言う。


「お兄ちゃんも、私のためにいつか働いてくれるんでしょ?」

「はっ、何言ってんだ、僕は金あるからもう働くつもりはないぞ、仕事っていうのはな、追い詰められたらやるもんなんだよ。故に日本の人たちは、追い詰められているのだ!」

「何言ってんのお兄ちゃん、キモイんですけど...」

「鈴木は、たまに長文しゃべるとキモイよな...」


海は、ドン引きするサカナと楓をよそに、ドロップに話がける。


「ドロップは、イルカ初めてか?」

「はい、初めてです、可愛いですねイルカさん!」

「おう、美味そうだ!」

「海さんとは、もう水族館には来たくありません…」

「そうだな今度は、魚屋を見に行こう...」

「海さんのバカ!」


海は、拗ねるドロップに小声で言う


「ドロップの方が可愛いよ...」

「!!」


ドロップは、顔を真っ赤にさせて俯く、そこに楓とサカナがコソコソし始める。


「サカナさん、お兄ちゃんがドロップさんを口説いてます!」

「あぁ、そのようだな、聞いたか「ドロップの方が可愛いよ」だって寒すぎだろ、ぷっ!」


吹き出すサカナ、海はとりあえず殴る。


「まぁ、自分で言ってて、寒いとは思ったがな...」

「そ、そんなことないです、うれしかったですよ...」

「それならよかった」


海は、ドロップの言葉に少し恥ずかしくなりながら顔をそらす、そこにシャッター音


「おい、楓撮るなよ...」

「お兄ちゃん、コレクションその122、他人を可愛いと言って、逆に自分が照れてる絵が撮れました!」

「楓、殴るのはサカナだけと決めていたが、今日のお前は殴りたい...」

「(∀`*ゞ)テヘッ」

「てへっじゃねぇーよ、ちゃんと消しとけよ...」

「はーい」


楓は、しっかりと写真が消えない様にロックをかけておいた。そして、海が言う


「楓、お前写真ばっか撮ってんのな?」

「そうだけど、ダメ?」

「ダメとは言わんよ、ただ何でも写真に撮るんじゃないぞ...」

「わ~お兄ちゃんが、おじいちゃんみたいなこと言ってる~」

「はぁ、まぁいいか...」


楓には、甘い海であった。


そして、イルカショーが終わり、会場は拍手に包まれた。海も社畜なイルカさんに拍手を送る。最後に餌付けされるイルカを見て、残酷な人間社会と同じであると思う海であった。どこか同じかは説明しない...ヒントは洗脳


「お兄ちゃん、また変なこと考えてたでしょ?」

「いや、ぜんぜん」


そして、海たちはその後も、水族館を堪能したのであった。



帰り道...


妙に、楽しそうなシャルロッタ、海は気になったので声をかける。


「機嫌がいいな、シャルちゃん」

「ええ、まぁね、私水族館初めてだったもの、すごく楽しかったわ!」

「それは、よかったな」

「うん、だからね、今日は一緒に来てくれてありがと!」


シャルロッタの笑顔は、どこまでもまぶしく、陰湿な海の心を光で照らして、除湿してくれそうであった。エアコンの除湿機能最強!


「シャルちゃん、また来ような!」

「うん!」


海は、終始ふざけていたが、来てよかったと思える一日であった...


「くたばれ鈴木!」


サカナは、二人の光景を見て叫んだ。ドロップと楓は苦笑い


「まぁ、言いたい気持ちは、分かります...」

「そうね、とりあえず写真撮っとこ!」


海たちは、それぞれが楽しんで、短い一日を終えたのであった...































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