収納魔術で舐めプライフを

カルシウム

1章 森

第1話 気が付けば木

季節は春、カーテン越しから入ってくる朝の光にウザいものを感じながら、この物語の主人公「鈴木海」17才は、学校に行くため眠たい目をこすり、ベットから起き上がった。


海は、眠たい目を無理やり開ける。部屋の右側には、使い込まれた空手の道着がハンガーにぶら下がっており、その正面に机がある。そして、その間に挟まれるようにして海のベットがあった。海は立ち上がり、誰もいない部屋に挨拶をする。


「おはよう…」


海が挨拶しても、挨拶は返ってこない。それもそのはず、海は空手強豪校に入学したいという理由から、親元から離れて実家から遠い高校に入学したため、アパートで一人暮らしをしていたのだ。


海は今日学校の入学式だということを思い出す。海は入ってくる新入生に若干の期待を膨らせていた。何故ならば、海は新しい空手部員と、手合わせしたいからだ。海は、ワクワクする気持ちを抑えて、顔を洗うため洗面台に行くことにする。


洗面台についた海は、水道から水を出し顔を洗う。顔に触れる水の爽快感で目を覚まし、タオルで顔の水を拭き取った。


そして、海は、自分の顔を鏡で見る。


鏡に映る海の顔は、なかなか整ておりイケメンではないが、不細工というわけではない。あえて言い表すとしたら女性のような顔立ちだ。小さいときはよく女の子と間違えられていたのが若干のトラウマだ。海は適当に歯を磨いて、適当に髪の毛を整えて、朝食を取る為キッチンに移動する。


海は、市販の食パンをトースターで焼き三分ぐらい焼いたら、皿に乗せてキッチン近くの、テーブルに持って行きぼろっちい椅子に座り、パンにかぶりつく。


「うまい」


海は、感謝して朝ごはんの感想を言う。


今日の朝ごはんはパン一枚だ。


「さて、そろそろ出発するか・・・」


海は食べかけのパンを口にくわえ立ち上がり、昨日の夜に準備してあった鞄を背負い、家から出ようと玄関の扉を開放つ。


次の瞬間、突然今まで感じたことのないような黄色い光が海を襲う。


「わぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




突然のことで、何が起こったか分からない海であったが、状況を把握するため閉じていた目を開け、周囲を見渡そうとした、しかし突然の光であったため目が慣れてこない。


「くっそ、いったい何なんだ、ぶっ殺してやる...」


海は、誰に対して言ってるか分からないが、謎の光から30秒たったようやく目も辺りを見渡せるほど回復してきたので、海は目を開けて辺りを見渡す。


「なんじゃこりゃ!」


そこは、いつものボロアパートの玄関前ではなかった・・・


海が初めに目にしたものは、大木だった。どこを見てもその大木が生えている。

目に入ってくるのは木ばかり。木一つ一つ見ても、かなり無作為に生えており、人口で作られたものとは思えない。

そして、木にはそれぞれ苔が生えており、より自然な状態だった。


海の頬に、そよ風が当たる。そよ風からは土の香りやそれに混じった木の香りが漂ってくる。海は、正直あまりいい匂いではないと思う。


どうやら、海の立っている場所は自然豊かな森のようだ。


「・・・・・・・・」


海は唖然とした。


気持ちを切り替えるため頬を思い切り叩く。


「痛い…」


困惑はあるが、なぜ自分が突然森に来てしまったのか、海は考える。


1、幻覚を見ている

2、うちの玄関がドコ○モドアになり、森につながった

3、何かのテレビ番組のドッキリ

4、今朝食べたパンが毒入りで死亡、ここはあの世

5、異世界召喚


海の頭は、突然の出来事で相当混乱しているようだ。全くまともな答えが出ていない。


「とりあえず5つ…」


海は5つの案を検証してみることにする。

まずは1から検証して見ることにした。


幻覚なら木には触れれないはず、と思い海は木に近づいて触れてみる。


「触れる…ホログラムではないようだ…」


次に海は、帰りのドアがないか周りを探してみたがどこを探しても帰りのドアは見つからない。


当然だ。


海は気を取り直して、3の検証をすることにする。

海は大きな声を出すため、大きく息を吸い込み声とともに吐き出す。


「誰かいませんかーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


海の独り言が虚しく響き渡る…


「・・・・・・・・・・・・・・」


海は4の検証を行うため、落ちたパンを拾い食べることにした。


パンは土塗れで汚かったが構わず食べる。


「砂利をジャムにするのは初めてだ...」


三十分後...


