第12話 初めての魔法

海は、立ちはだかる大きなシルエットの正体を確認した。それは、地面を這うようにして四つの足で歩行をし、海の目の前に現れたのだ。

その正体は、赤いうろこ、鋭い牙と爪、吐く息は獣臭く、地面を溶かすような体液をまき散らす、大きなドラゴンだった。


「うわっ、くっさ」


海が、初めて見るドラゴンに対して抱く感想はこんなものだ。しかし、ドラゴンは、海の思いも知らず、いきなり口から紫色のブレスを放ってくる。


「おっと」


海は、右手を突き出しブレスを収納した。そして海はすかさず、右手をどら後につきだし、魔弾を放つ。


魔弾は、赤黒い光を上げながら、ドラゴンの側面に一直線に飛んでいき、はじけ飛んだ。


「ギャアアアアア!」


そして、ドラゴンの体は...あっけなく粉々に砕け散った。


「ドラゴン弱っ!」


久しぶりに、システム音が鳴り響く。


「ポイズンドラゴンを倒したボーナスがあります、取得しますか?」


海は、同意を選択した。


鈴木 海

レベル100(これ以上レベルは上がりません)

種族「人間」

ステータス

MP   60

筋力  200

知力  300

防御力 160

器用さ 200

俊敏  350

魅力  100


スキル

「飛行」「状態異常無効」


魔法

「ウインド」「メガウインド」「サイクロン」「ライトニングノヴァ」


称号

「森の精霊王を倒したもの」「ゴリラの虐殺者」「ドラゴンスレイヤー」


海は、ステータスの上昇はやはりなかったが、状態異常無効を手に入れたのだった。



海は、洞窟から出るため出口を探すことにした。


「海、戦いは終わったの?」


シャルロッタは、海が作った穴から、ひょっこりと顔を出して訪ねてきた。


「うん、安心していいよ」


海が、脅威が去ったことを知らせると、シャルロッタは、穴から出てきて、心配そうな表情を浮かべてテクテク駆け寄ってくる。


「だ、大丈夫ケガしてない?」

「してないよ」

「よかったわ!ドラゴンなんて初めて見てびっくりしたけど、全然平気そうね!」

「思ったより雑魚だった...」


そして海とシャルロッタは、洞窟の中を移動し始めたのだった。

海はひと段落したので、ドラゴンの巣の壁を適当に収納して現在の居場所を確かめることにした。

そして、アイテムボックスに収納された壁は、「迷宮の壁」と表示された。


「・・・」


海たちは、いつの間にか迷宮に迷い込んでしまったようだ。


「これ、出るのめんどくさそうだな...」

「どうしたの海?」

「どうやら迷宮に、来たらしい...」

「ホント!それは大変だわ!!迷宮に迷い込んだら最後、人間は絶対に出口にたどり着けないてっ言われてるのよ...」


シャルロッタが不安な表情で海を見つめたのてきたので、安心させるように言う。


「大丈夫、ちょろいっす」

「ホント!」


しかし海は、迷宮を正攻法で進む気なんて全くなかった。

どうせくねくねくねくね、行き止まりやらなんやらで、めんどくさいことになると思った海は、壁に手を置き壁を収納して穴を開ける。そして次々とまっすぐ進み壁に穴を開けて奥へと進んでいった。


「海、すごいどうやって壁無くしてるの?」

「企業秘密だ!」


破天荒な海の行動に、驚きつつもシャルロッタは、海の後にしっかりと付いて行った。


「海、何処につながってるのかしら?」

「さぁ、逆に教えてほしいくらいだ...」


海は、どんどん壁を収納して、まっすぐ進んでいった。そしてまた広間にたどり着いたのだ。


「ここは...」


海が、見た先には、石壁で作られた部屋だった。そして中央には宝箱らしきものがある。


「宝箱!?」


海は、めちゃくちゃ怪しいと思いながらも、少し期待して宝箱に近づいた。そして海は、ゆっくりと宝箱を開けた。


「ん、なんだこれは?」


宝箱は、突然襲ってくることもなく、どうやらただの宝箱のようだ。

宝箱の中にあったのは、一冊の黒い本だった。海は、それを警戒しながら拾い上げ、アイテムボックスに収納してアイテム名を確かめる。

そのアイテムは「鑑定の書」と表示される。なんだこれ?と思う海。

海は、もう一度「鑑定の書」を取り出して、中を開いてみることにした。そこには、海が今まで手に入れたアイテムの説明と、今まで行った場所の説明、取得したスキルと魔法の説明が書いてあった。


