第5話 入学前に行うこと
王都は城が中心にあり、それを囲むようにレンガ造りの家々が並び、道も石畳みの為、しっかり整理された都市に見えた。
道幅は広く、馬車が横に2台通っても、人が歩くスペースがある。
馬車は道の中心で歩行者は左右の空きスペースで歩くのがルールになっている。
門を潜って、馬車はゆっくり王都の中を通る。
王都は貴族が多く居る為、馬車はそこまで珍しく無いのか、街中の人々は気にする事も無く、買い物や隣の人との談笑を繰り広げていた。
「さぁ着いたよ」
馬車は1つの高い塀と門番と思わしき方が立っている建物の前で止まった。
「ここが王都の名物、王立魔法学園。ちなみにこの国のすべての国民はここの卒業生でここの門を潜れば君たちも、俺の可愛い後輩になる訳だが、ここで先輩から君たちに少しだけアドバイスをあげよう」
商人のお兄さんが少し笑顔で話しかける。
「学園では基本、身分は関係なく平等とされているが、一応、貴族だけのSクラスと言うのが存在していて、ぶっちゃけ階級差別は存在する。理由としては学園の資金の出資者が貴族連中なので、理事連中の権限が強いからなんだよ。君たちは、それ以外になる、全ての能力が秀でているAクラス、魔法に優秀な才能があるBクラス、運動能力に秀でているCクラスと平凡な能力のE~Hクラスが存在する。学園の建物もS~Cは同じ建物でE~Hは別の建物を使用している。」
話を聞けば聞くほど、思惑やら欲望などの大人社会の一部が見え隠れしている場所だと理解した。
「そのクラス分けは入学時のテストで決まり、学園生活では進級試験の結果で良ければクラス変更もあるって話なのだが、EクラスからCなどのクラスへ行く人は滅多に居ないのが現実なので、今から受けるテストの結果が今後の学園生活のクラスになるので、気合を入れて臨んだ方が良い」
今からテストを受けるのか…個人的にはEクラスなどの平凡クラスでゆっくり過ごしたいが、リリナは間違いなくレア属性の事もあり、AかBへ行くだろう。
寮生活での事もあるので、リリナの面倒はライトとヒカリに任せるので二人にも入学して貰えば良いか。
「一緒になれると良いね」
リリナが笑顔で俺に言ってくるが申し訳ない。一緒になる予定が無いのでヒカリとライトと学園生活を楽しんでくれ。
俺たち7人を残して、馬車は学園の門の前から去っていった。
リリナ、ディーネ、キサラが「がんばろうね」「…うん」などお互いに励まし合っている中、男どもはバラバラで俺は興味ないのでリリナたちの方を見ていて、マークは「頑張ろうぜ」と言い自信を鼓舞しており、ロウは馴れ合う気が無いため、無言で門番に話しかける。フウ?フウはリリナとディーネの間で抱き着かれて可愛がられていた。二人ともその子、男の子ですよ。
赤い顔をして「あわわわわ」と狼狽えてるフウを羨ましいと取るか哀れと取るかは、人それぞれだが俺は哀れだと思う。
門番が俺たちに名前を聞くと、ディーネとフウは別室へ呼ばれて、残りのメンバーが一緒の部屋に案内される。
試験は学力テスト、魔力検査、模擬戦の3種を行う。
学力テストは一般常識と国の成り立ち、簡単な計算だった。
俺は全て点数をコントロールして半分以上の60~70正解位を目安に抑えた。
魔力検査は魔力球と言う水晶玉に魔力を通すことで、属性と魔力量が分かる魔道具を使うらしい。
魔力量も全力で魔力を流してその輝きを見る大雑把なものでゲームなど見たいに数字化がされないのでコントロール次第で強くも弱くもなる。
魔力結果はすぐに伝えられてリリナは聖属性がメインでサブに水属性があった。魔力レベルは中で村人は小~微が多いので、魔法使いとして活躍できるレベルらしい。
俺は水晶が黒くなったので初めての事態に試験官が困惑したが、黒は属性無しと伝えられているので属性は無しで魔力は中判定だった。
ここに来て俺が思うのは黒は属性無しではなくて、全属性の色が混じって黒になっただけでは?そして、過去に黒髪の人が魔法を使えなかった理由としては、互いの属性が干渉して上手く発動出来なかったからでは?と推測する。
模擬戦はかなり手を抜いて、木剣が触れる瞬間に自分の木剣を手放して、武器が弾かれた様に見せたらそこで終了になった。
俺の模擬戦を見て、リリナが「グレン手を抜き過ぎ」と憤慨していたが放置した。
リリナは森で活動していた事もあり、そこそこ動きは良かったらしい。
試験終了したら入学日までは学園が手配した宿で過ごすことになる。
貴族組は学園内にある寮で寝泊まりらしい。何か問題が起きたら大変だからとの理由らしい。
試験の感じも魔力量以外は狙い通りだし、E~Hクラスに配属になる可能性が高い。
ディーネには俺が戦闘できる人だと思われているのであまり、接触したくないので別校舎になるのは都合が良い。
あとはライトとヒカリがリリナと同じ校舎になるようにすれば良いので俺は安心して悠々自適な生活が手に入ると思われる。
(俺は権力者と関わらず、のんびり学園生活を送るぞ!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます