4話 姉には逆らえない

「ふあぁぁ〜」

目が覚めた。俺は今日という日が来るのを心底嫌がっていた。Because《なぜなら》姉が家に帰ってくるからだ。

・・・二度寝するか・・・


…数時間後


「……ろ。」


「…ばか…きろ。」


「起きろつってんだろが!!このくそ馬鹿」

「うっせーな、あと10分寝かせろ」

・・・あれ??この声なんか聞いたことあるんだけど…

「ほぅ、この私にうるさいだと。いい度胸だ、三日後にお前を東京湾に沈めてやろうか?」


・・・どうしよう、この人は冗談を言わないから・・・

俺はすぐに起き上がり土下座した。

「すいませんでした。」

「んじゃ罰として昼飯と3時のおやつ作れ」

「わかりました。」


子供の頃の話だ、俺は姉と鬼ごっこをしていた。

最初、俺が鬼になり姉をタッチし、鬼が入れ代わった。そこまではよかった。

10秒ほどして姉が俺を追い掛けて来た。

あの頃は小さかったのであまり体力の差がなかった俺はすぐに追い付かれ、タッチされた。

タッチしたあと姉はこう言った。

「鬼ってね、人を殺すんだよ・・・」

俺に触れている手から殺気を感じた。

俺は姉の言葉を最後まで聞かずに走りだした。

振り向いたら、長い髪を漂わせながら走ってくる姉がいた。

俺は泣きそうになった。(てか泣いた)

家に駆け込み鍵を閉め、風呂の浴槽の中に隠れた。

パリーンとガラスの割れる音がした。俺は蓋を閉めて息を殺し、母が帰って来るのを待った。

ぺたっ、ぺたっ

と姉が素足で歩いて来る音が聞こえる。

ぺたっ、ぺたっ、

俺は姉が気付かずに通り過ぎて行くことだけを祈った。

ぺたっ、ぺたっ

近くまで来ているようだ。

ぺたっ、ぺたっ

俺は全身全霊で神に祈った。

ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、

ゴンっ

・・・姉が何かにぶつかったみたいだ。ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ

風呂場に着たようだ。

ばしゃばしゃと水の音が聞こえる。

多分、手を洗っているのだろう。

「・・・なぜ風呂の蓋が閉まっているの?お母さんはいつも換気のために開けていくのに?」

やばいやばいやばいやばい死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

ぴちゃ、ぴちゃ

水で濡れた姉の足音が近づいてくる。

ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ

俺は死を予感した。

その時!

「ただ今〜翔と椿、いい子にしてた〜」母が帰って来た。

俺は泣いたよ、嬉しくてね。

その日の夜俺の部屋に姉がきた、姉は

「私と鬼ごっこするときはこの世にやり残した事がないときにすることね」

そう言うと笑いながら部屋を出ていった…


俺はその日から姉には逆らえない弟になってしまった。

というわけで、今は昼飯の材料の買い出し中。

なに作れば満足するかなぁ

口に合わないもの作れば多分殺されるし、うーんどうしようかな。インスタント・・・は駄目か。

あーどうしよ。

その時彼女は後ろからやってきた。

「おっす、翔なにしてんの?」

1話目と2話目に出て来たあいつか、確か名前は…

えーっと・・・

「香山カヤマ 沙織サオリよ。名前まだ覚えてないの?」

「あーあーそういえばそういう名前だったな。」

「もしかして、本当に覚えてなかったわけ??」

「クラスのやつ二割なら覚えてるよ」

「まぁそんなことはどうでもいいけど、何してんの?」

「じつわ・・・」


「ふーん、なら私が料理作ろうか?」

「お願いします。」

「決断速いなおい。」

「それよりも料理できんの?」

「あら、私一応家庭部に入ってるのよ。ちょっとした料理くらいなら大丈夫よ」

よし、それなら大丈夫だな。

「なら今日の12時頃に家に来てくれ」

「あっやっぱゴメン。今日これから友達と遊ぶ予定だったわ明日ならいいよ。じゃあねー」彼女はそういうと歩いて帰って行った。

・・・ジャムパン返せ・・・はぁ、仕方ない出前とろう。



今日俺の財布から大量の金が失くなった・・・

出前とりすぎ・・・

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