第16話 買うという行為は政治道徳的意志の発言であり、理性的消費が社会を理性化する。 #とは #定期#平和 #戦争 #心理学 #哲学 

買うという行為は政治道徳的意志の発言であり、理性的消費が社会を理性化する。


 政治や官僚機構が、政策決定のための情報収集を、企業や他の政策立案者の提案などから行ないやすいという、組織構造自体の性質上、政策がどうしても社会的供給者寄りの政策決定に傾きがちである以上、消費者側は消費者としての意見の表明を、政策を通して、社会的に打ち出しにくい。


 それが人々の生命と財産の保護、生活の安定と安全を危険にさらす政治活動を抑止する事が困難であるのは明らかだ。


 それが人々に、社会全体への漠然とした不満と不安感、もっと上手くやれるはずだ、というストレスとなっている。


 つまり消費者としての国民の立場や視点が、政策決定過程に関与し、盛り込まれる事が少ない為、それが国民と政府との心理的距離感を生む事になる。


 企業の生産物やサービス、行政の不満が、政治への不満となって、政府への国民の要求となる。


 従って、これらの問題を解決するには、消費者の側にも何らかの対策を講じる必要が在る。


 それは、消費行動の変更である。


 各消費者の消費行動が、単純な費用対効果であり、価格の安さによるものであるなら、そこに生まれる需要と供給の(神の手)は、単なる消費者側の単純欲求の反映に過ぎない。


 しかし、もし人々が商品やサービスを、単にその価値のみでなく、その商品やサービスがより世界に普及する事によって、世界にどんな影響を及ぼすのか、そして自分がその商品やサービスを買うという行為によって、その商品やサービスによって生まれる世界への影響、そしてその企業を支える事に繋がるのだという、より広範囲な意味において、買う、という行為を行なうのだ、という強い自覚と認識の下に、購買行動を行なうならば、その時、その人にとって、買う、という行為は、単なる費用対効果や、消費者側の単純欲求の意志の表れではなく、


「世界をどう変えたいのか」


という意志の表明に他ならない。


 それは消費者側の、供給者側に対する、巨大なメッセージとなる。


 供給者側は、企業の本質として、売り上げと利益の増大を望む。


 消費者側が、理性的に思考し、購買行動を決定するならば、必然的に、供給者側は、消費者の理性的消費行動に合わせた商品とサービスを供給する事を考えるようになる。


 理性的商品とサービスは売れるが、そうでないものは売れなくなるのだから。


 消費者の理性的消費行動が、社会全体を理性化する。


消費者の、消費行動自体の進化は、結果として世界全体の進化をもたらす。



 消費者の一人一人が、


「自分だけでは世界を変える事は出来ない」


と思い込まずに、一人一人が、理性的に消費行動を取れば、それはより数多くの理性的消費行動の集合体を生む。


 供給者は、全体としての売り上げ予想に、消費者心理の変化を予測して商品構成を考えざるを得ない、それが、結果としての理性的商品の生産と販売を産むことになる。


 供給者は、売れる物を作らなければ、売り上げと利益を上げる事は出来ない。


 売れないものは、作れない。


 理性的でない、と言えるものは、売れない、という世の中が生まれる事が、より世界を理性化する方法論なのだ。


買う、という行為は、もはや単なる欲望的衝動に基づく行為ではなく、その消費者、個人、世界の一員の一人一人の、世界への意思表明に他ならないのだ。


その自覚こそ、消費者の進化である、と言える。


 理性的購入、理性的消費、という消費者態度こそが、社会を理性化する。


 一人一人の消費者の意識の進化が、世界の進化を強


力に生み出す原動力となるのだ。


 買うという行為によって、その商品やサービスを作っている企業への支持表明として、またその様な商品やサービスと企業の進化を望む事の証明として、供給者側への意志を表明する事。


 買わない、見ない、聞かない、という拒否行動によって、その商品やサービス、その企業への拒否と否定を意思表示する事が、社会全体、そして世界全体を、消費者自身がどう変化させたいか、という意志の表示に他ならないのであって、消費者が、買うという行為の社会全体に与えられる重要性に気付き、行動する時、一人一人の消費者の意思表明が、世界をどの様に変化させ、どの方向に進化させるか、という全体性を構築して行く。


 消費者は、買うという行為の重要性に、より注意深く在るべきなのである。


 一つ一つの商品を買うときに、


「この商品やサービスを買っていいのかどうか」


「この商品やサービスを買う結果、この商品やサービ


スが世の中に広がっていく事で、世の中がどう変わるのか」


「この企業の商品やサービスを支持するのか」


と自問する消費者が増えれば、それが社会を理性化していく事になる。

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