「まずかったが、健康状態に問題はないようだ...」


海は、現実逃避したい気持ちを抑えつつ、今の残念はな頭で考えた最後の可能性について考えた。


「異世界?バカらしい...」


そうと思いながらも、高揚感を抑えきれずにいた。


海はネットの異世界小説が大好きなのだ。


「もし仮に異世界なら、魔法使えるか?」


海は右手を突き出し、適当な呪文を唱える。


「ファイヤー!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ただの独り言が虚しく響き渡る


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


海は、恥ずかしさをこらえて、誰も聞いていないのをいいことに、続けることにする。


1時間後・・・


「はぁ、はぁ、はぁ、使えない...」


海は、息を切らすまで、どこかのアニメやゲームで見たような、呪文を唱えたが、一向に発動する気配がない。しかし妙な達成感を得ることに成功する。

海はいったん魔法詠唱を中止し、少し落胆しながらも次の検証を行う。


海は、初期装備に期待した。海は、その辺に、伝説の剣とか落ちてないか、適当に探すが…


もちろん落ちてない...


仕方ないので、自分の所持品をチェックしようとする。しかし学校に行くため背負っていたバックがどこにもないことに気が付く。


「何処いった?」


疑問を抱いたその瞬間、突然海の目の前にゲームのアイテム一覧のようなものが表示された。


「ほう」


海は、驚きながらも表示された所持品のチェックを行った。


アイテムボックス一覧


学校バック

お弁当

ウイスターソース

水筒

筆箱

学校のしおり

財布

スマホ


装備

新品の学制服(上下)

センスが微妙なパンツ

黄ばんだシャツ

ベルト

ランニングシューズ


「家から出た時の装備、そのままだな...」


海は、武器がないことに落胆したが、とりあえずアイテムが出し入れ可能か確かめることにした。海は、一覧にあるアイテムを適当に頭で念じてみる。


「取り出せた…なんかキモイな…」


海は、同様の動作で入れることができるのを確認した。


そして、海はアイテムボックスが出たことから、異世界に来たと仮定して、現状を確認する。


魔法なし、武器なし、食料少量、アイテムボックスは開けて出し入れ可能。

海は不安な心を解消すべく、大きく深呼吸をして気持ちを切り変える。


深呼吸ごときじゃ解消されない。


海は、今やるべきことを考える。


海は、まず安全の確保を考える。


ここが異世界と仮定するのであれば、モンスターが出てくる可能性が高いからだ。


海は、再び念じてアイテムボックスをを開き、何か武器になりそうなものはないか確かめた。


「武器になりそうなものはないな…いや待てよ」


海はあることを思い出した...



