第2話 こんにちは、オオカミさん
海は、相変わらず森から出るために獣道を歩き続けていた。
そして、海が異世界に飛ばされてそろそろ、一日が立とうとしている。
一日歩いたにも関わらず、一向に森の出口を見つけることができない。それどころか、食べれそうなものは何一つ見つからなった。途中キノコが生えていたが、それを食べる勇気はさすがにない…
疲れたので海は適当な木を背もたれに、ため息交じりに腰掛ける。
「はあ、疲れた…」
海は森ならば、食べものぐらいあるだろうと期待していたが、残念ながら見つけることは、できなかった。
そして、アイテムボックスを開き、中から今日の朝作った弁当を取り出す。
弁当のふたを開けてみると、一日たったにもかかわらず、なぜか食品は傷んでいない。
「まさか、所持品に入れたアイテムは腐ったりしないのか?」
海は、実験が必要だと思い、弁当の中から一切れカツを取り出しアイテムボックスにそのまま放り込んだ。
「明日になったら見てみよう」
ぐうううううううううう・・・・・・・・・
海の腹の虫が鳴り響いた。海は朝はパン一枚しか食べておらず、相当おなかがすいていた。腐る可能性も考えて、弁当をすべて食べることにする。
「ごちそうさまでした。」
海は、弁当をすべて食べてしまったので、食料はなくなってしまった。
後悔はしてない。
さすがに危機感は感じたが、カツのために持ってきたソースがあるので当分は大丈夫だろうと、不安な心を無理やり立て直す。
海は、立ち上がり日が落ちて暗くなる前に寝床を探すことにした。森の夜は、月明かりぐらいしかないので、行動することができなくなるからだ。
しかし、近くに寝床になりそうなところはもちろんなく、辺りを見渡したが、木がたくさん生えているだけ、都合よく洞窟や小屋は見つからない。
海は疲れていたので探すことを諦め、寝床を木の上にした。木の上ならば多少寝づらいが、モンスターに襲われることはないだろうと思ったからだ。
海は、簡単に木によじ登り、太い幹を見つけたので、そこに適当に転がり、暗くなる前に目を閉るのだった。
◆
次の日
海は、妙な寝心地に気づき、朝の爽やかな光とともに目を覚ます。
「おっとと、、」
木から転げ落ちそうになりながらも、なんとか落ちずに済んだ。
そして、今置かれている状況を思い出す。
「そういえば、家じゃなかったな...」
海は、憂鬱な気分になりながらも眠たい目をこすり、今やるべきことを行った。
アイテムボックスを開き、昨日入れておいたカツの確認である。
アイテムボックスからカツを取り出し、見た目を観察することにした。
カツは昨日のままのように見えるので食べてみる。
味に問題は、ないようだ、腐った時、特有の味もない。海は、それを確認できると、若干の希望が湧いてくる。
海は、とりあえず食料が、ソースだけでは不安なので、食料探索のために再び森の中を歩くことにした。
歩き始めて一時間...
海はリンゴのような果物が実っている木を見つけた。その木は何本も生えている。
海は、食べれそうなものを見つけ歓喜た。
早速果物を収穫しようとするが...
木に近づこうとしたその瞬間、木の隣の茂みから、突然黒い影が海めがけて飛び出してきたのだ。
「ちっ!」
海は、舌打ちして、その影を持ち前の反射神経でかろうじで回避する。海はその影の正体を確認した。
影の正体は黒い毛並みで、角の生えたオオカミであった。
「ガルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
オオカミの、威嚇に肝が冷えつつも、海はベルトを持ち直し、まずは、会話が通じるか一応確認を取ることにした。
「よう、オオカミ」
その、あいさつに答えることなく、オオカミの牙が海を襲った。海はそれを横に飛び避ける。
海は影から出てきた素早さから、逃げきれないと判断し、オオカミと戦うことを決意する。
しかし海は、一抹の不安を覚えた。オオカミが魔法を使てくる可能性があるということだ。ここが異世界なら、十分あり得ることなので、海は警戒した。
海の不安はすぐに的中した。
狼は口を大きく開け、炎を吐き出したのである。
「くっ!」
それを何とか横に転がり避けて、即座に立ち上がる。海は、次の攻撃をさせないよう間合いを詰め、ベルトをオオカミの顔面向けて、たたきつる。
「おりゃぁああああああああああああああああ」
雄たけびと共に放った海の攻撃は、空を切ってしまう、その隙をおおかみは見逃さない。
海の腕めがけて、ものすごい速さで噛みついてきたのだ。
「ガァァウ!」
海は、オオカミの牙をベルトで何とか受けとめ、オオカミと拮抗状態となった。
「くぅぅ」
ベルトがミシミシ言い出した。このままでは、生命線であるベルトが噛み千切られてしまうと感じた海は、思い切って、左足を軸足にして踏み込み、右足でオオカミを蹴り上げる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」
海の渾身の蹴りは、オオカミの下あごに向かっていく、そして…
「がきゅん」
オオカミの下顎に、海のつま先が勢いよく当たる。
海の蹴りで、オオカミは怯んだ様だ。
その隙を見逃さず、海はベルトを左右上下に思いっきり振り回して、連続攻撃。
「うら!うら!うら!うら!うら!うら!」
できる限りの、最大の力でベルトを振り回した。
そして、海は、オオカミの動きが鈍くなったのを見て、トドメの一撃を決めるため、一気に間合いを詰める。
素早いサイドステップでオオカミの側面に移動して、右足でオオカミの腹を蹴り上げた。
「があきゅんんんんんんんん」
海の、蹴り上げは見事クリティカルヒット。オオカミは、地面に転がるようにしてに倒れたのだった。
「はぁはぁはぁ...」
海は、疲労感に満たされ、体を地面に預けた。その時、海の耳に聞き覚えのない
システム音が鳴り響いた。
「レベルが上がりました」
そして海の目の前に、ステータスが表示される。
鈴木 海
レベル1→レベル2
種族「人間」
ステータス
MP 0
筋力 112→113
知力 200→201
防御力 50 →51
器用さ 105→106
俊敏 150→151
魅力 100→100
スキル
なし
魔法
なし
称号
なし
「なんかでた…」
海は、ゲームのようなシステムに少し驚きつつも、自分のステータスを確認した。
ステータスを確認したが、比較対象がないため強いのか、弱いのか、分からなかった。しかし、一つだけ確かなものはあると海は気づく。
「魔法使えないじゃん・・・」
海は、魔法を使えないことに落胆した。
そして海は気づいた、ステータスもアイテムボックス同様、開けるのではないのかと。さっそく海は、念じてみる。
そして、ステータスも簡単に開くことができた。
海は、開けたことに満足しつつ、とりあえず木になっている果物を収穫することにした。
海は、取れる範囲の大量の果物を収穫し、アイテムボックスを開き入れておいた。
そしてアイテムボックス一覧を見ると果物は「ごりんごりん×102」表示されていた。
海は、その赤い謎の果実の匂いを嗅ぎ、甘い匂いがしたので食べれそうだと判断し、一つ食べてみることにする。
「うまい!!普通にリンゴだ!!」
当面の、食料を確保したので海は、本格的に森を出ることを決意したのであった。
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