第11話 洞窟...

海は今、砂漠のアリ地獄の中にいた、そしてシャルロッタを追って、体全体で地面を収納しながら、下に突き進んでいる。


しかし、収納し続けても一向にシャルロッタは見つからず、気持ちは焦るばかりであった。


「何処へ行った...」


海は、一心不乱に地面を収納し続けた。そして、急に砂がそこ抜けして、突然の浮遊感に襲われる。


「まずい!」


海は、落下速度を阻止するため、飛行を使おうとしたが、なぜか発動せずそのまま地面に落下する。



海はとっさに五点着地をすることによって、無傷で着地することに成功した。漫画読んどいてよかったあ、と思う海。


「よっと」


そして、起き上がり周りを見渡してみると、そこは大きな石畳で囲まれており、まるで誰かに作られたような洞窟であった。


「ここは、どこだ...」


海は疑問に思ったが、そんなことよりシャルロッタを探さなければと思い、大きな声で叫んでみた。


「シャルロッタ!いたら返事してくれ!」


しかし、海の声には何も反応がなっかった。


「クソ!鼻くそ!」


海は、怒りで、地面を殴る。海は相当焦っていたが、石畳の洞窟が奥へと続いていることに気づき奥に進むことにした。


奥に進んでいくと、大きな土かべで出来た広間につながっていた。

そこには無数の赤色の棒状水晶が壁一面に刺さるようにして埋まっている。

水晶は怪しい輝きを放っており、大変美しいものだった。

海は、この水晶は価値がありそうだと思い、とりあえず土かべに手を置き、アイテムボックスにすべて収納してみる。すると、アイテムボックスには「魔弾の水晶×70万」と表示された。


「魔弾?」


海は、もしやと思いアイテムボックスから魔弾の水晶少し取り出し、試しに適当に投げてみることにした。


「よっ!」


海は、それほど力を入れていなかったが、水晶はものすごい勢いで一直線に飛んでいき、洞窟の壁にぶつかり、その場所は、轟音と土煙を立てて豪快にはじけ飛んだ。


「マジか...」


海は、予想外の威力に驚いたが、とりあえず、シャルロッタを探すことを再開した。

海は、魔弾で穴の開いたところからそのまま奥に進むことにした。


通路は一直線で石畳に囲まれている。


「何処に行ったんだ...」


海は、焦っていた。まだモンスターに遭遇していないが、絶対にいないという保証はない。もしモンスターにシャルロッタが遭遇すれば、大変なことになるだろう。

海は、歩くペースを早くした。海は、走るのは、心臓に良くないと思うので走らない。


そして突然


「わぁっ!」


海の目の前にうごく骸骨が出現した。

海がふざけて心臓によくない、なんて思っていたら、本当に心臓に良くないのでものが出てくるではないか。

骸骨は、不気味にも剣をもって動いている。海は、驚きつつも慌てて戦闘態勢に入った。


「どけよ、お前なんかにかまってる暇はないんだよ!」


海は、骸骨に一歩踏み込み、適当な拳をガイコツにむっかて振り下ろす。


「ふん!」


骸骨は砕け散ったが、地面から何匹もの骸骨が湧き出てきた。


「クソ!鼻くそ!時間がないって言ってるのに!」


10分後...


「倒しても、倒してもキリがない...」


海は、骸骨を倒しても何処からともなく出てくるので、出現場所をなくしてやろうと思い、地面に手を置き、石畳を収納することにした。


「消えろや!」


見事収納に成功し、骸骨は出現することができなくなる。残りの骸骨を先ほど手に入れた、魔弾で蹴散らす。


「ふん!」


海の放った魔弾は、骸骨たちの中心で破裂し骸骨は、粉微塵に砕け散って、粉骨になった。合掌...


「よしっ!」


海は、先を急ぐことにした…


海は何かの巣の様なところに到達した。


そこで海は、鳥栖のような場所に、横たわっているシャルロッタを発見した。


「シャルちゃん!」


海は、必死に叫びシャルロッタに近づく、そしてすぐに生存確認を行った。


「よかった生きてる...」


海は、シャルロッタの息があることを確認して、シャルロッタの頭を腕で抱き上げ、アイテムボックスから、超回復水を出して口移しで飲ませた。するとシャルロッタの傷は治っていき…


「うんっ...あれ、ここは...」


シャルロッタは意識を取り戻したのだ。


「ここは、まだどこか分からないが、シャルロッタ僕のことが分かる?」

「勿論よ、えーと誰だったかしら?」

「なん、だと...」

「冗談よ、海」


シャルロッタが舌ベロを軽く出してそう言ったので、海は、殴ってやろうかと思ったが押さえて、シャルロッタが無事なことに安堵の表情を浮かべた。

その直後、壁や地面から、ぬるりと、大量の炎をまとったトカゲのようなモンスターが現れる。


いい加減飽き飽きしてきた海が叫ぶ。


「いっばい、でてくるうううううう!いっぱい出てるのおおおおお!」

「黙れ!」

「はい」


海は、シャルロッタの激しい怒りにビビりつつ、全方向に適当に魔弾を放つ。


「オラ!」


魔弾でトカゲは木っ端みじんになったが、トカゲは地面から次々とにょきにょき生えてくるように現れ、海めがけて、一斉に炎の玉を放ってくる。


「くっ」


海は、シャルロッタを庇いつつ、体全体を使って火の玉を収納した。しかし、トカゲたちの攻撃は止むことはなく、次々と火の玉が降り注いだ。


「くっそ、このままではシャルちゃんに当たってしまうお...」


海は、足で地面を少し収納して、シャルロッタを抱き抱えて、その中に放りこんだ。そして、そして放り込まれたシャルロッタが、抗議する。


「ちょっと!投げないでよ!」

「おけ」


海は、適当に返事して、シャルロッタの安全を確保できたことにより、自由に動けるようになった。

海は、トカゲの出現場所である地面をまた収納しようとしたが、範囲が広すぎる。収納してしまえば、洞窟全体を壊して、押しつぶされる可能性があるので、海は今までもらった火の玉をすべてトカゲ目掛けて発射することにした。


「返すよ」


トカゲにすべての火の玉が命中した。しかしトカゲは、消えることなく、それどころか一回り大きくなったように見える。


「まさか、火の玉を食べて成長したのか...」


海は、自分の犯した失態に気付いた。

トカゲたちは火の玉が効かないことを悟り、海に物理攻撃を仕掛けてきた。海は、襲ってくるトカゲに魔弾を放ったが、数が多すぎてしのぎしきれない。


「ちっ」


海は、舌打ちをして、アイテムボックスから漆黒の鞭を取り出し、近づいてくるトカゲを鞭を横にふり、薙ぎ払う。


「おら!」


放たれた鞭は、トカゲたちに命中した。

その隙にトカゲの地面を収納してトカゲを奈落へと突き落とした。

次が来る!!と思っていた海であったが、突然トカゲの猛攻は止む。


「何だ?」


疑問に思った海が周りを見渡すと、トカゲたちは、一斉に逃げていったではないか。

そして、奥の方から大きなシルエットが浮かび上がる。


「次は何だ...」


海は、呆れつつも次の戦いに備えた...



















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