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あれは、まだ海が中学三年生の時のことである。


海は生徒会長の席についており、空手部の主将をしていたため、とても目立つ人間であった。

目立つということは、それだけ周りの反感を買う確率が高いということだ。


出る杭は打たれる。


この残念なことわざのように海はその杭になってしまったのだ。


ある日、海はいつものように登校し、下駄箱を開けて靴を取り出すと、ひらひらとピンクの手紙が落ちてきた。


「なんだこれ?」


海は、その手紙を拾い上げ、内容を見てみることにした。



「海くんへ、放課後屋上で待ってます。

                Hより」



「これはまさかラブレターというものではないでしょうか・・」


海は、生まれて初めて貰ったラブレターを持って飛び跳ねる。


思春期真っ盛りの海君は、常に発情期。


「よっしゃああああああああ」


そして待ちに待った放課後。


海は屋上の扉の前まで来ていた。


海は、浮かれる気持ちを抑えきれず、屋上の扉を元気に開ける。


「どこだ、H!出て来いやああああああああああ!」


叫ぶ海、白ける屋上…


海の中学校の屋上はかなり広い。いそ◯と野球ができるレベルだ。


海は、屋上にHがいないか見渡してみる。

屋上にはそれらしき人物はいない。


代わりに、ガラの悪いドキュン人と、その仲間たちが屋上の真ん中で、たむろしている。


海は、それを無視して手紙の主を探そうと再度声を張り上げる。


「恥ずかしがらず出ておいで~「うるせぇ!!!!!」


くねくねしながら叫ぶ海に、突然ドキュン人が突っ込んでくる。海は、適当に睨み付けながら適当に聞いた。


「ねぇ、ドキュン人ここに素敵な女子来なかったか?」


海は、実は状況を理解していたが、ムカついたので敢えて理解していないふりをする。


「てめぇ、まだ気づかねぇのか?」


海は、適当に再度聞く。


「ドキュン人、とりあえず質問に質問で返さないでね?女子見てない?」

「てめえなめてんのか!!!お前等、囲め!」


ドキュン人と、その仲間たち二人は、海を取り囲む。

海は、取り囲まれて恍けて見せる。


「もしかして僕を呼び出したのは、おまえか?」

「そうだ。やっと気づいたのか…」


そして海は、言い放つ。


「悪いな、僕にはそんな性癖はないんだ、男に手紙書くなら、他をあたってくれ。ホモドキュン人?」

「よし、やっぱりこいつは俺が殺る」


突然、海の頭部にホモドキュン人の拳が、飛んでくる。

海は、驚いたがその拳を容易く右手の掌で受け止める。


そして…


「何すんの?暴力反対なんですけど?なにホモは暴力していいの?」

「しばくぞ、クソガキ!!」


海は、激高させてホモの判断能力を鈍らせる。


すると海は、いいアイデアを思いついた。


「仕方ない...分かった…」


海は、徐に自分のベルトに手をやり、ベルトを外した。


「お前、まさか...」


ホモは、顔を引きつらせた。

海は、相手が動揺しているのをチャンスと見て、ズボンからベルトを引き抜き、そのまま、ホモ人の顔面めがけてたたきつけた。


「おら!」

「ひぃでぶぅ!」


ベルトが、ホモ人の目に当たり、ホモの人はうずくまる。


その隙を見逃さず、海はホモの人の顎を力一杯蹴り上げる。


「おべぇえええええええええええ」


ホモ人は、一度空中に浮き、地面に叩きつけられるようにして、倒れた。


「よし、まず一人」

「てめーーーーよくも!!」


突然のことで、驚いていたホモ人Bだったが、仲間のホモ人Aがやられたことで激高して海に襲い掛かってくる。


海は、襲いかかてきたBに向かて、ベルトのリーチを利用して先制攻撃を加える。Bの頬に見ごとに命中


「いてえええええええええ」


海は、Bがひるんだ隙を見て、足に力を入れて、屋上の扉に真っすぐ走り出す、ホモ人Cも襲いかかってくるが、ギリギリのところでCの攻撃を避けながら、屋上の扉駆け抜けた。


「待ちやがれ!」

「うるせぇ!はげ!」


海は、捨て台詞を吐きその場から離脱した。


そして、海は少し学校内を少し走回った。


海は、ドキュンビトを何とか撒くことに成功する。


海は、さっきのことを思い出すと、軽くトラウマになりそうだったが、助かったことに安堵して帰宅するのであった。


そして、次の日から海のあだ名は「ベルト使いの海」という意味不明なあだ名になり、色んな意味で、多くの人間の恐怖の対象になった。そして、残りの中学生活をボッチで過ごすことになる…。


海を呼び出したホモABCはどうなったかというと、たまたま目撃した人が、ホモABCがホモである噂を広げ、卒業するまでホモ扱いを受け続けたという...


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



海は、苦い思い出を思い出しながら武器を決めた。


「ベルトに決定…」


海は、ベルトを外し右手に持って素振りをしてみた。


「ふん!!」


ベルトは、大きな音を立てて風を切った


「いけそうかな?」


海はベルトを片手に、森から出るため歩き出した。


                            












































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