第14話 問題無認識主義官僚主義問題 #戦争 #平和 #心理学 #哲学 #とは #定期
供給者側の論理と消費者側の論理
官僚は、業者から供給者側の論理と情報を取りやすい立場にいる。
そして人々の声を聞くべき公聴会や議会の場が、業者側の送り込んだ政治家や、公聴会の為に容易された業者側の人々によって占められるので、官僚や政治家の頭の中に入る情報自体が、業者よりのものになり、その結果、作られる政策もまた、業者よりの政策になってしまう。
消費者や民衆の視点が政策に反映されないため、社会の不満は解決されないまま、問題が深刻化することになる。
官僚や政治家になることの多い、受験エリートの問題点
受験戦争的エリートは
「あらかじめ用意された問題に、上手く答える訓練」
を受けた人々である。
エリートとはいわば、答案に答える事が上手い人々であり、用意された問い掛けに対し、答える事が上手い、という事になる。
社会には様々な課題が溢れている。
社会的課題とは、答案に用意されているような問い掛けとは違い、想定外の不規則かつ不可解な問題が起こる事が多く、それにより人々は苦しむ事になる。
国民にとって必要な政策は、社会に無数にあり、人々の生活には、様々な社会問題という、課題に溢れている。
そしてそれらの人々の苦しみを解決する事こそ、官僚や政治家という、政治の存在理由である。
官僚はしかし、
「課題を発見し、解決する」
という訓練を、その人生経験自体に受けていない事が多い。
教育カリキュラムは必然的に、どうしても記憶量と答案作成能力を問うような形になりがちであり、その様な教育環境から勝ち上がり、官僚になった人々は、どうしても記憶能力などが優秀な人間の集まりとなりやすい、しかしそれは、官僚が人間性の理解能力、人権意識に秀でている、という証明にはならない。
答案を作る能力とは、教えられた通りの教科書内の知識の、反復能力の証明の事であって、新たな問題の発見能力と、その解決能力を問うものではない。
その様な教育環境から生まれる官僚は、目の前に課題が用意されていないと、その課題自体を認識できない、という事になってしまいがちだ。
この様な社会構造が、官僚病と揶揄されるような、間違った社会的アプローチを行なってしまう官僚を、育成してしまう。
また官僚の仕事とは、社会的創造性を問われるような事というよりも、むしろ事務処理的なものが多く、許認可権限はむしろ、創造的行為に対し抑制を求めるものである事が多い。
全体の秩序維持の為に官僚は、同時に個々人の欲望の抑制を求める事になりがちとなる。
個々人の自由な活動が、全体の無秩序と混乱を生み出す事を危惧する事が、官僚の仕事となる。
その為、官僚の仕事を行なっていく中に、課題を発見する、というプロセスが乏しい、むしろ課題の表面化を押さえ、問題が存在しないことにしてしまうほうが、人々の秩序が維持とされる、と考えがちになり、問題の発覚を押さえ込もうとする。
新たな問題の発覚は、問題への新たな対処の必要性を生むが、それは同時に仕事量の増加を意味する、それは官僚にとっては、不可測な未来図の再構築を迫る事になり、新たな混乱の火種と成る事を恐れる心理を生む。
日々大量の仕事に追われている上に、さらに仕事量の上積みを求められる、新たな問題の発覚は、官僚にとっては大変な事である。
だから、問題自体が存在しない、という
「問題無認識主義」
を生む。
問題自体が存在しない、という事にすれば、何も行動しなくともよく、新たな行動に伴う結果責任を問われずに済む。
従って官僚は、実際に社会問題が存在していたとしても、そしてむしろその社会問題が大きければ大きいほど、大変な仕事量を求められ、その結果責任も大きく問われる事になる為、その様な責任を問われないようにしようと、より問題の認識自体を拒絶する態度を取る。
その様な過程が端的に現れるのが、官僚の門前払い的態度である。
これは国家別の問題ではない。
現在の社会構造の全体的問題であり、世界全体に共通する問題である。
これは、単に官僚の仕事の性質のみならず、教育の方法論、そして世界全体の在り様の問題そのものなのだ。
この問題の深刻さは、国民のニーズに合わない行動を取ったとしても、官僚は消えてなくなる事は無い、という点である。
民間企業ならば、国民のニーズに合わないことを行なう企業は、その製品やサービスの国民の購入行動が低下し、企業の収入、売り上げが減り、倒産し市場から撤退する。
官僚が問題無認識主義に立ち、問題の存在自体を認めず、国民の要望に対し門前払いの態度を取ったとしても、官僚の収入は、税金という、政府による資金の国民からの強制徴収によって保護される為、官僚は門前払い的態度を改める事は無い、という事である。
これが、国民にとっては、
「税金を取って何もしない、泥棒と一緒」
という官僚への反発を生む。
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