「ラッキー!!」


適当なことを呟いた海は、とりあえず現在の場所を知りたいので、そのページをを開いた。


「これか...」


「砂漠の迷宮」・・・砂漠の下の迷宮、これは人為的に作られたものではなく、この世界の自然現象によって作られたものである。また、壁には魔力が宿っており、人の魔力に反応して、モンスターが発生するときもある。また、迷宮内では飛行スキルの使用は、不可能である。しかし、出口は必ず存在する。


海は、迷宮の出口があることを確認したので、少し安堵した。


「次は...」


海は、この迷宮で手に入れて、海の命を何度も守ってくれた、「魔弾の水晶」について、調べた。


「魔弾の水晶」・・・対象に目掛けて投げると、その方向に魔弾となり自動で飛んでいく水晶。


なんだか魔弾の命中率が高いと思っていた海だったが、自動照準だったことを知り、疑問は解消された。そして、次はこれがなければ、海は今頃死んでいたであろうと思われるアイテム「超回復水」を調べた。


「超回復水」・・・自然にできた魔力でできた水。飲むと、すべての状態異常を回復し、傷を癒す効果がある。そして、傷や状態異常がないときに飲むと、魔力を高める効果がある。死人すらも生き返らせる。また、この水は森の精霊王が管理しており、他のモンスターはめったに、近寄ることができない。


「マジかよ、生き返んのかよ...魔力を高める!?」


そして、海は、魔力を高めてくれることに驚く、そして早速確かめるため、使える魔法の魔力量を確認してみた。


「ウインド」・・・かまいたちを引き起こし、対象を切断する。消費魔力230


「メガウインド」・・・大きなかまいたちを引き起こし、対象を細切れにする。

           消費魔力300


「サイクロン」・・・竜巻を引き起こし、対象を粉々にする。消費魔力350


「ライトニングノヴァ」・・・雷の守護者との契約が必要、また空のあるところでしか使用不可。現在の「鈴木海」は使用できません。


海は、さっそく超回復水を一口飲み、魔力を上げてみることにした。ステータスを開くと、海の魔力は、60から360へと変わっていた。


「なんで、今まで気づかなかったんだ...」


海は、自分のステータスを、随時確認していなかったので疑問は残ったが、試しに「ウインド」を放ってみることにした。

海は、右手を突き出して叫んだ。


「ウインド!」


そして、迷宮の壁を切り裂いた。海の体にも異常は見られなかった。


「おお!!」


海は、魔法を初めて放てたことに感動した。


「海、い、今何やったの?」


今まで、黙っていたシャルロッタが食いついてきた。


「魔法だよ」

「ま、魔法!海使えるの?」

「いや、今使えるようになった…」

「私、魔法を使える人を見たのは、二人目だけど、あんなにしゅごいの初めてよ...」

「変なところ噛んだね…使える人見たことあるの?」

「あるわ、帝国に一人だけだったけどね」

「へぇ~」


海は、あまり興味なかったが、自分以外にも魔法が使えるものがいることを知った。


「先に進みますか」

「うん!」


そして、海とシャルロッタはまた壁に穴を開けて、先に進み始めた。


壁に穴をを開けて進むんでから少し経った...


海が収納しても、砂が出てくるところまで着いた。


「もうそろそろ迷宮の隅てっことかな?」


海は、通常通りの道を進んでみることにした。そして、海とシャルロッタはあっけなく、出口を見つけた。


「海、出口よ!」

「あぁ」


海とシャルロッタは出口に向かって、走り出したのであった...






























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