第9話 平原
海とシャルロッタは、カレビ帝国に行くため王都ピカナを出発して平原を移動していた。
カレビ帝国までの道のりは、平原→砂漠→カレビ帝国の順番である。
平原は、草が可愛く生えている緩やかな平坦な道だ。
凶暴なモンスターが少ないので、海とシャルロッタは、のんびりとキモいククララの荷台に乗って移動していた。
「海、こうやってのんびりと旅するのもいいわね」
シャルロッタは、珍しく落ち着いた口調で言った。そして、海が言う。
「そうだね、モンスターも襲ってこないし、空気はきれいだし最高だね...隠れる場所がないから、うんこ出来ないけど…」
海の適当な意見に、実は聞いてなかったシャルロッタが頷いて言う。
「海、ありがとね...」
「どうした、このタイミングで...」
「えっとね、海が私を盗賊から助けてくれて、それからこんな楽しい思い出までくれて、私今とても幸せなの、今まではね、王位を継承しなきゃならない指名があって、できることは限られてたけど、海と出会ってからたくさんの自由を知って、毎日が発見だらけで楽しいもの、だからね、ありがとっ」
「お、おう、うんこについてのコメントは、無しか...」
シャルロッタのまっすぐな思いに、海は気恥ずかしさで、うんこの話題を持ち上げながら答えた。
◆
そして、平原を移動して少し経った...
海は、何かが走るような音に気付き後ろを振り返る。
「何だ?」
海が目にしたものは、馬に乗った野蛮そうな人たちだった。
それを見た海は、何事かと思い、相手が近づくのを待つことにした。だんだんと近づいてきたそいつらが何なのか、海はようやくわかった。ファンタジーには、ゴキブリ並に登場する盗賊だ。
盗賊は、海の数メートル近くに近づいてきて、臭い息を吹き掛けながら言う。
「おう、あんちゃんわざわざ待ってくれるなんて親切じゃねぇか!、身ぐるみ全部と、そこの女を置いてきな」
「息、臭っさ!たわしにするために、水に浸けておいたへちま並に臭い...」
海が微妙な感想を言うと、盗賊の罵声が飛んできた。
「おい、ぶっ殺されてぇのか、俺の息は爽やかラベンダーだぞ!」
「それそれで、気持ち悪いが...とりあえず死んどく?」
海は、そう言ってものすごい勢いで上空に上がり、盗賊めがけて
しかし、討ち漏らしがあったようで、シャルロッタの方に何人かの盗賊が行くのが見えた。海は、最大スピードで降下したが、間に合わず、盗賊はシャルロッタの首筋にナイフを当てて叫んだ。
「おい、お前!こいつを殺されたくなかったら両手を地面に置き体を伏せろ!」
「分かった、テンプレ盗賊男、でも本当にそれでいいんだな?」
「な、なんだよ、早くしろ!」
海は、盗賊の指示に従い地面に手を置いた。
「よし、そのままにしてろよ、お前らこいつをやっちまえ!」
シャルロッタを、人質にしている盗賊が叫んが、ほかの盗賊の返事が返ってこない。疑問に思い、盗賊が周りを見渡すと、他の、盗賊abc...がいた場所に、無数の穴が開いていたのだ。
「これは、一体...」
盗賊が動揺している隙を見逃さず、海は間合いを詰め、盗賊の持っているナイフを収納し、盗賊の顔面めがけて正拳を放つ
「ぐぅえぇ!」
盗賊はクルクル回りながら派手に吹っ飛んだ。
「なあ、盗賊さんよ、身ぐるみ全部置いてくことと、誰の差し金か教えてもらおうか?」
「ひいぃ!」
もはや、どちらが盗賊か分からない状況になってしまったが、海は、盗賊たちの身ぐるみを全部矧ぎ取り、誰の差し金か聞いたところ、盗賊はすぐに白状した。
「カ、カレビ帝国の、人間に命令された、後は知らない、い、命だけは助けてくれ!」
「本当にそれだけか?」
「し、知らない!ホントだ信じてくれ!」
「分かった、情報提供ありがとう、そしてさようなら」
「ぎゃああああああああああああああ」
盗賊の、足元に穴ができ、落ちていった。
海は、穴をどうやってあけたかというと、地面に触れ、盗賊の足元を部分指定し、地面を収納したのである。
「よし、シャルちゃん、行きますか!」
「え、あ、うん...」
海は何事もなかったように、キモいククララの荷台に乗り移動を続けた。
「また、守られちゃったね...」
「いや、今回は僕がわざと招いたことだからね、盗賊倒して身ぐるみを矧いでやるのが、今回の目的だったからね」
「ウ、ウソ!」
「ホントだよ、これ以上シャルちゃんに刺客が来ないように、牽制の意味も込めて盗賊さんには痛い目に合ってもらったんだよ」
「そうなんだ、てっ、やっぱり守られてるじゃない!」
「シャルちゃんを見てると、守ってあげたくなるからしょうがないよ」
「なに言ってんのよバカ...」
シャルロッタは、顔を赤くしながら照れ臭そうに言った。
そしてそこから少し移動して、海とシャルロッタはククララから降りて、昼食をとることにする。
「シャルちゃん、前にご飯作れるって言ったよね、お願いしてもいい?」
「いいわよ、任せなさい!最高の料理を提供するわ!」
海は、超回復水があるので食事をとる必要がないが、シャルロッタの料理を食べてみたい気持ちになったので、お願いすることにした。
海は、アイテムボックスから食材と調理器具を取り出し、それをシャルロッタに渡す。
「じゃあ作るわね!」
「よろしく」
シャルロッタは海から食材をもらうと、手際よく作業し始めた。海はその間、暇だったのでできるだけ、シャルロッタが料理であたふたする姿を横目でみながら、周囲を警戒しておくことにした。
そして15分後...
シャルロッタの料理ができたらしいので、海はアイテムボックスから木を取り出し、
円状になるように部分収納して、テーブルと机を作った。
そしてそのテーブルに、シャルロッタが作った料理が運ばれてきた。
「さぁ、召し上がれ!」
「美味そうだな~」
海の、目の前に用意されたのは、日本で言うところのシチューだった。シチューは、皿に盛られており、熱々の証湯気が出ていた。そして、色とりどりの野菜が散りばめられていて、とくにじゃがいもポイっやつは、トロトロで美味しそうだ。海は、そのシチューを、口に運んだ。
「ど、どう、お口に合えばいいのだけれども...」
「うん、すげぇ~おいしいよ、今まで食べたシチューの中で一番!(嘘)」
「そ、そう、それはよかったわ、これはシチューてっ名前の食べ物ではないけれども、美味しいてっ言ってもらえて安心したわ」
「シャルちゃんは、いいお嫁さんになりそうだね(嘘)」
「お、お嫁さん!」
シャルロッタは、顔を真っ赤にして俯いた。
「また、作ってくれる?」
「も、もちろんよ!」
海とシャルロッタは、食事を終え、移動を再開した。
そして、遂に問題の砂漠地帯が見えてきた...
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