第3話 泉です...

オオカミを倒して丸一日がたった...

相変わらず、海は森の中を彷徨い続けていた。


「ぜんぜん、出口が見えませーーーん!!」


海は、やけくそ気味に叫んだ。完全に遭難してしまったようだ。まだ、ごりんごりんがたくさんあるとはいえ、海はいい加減森にも飽きてきた。



そして3時間後...

森の中を歩いていた海だったが、何か音がすることに気付いた。


「ん?なんだ?」


海は耳に手を当てる。


「水の音だ!」


海は音のする方へ走り出した。


川ならば、伝っていけばどこかの町につながる可能性があったので、期待を寄せ、海はわき目も振らず荒々しい獣道を走る。


しかし、目的地についた海であったが、海が目にしたものは川ではなく、異世界に来たと感じさせてくれるような、神秘的な泉だった。泉は、森の中にポツンとあり、水の透明感は、かなりのものだ。


「泉か・・・」


海は、町に行けるという期待をしていたので少し落ち込んだが、水を確保できるので良しとし、とりあえず、泉の周りに危険がないか、辺りを見渡す…。


「危険なし!」


そう適当に判断した海は、泉に近づき水を飲んでみた。


生水はよくないと聞いたことがあるが、今の海には水を沸騰させる手段がない。


「まっいっか!!」


海は、そのまま手ですくい飲むことにした。


「うまい!!うまいぞおお!!」


海は、久しぶりの水に感動した。そして、水を飲んだ瞬間、海の体に異変が起こった。


「なんだ、体が軽い…」


海は、今まで感じたことのないような体の軽さに疑問を覚えので、泉の水のアイテム名を確かめるため、アイテムボックスから水筒を取り出し、汲み取り収納した。そしてアイテムボックスに、表示されたアイテム名を見て、海は言葉を失う


「超回復水」

「強そう…」


海は、突然の掘り出し物に驚きを隠せずにいた。海はこの巡りあわせに感謝をしながら、大量に持ち運ぶ方法を考える。


「・・・・・」


海は、頭を動かすため、うろうろしながら考える。

そしてあることを思い出した。


海は前に弁当箱を取り出し、中身のカツをアイテムボックスに放り込んだことを…


「できる…」


海は半信半疑で、泉に手を突っ込み念じてみた収納と...その瞬間...



泉が一瞬にしてなくなってしまったのだ。


何ということでしょう、あんなに美しかった泉は、見るも無残なクレーターになったじゃあ~りませんか…。

海は、ビフォーアフターした泉に驚いた。


「ファ!?」


海は、収納できて少しだろうと思っていたが、まさか一瞬にして泉のすべて水がなくなり消えるとは、予想もしていなかったのだ。


海はとりあえず、収納された泉をアイテムボックスを開き見てみることにした。


「超回復の泉」


海は、アイテムボックスの見方を改める必要があると感じた。


そして、アイテムボックスについていくつか実験することにした。


「まずは、この泉を少しずつ取り出せるかが問題だ、もし取り出せなかったら大参事だな・・・」


海は自虐的な笑みを浮かべながら、アイテムボックスを開き、ほしい水の量だけ想像して念じてみる。


その瞬間、海の手には少量の水が収まった。


「よし!成功!」


海は、アイテムボックスの新たな使い道に興奮しつつ、実験を続ける。


海は、近くにあった岩に近づき収納してみた。海が触れて念じた瞬間、岩は一瞬にして消えさった。そして海は、周りにあった木や岩を次々に、収納していった。


「はあ、はあ、はあ」


海は、疲れるまで辺りの木や岩を収納し続けた。そして海は、アイテムボックスの中を見た。


「ヤングルの木×321」


「ヤングル岩×402」


どうやら、アイテムボックスには個数制限や、重量制限がないようだ。


海はアイテムボックスはほぼ無限に収納できると確証を得た。


ついでに、ここが「ヤングル」という場所といいうこと分かった。


「・・・・・よし」


海は、次の実験を行った。海は近くに小さな生き物がいないか辺りを見渡した。


「いた!」


ダンゴムシのような生き物を見つける。海はその生き物を手に取り収納と念じてみた。


しかし、ダンゴムシは収納されることなく、海の手に残ったままだった。


「あれぇ?」


どうやら、生き物は収納できないようだ。海はそのことに少し落胆したが、ダンゴムシを放してやることにした。


海はアイテムボックスの性能をまとめることにした。


1、そのものに触れ、念じれば出し入れ可能。


2、出したい物を小分けにして出すことが可能。


3、アイテムボックスの容量は、ほぼ無限。


4、生き物は収納できない。


5、アイテムボックスに入れることで、アイテム名を知ることができる。



まだまだ、アイテムボックスに使い道がありそうだと感じたが、もう日が暮れそうであったので、寝ることにした。ちなみに海の寝床は今日も木の上だった。
























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