第8話 腐れ縁の友人関係
親父のところを出て、あの子たちの部屋まで戻る途中。廊下で、見知った顔に出会った。
「よう
「あーん? なんだ大地か」
この口の悪い奴は
「なんでこんなとこに……ああ。官九郎の件か」
「知ってるのか!?」
一応、あれは機密事項だったはずだ。将来はともかく、今は俺の隊や上層部のごく一部しか知らないはずだ。
「アレがわざわざ独房まで呼び出して教えてきやがったんだ。話なげーから2、3回殴ったけど」
「殴ったのか」
「というより、蹴った」
ともかく、ちょっとボコったらしい。まあいつものことだしいいか。
「そうだ。零、頼みがある」
「断る」
「あの……え?」
「どうせ官九郎と同じこと言うんだろ? ガキに勉強を教えろって」
「あ、ああ……」
「小うるさいガキに興味なんかない。教え役なんて他にいるだろ?」
「他に、なぁ……」
俺たちは任務でよくいないから難しい。外部の人間は却下。となると内部であの子達に偏見を持たなそうな奴。
「やっぱお前しかいないわ。頼む」
「なんでそうなんだよ!」
「いやー。もう知ってるなら機密もないし人柄は信用してるしお前教えるのもうまかったよな? だからだよ」
零のおかげで苦手だった科目もすんなり高得点取れたし。
「知りません。面倒なので、他をあたってください」
急な敬語。本当に面倒な時の癖が出た。だが、やっぱりこいつしかいない。
「零。学生時代、お前が食い漁った男がストーカーになって大乱闘した時、止めたのは誰だったっけ?」
「げっ」
「他にも、恋人がいる奴と寝て恋人の女に呼び出されたり、教授が脅してきた時に対処したのも俺と官九郎だよな?」
あれ? なんでこいつと俺たち友人なんだ?
「だー! わかったよ! 会うだけ会ってやるから!」
「ああ」
今更『会わせるの教育に悪くね』と思っても、やっぱいいなんて言えずに。まあ少しは自重してくれることを祈った。
「じゃ、隊舎の客間にいるから行こうぜ」
「待て」
「ん?」
「お前汗臭いんだけど。そんなんで会いに行くのかよ」
「あ」
親父と言い合ってる時に冷や汗ダラダラだったんだっけ。
「シャワーして着替えてこい。今のお前と一緒に歩きたくない」
「わ、わかった」
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