第10話 砂漠
海とシャルロッタは、平原地帯を越えて、キモいククララの荷台に揺られ、砂漠地帯を移動していた。砂漠は、砂で覆われた熱帯地帯だ。草木は一切生えておらず、海の目に写るのは、暑苦しい高低差のある砂たちだけ。そして、ゆらゆらと陽炎が出来ている。
砂漠には、モンスターは少ないが、凶暴なモンスターがいるので海は、細心の注意をして、砂漠を移動していた。
「暑い...」
海は、そうつぶやいた。砂漠の温度は、50度を越えていて、荷台に座っているだけで汗が噴き出てきてくるので、まるで全く湿度のないサウナと同じ状況だ。そして、喉がからからに乾く。なので、水分補給は必須なのである。海は、超回復水がある為、脱水症状にはならないが、暑いものは暑いのである。
「ホント、暑いわね...」
シャルロッタも、気だるげにつぶやいた。シャルロッタの首筋からは汗が流れ落ちており、白色のワンピースは汗で濡れて、ピンク色の下着が浮き出してきていた。
海は申し訳ないと思いながらも、しっかりとそれを凝視した。
「ごちそう様でした!!」
「???」
シャルロッタは、不思議そうな顔をして、海を見たが何のことか気づいていない様子だったので、海はさらに凝視した。
海の視線の先を追ってみたシャルロッタは、とうとう自分の下着が透けていることに気付く。
「バ、バカ、エッチ!」
シャルロッタは、自分の体を手で隠しながら叫んだ。
「いい眺めだったが、旅人の服に着替えるかね?」
「流石に怒るわよ!でも、着替えは頂戴...」
シャルロッタは、顔を真っ赤にさせプンすか怒りながら、荷台の後ろの陰で着替えを行った。服を脱ぐ音が、妙に艶めかしく聞こえたので、海は後ろを振り向いて、除きたい衝動に駆られたが...
「うんしょとっ、もう、びちゃびちゃじゃない...」
海は、普通に覗くことに決めた...
・・・・・・
その後、海の頬にモミジができたのは言うまでもない...
「もう、最低ね!」
「はい、誠に申し訳ないと思っております、しかし、覚悟はあった!」
「まったく要らない覚悟ね...」
シャルロッタは、旅人の服にすでに着替えており、その姿は、シャルロッタは嫌がっていたが、海の目線から見て中々似合っていた。茶色を基調とした、旅人の服は、華奢なシャルロッタの体を、より引き立て、守ってあげたくなる衝動に、刈られそうになるほどだ。海は、シャルロッタに機嫌を直してもらうために、早速おだてることにする。
「そういう服も、シャルちゃんは似合うね!」
「そ、そう、ありがと、てっ誤魔化されないわよ!」
とは言いつつも、シャルロッタの機嫌は少し直ったように見えた。チョロッと思う海しかし言わない。そして、シャルロッタが小声で呟くように言う。
「そんなに見たいなら、見せてって言えば見せてあげるのに...」
海はしっかりと、その言葉をキャッチして、捲し立てるようにお願いした。
「ホントでありますか!?では今すぐお願いします!!なんなら下着の̪し...おぇぶぇ」
海は、頬に二つ目のもみじを作った。海は、新たな扉を開きそうになったので、流石に自制した。
そして、二人がアホなことをしていた間、何かがこちらに近づいて来ていた。海たちは、それにまったく気づいていなかった。最初に異変に気付いたのは、シャルロッタだった。
「か、海、なんだか変な音しない?」
「えっ?なんだって?」
「そこで難聴になってどうするのよ!真面目に答えなさい!」
「あ~あ、音ね、聞こえるね、何だろうね~」
海は、先ほどの素敵な言葉に少々浮かれていて、まったく危機感を持っていない。
「何のんびりしてるのよ...てっ何あれ!」
地面から突如現れたのは、全長20メートルある大きなサソリだった。針だけが妙に発達しており、かなり大きい。そして、その針からは、毒がたらたらと垂れている。
さすがの海も、これには危機感を覚え、キモいククララの手綱を握り、後ろに後退するように誘導して猛スピードでサソリから逃げようとした。
しかし、サソリは速く、逃げるククララに追付こうとしている。もう既に距離は、10メートルもない。
「クソ!!追いつかれる」
逃げきれないと悟った海は、手綱をシャルロッタに渡し、出来るだけ遠くに逃げるように伝えることにする。
「ニゲルンダ!!」
「なんで片言なのよ!わかったけど、海は、どうするの?」
「トブンダ!!」
若干ふざけている海は、飛行を行った。そして海は、サソリめがけて
「くらえ!」
サソリの注意は、海に向いたが
「硬いじゃないか!!」
サソリの皮膚の強度は鋼鉄のような固さだ、多少の攻撃では、ビクともしないだろう。
海は、
「これ、でもくらえ!」
海は、サソリが奈落へと落ちていのを見送った。
「ふぅ...一件落着、さぁ、シャルちゃんを迎えに行きますかね」
サソリは、倒されたと思われた、次の瞬間...
