第10話 教育に悪い教育係

 サクッとシャワーなりを済ませた後、零とともに部屋に向かう。

「大地。こっちであってんの?」

「ああ。……この部屋だ」

 部屋の前に立つと、姦しい声が聞こえてくる。ノックをすると「どうぞー」と声がかかった。

「今戻った……おお」

 部屋に入ったら、少女たちの服が変わっていた。おそらく、王が言っていたのがこの服だろう。

 蔓茱萸は、迷彩色のパーカーにカーキ色のスカート。なぜかフードには顔が書いてある。木蓮は、紺のブレザーに赤いチェックのスカート。

「隊長、どう? かわいいでしょう」

「……いいんじゃないか?」

 2人とも雰囲気に合っていて、確かにかわいい。

「女子かよ。男なら童貞食ってやろうと思ったのに」

「零!」

 (ある意味)物騒な言葉で雰囲気をぶち壊された。

「どうてい、ってなに?」

「ね、合歓ちゃん。そんなの口に出しちゃだめですー!」

「……キミは知らなくていい」

 木蓮が慌てているが、零はマイペースに受け流す。言っとくが、お前のせいだからな?

「隊長。なんで零が一緒なん?」

「こいつが勉強を教えることになったから」

「はぁ!? バカじゃないの?」

「すごく教育に悪そうだけど」

 千夜一夜と神無が責めた目で見てくるので、慌てて言い訳した。


「改めて。龍華りゅうかぜろ。まあ、よろしく」

「零は学者をしてるんだ。今回君たちに勉強を教えてくれることになった」

「確定なのかよ。……まあ、いいや」

 零がぼやいてるが、気にしないことにする。

「学者さん、ですか? どんなことをしてるんです?」

「考古学だよ。ま、今は実質学芸員みたいなもんだけどな」

「学芸員ですか?」

「そう。博物館で色々しゃべるついでにちょっと研究とか。そのくらい」

 木蓮が零に食いついて、質問をしている。

「それで。どこから教えるかわかんねーから、とりあえずコレ読め。で、どのへんからやればいいのか教えろ」

 零が2人に本を渡す。見ると、懐かしい『小学校の教科書』だった。

「じゃ、また明日な」

「もう行っちゃうの?」

 蔓茱萸が声をかける。

「寂しそうにすんな馬鹿。明日また会えるっての」

「……うん。わかった!」

 零がドアから出て行った。

 2人とも好意的だし、零も変な発言は控えめだったし。まあ、心配はいらないか?

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