海の足元から何かが迫ってくる音が聞こえた。
「まさか!」
海は、嫌な予感がして、上空へと逃げる。
そして海のいた場所からは、サソリの尻尾が飛び出てきたのだ。
「あぶねぇ...」
安堵したのも束の間、サソリの尻尾から針のような何かが、海めがけて飛んできた。
海は、それを躱そうとしたが、突然のことで対応できず、針をまともに受けてしまった。
「がはっ!」
海は、アイテムボックスから、超回復水を取り出そうとしたが、体が動かないことに気付いた。そして、飛行が解除され海は、地面へと落下する。
「うああああああああああ」
海は地面へと叩きつけられた。
「がはっ!!」
瀕死の状態で見た光景は、サソリが海に近づく姿だった。
「まずい...」
海は、何か打開策はないか考えたが、サソリが待ってくれるはずもなく、容赦なく尻尾が振り下ろされる。
・・・
海は、死んでしまったように思えた...
しかし、砂煙から出てきたのは、人ひとり入れそうな深い穴だった。海は攻撃の瞬間、地面を収納して何とかサソリの攻撃を避けたのである。幸いサソリは、そのことに気付いておらず、海は身を潜め、毒で体が動かない状態で、どうやって超回復水を飲むか考えた。
そうもたもたしている時間もないのである。サソリがシャルロッタの所に行ってしまえばシャルロッタは確実に殺されてしまうので必死に打開策を考えた。
海は焦る中、一つの可能性を閃いた。
「やってみるか...」
海は、超回復水を指定して口に直接引き出すように念じる。すると...
「成功!」
超回復水は、見事海の口の中に出現した。
海は素早く、超回復水を飲み込み、地上へと戻る。
サソリは、そう遠くへは行っておらず、十分追いつける距離だ。
「よし!」
海は、シャルロッタの安全を確認し、猛スピードで空を駆け、サソリへ
「おい、サソリ!!こっち向けや!」
サソリは海に気付き、再び海に毒針を放つ。海は、それを避けずに敢えて毒針を受けた。
「どうした、サソリ痛くもかゆくもねぇぞ」
海は、サソリの毒針を受けたのにも関わらず、全くの無傷だったのだ。
なぜ海が無傷だったかというと、海は体のどこからでもアイテムを取り出すことができると気付いたので、収納もできるのではないかと考えたのだ。
そして、毒針が放たれた瞬間、自分の体すべてを収納できる範囲にして、サソリの毒針を収納したのだ。
「ギィイイイイイイイイイイイイイイ!」
サソリは、海が無傷なことに激昂し、咆哮を上げた。そして、海めがけてまた毒針が放たれる。
「はっはっはっ、効かんよ」
調子に乗って高笑いする海は、放たれる毒針すべてを収納した。海は、目ならば針が貫通するだろうと思い、右手を突き出して今まで海に飛ばされてきた分の毒針を、サソリの目に照準を合わせ放った。
「そこだ!」
放たれた毒針は、すべてサソリの目に命中し、サソリは見る見る内に衰退していく。
「グゥギィイイイイイイ!」
海は、毒針が効いてることを確認して、地面に降り、サソリの立っている場所を指定して、地面に大きな穴をあけた。
「くたばれや!」
サソリは奈落へと落ちていき、今度こそ上がってこなっかった。
「よし!」
海は、サソリを倒したことを確信して、シャルロッタのところに向かおうとした。
その時、ものすごい音が聞こえたのだ。
「次は何だ!?」
海は、周囲を見渡して異変に気付いた。海がなにも考えず地面を収納した付近が、アリジゴクのように崩れていたのだ。
「まずい!」
海は、急いでシャルロッタを探した。海は、キモいククララと共にアリジゴクに吸い込まれていく、シャルロッタを発見する。
「シャルロッタ!」
海は、必死の思いでシャルロッタを救出しようとしたが、間に合わずシャルロッタは、砂の下に吸い寄せらた。
「クソ!鼻くそ!」
海はそう言いながら、地面を殴り、飛行して、シャルロッタを救出するため、自分からアリジゴクに入って言ったのであった。
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