賢者の石
『そうかぁ…きゃつが小僧の所へなぁ』
師匠へ事の経緯を説明する為に電話をした。
北嶋さんが「あのオッサンは何者だ?」と聞いてくるので、師匠から説明して貰おうとしたのだ。
『サン・ジェルマン伯爵とはな、中世のフランスに居た錬金術師じゃ。齢3000歳とも4000歳とも言われておる』
「3000~4000歳?随分長生きだな!!」
突拍子も無い話を平然と受け入れる北嶋さん…少しは疑ってもよさそうなものだが。この辺りはやり易いからいいのか?
『ヨーロッパ中に現れてのう…マリーアントワネットの処刑を予言したり、ナポレオンに手助けしたり、あのヒトラーにも接触した事もあるそうじゃ』
「ほう、随分とお節介なオッサンなんだな?」
普通お節介で片付けないと思うけど…
突っ込みたい私を他所に、師匠は続ける。
『きゃつは錬金術師では最高峰でな、砂を金に変えたり、不老不死の水を作ったり、時空を超えて旅したりと、神にも悪魔にもなれた存在じゃ。その技術の礎にあるのが、賢者の石と呼ばれる石じゃ』
賢者の石…その単語を聞いただけでもこんなに緊張する…
『元々賢者の石は古代日本の卑弥呼が持っておったのじゃが、どういう経緯か知らんが、きゃつがいつの間にか所有しておってのう』
「日本の物なのか?日本スゲェな!」
感心する所がそこ?ますます突っ込みたい!!私の緊張を返して!!
『日本の物かも解らんが。大陸から渡って来たのかも知れぬしの。まあ、ワシが若い頃、伯爵から奪ったのじゃ。在るべき所に返そうとしての』
「婆さん!!若い頃なんてあったのか!!」
北嶋さんメチャクチャ驚いた!つか、何を口走っているの!?
いくら師匠でも若い頃はあったに決まっているでしょうが!!
『尚美、聞こえておるぞ』
聞かれていた!!心を読まれた!!
フォローしようとしたが先手を打たれる。
『下手な慰めは不要じゃ』
ま、まあまあ、と先を促す。何を言っても藪蛇にしかならないのなら大人しく聞いていた方がいい。
『小僧、賢者の石はの…言わば欲望の鏡じゃ。賢者の石を所有しておれば、何でも思うが儘。地位も、名誉も、金もなぁ。それ故に欲しがる人間も多いのじゃ』
「じ、じゃあ神崎の風呂を覗くのも可能なのか!?」
北嶋さんの背中に膝をくれてやる。強めに。手加減なしに。
「ぐごっ!!!」
北嶋さんの背中が反り、悶絶する。が、直ぐに気を取り直す。
この立ち直りの速さは驚嘆するなぁ。
「そのオッサンが何故俺を狙う?狙いは賢者の石ってヤツじゃないのか?」
『おそらく小僧に賢者の石を預けたと思ったのじゃろう。霊を素手で何事も無く触る事が出来たのが、石の力と思ったのじゃ』
「じゃあ婆さん。オッサンに連絡してくれ。俺は知らんとな」
北嶋さんに石を預けた所でお風呂覗きくらいしか出来ないだろうが、伯爵の読みも解る気がする。北嶋さんの珍体質の説明が付かないからだ。
石の力を使用した、と考えるのが自然なのかもしれない。
『その事じゃかな、小僧、石を預かってくれんか?』
師匠がまたとんでもない事を言い出した!慌てて電話を北嶋さんからひったくる!!
「師匠!北嶋さんに石を預けたら私のお風呂が覗かれます!!貞操の危機です!!」
今だって毎回毎回お風呂を覗きに来るのだ。石を持ったら北嶋さんに100%覗かれてしまう。
『風呂くらい構わん。どんどん覗かせるがいいじゃろ?』
し、師匠!?今何と!?
「婆さん、今すぐだ!!今すぐ石を届けてくれ!!」
即答した北嶋さん!!私のお風呂を覗く事が出来ると言う、石の有り難みを全く度外視した、超個人的な欲望の瞳を以て!!
証拠に鼻の下が伸びまくっている。目尻もだらしなく垂れ下がっているし!!
「ダメよ!ダメダメダメ!!北嶋さんには荷が重いわ!!あれば人類有史以来の宝なのよ!!」
『だからじゃ。小僧は風呂覗きくらいしかせんじゃろ?世界征服や不老不死を願うタマではあるまいて』
確かにそうだけど、私の貞操は?
『お前さんの身体は綺麗じゃよ。寧ろ見て貰った方が良いじゃろ?』
師匠ぉ―――――!!
何を訳の解らない事をおおお―――――!!?
「婆さん…流石だ!!」
北嶋さんがかなり感心している!漢泣きまでしているし!!
『今から持たせて出向かせるわ。尚美、これは決定じゃ。すまん!!』
ガチャッ!!…ツーッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ…
「切れちゃった!!しかもすまんって言った!!」
暗闇に叩き込まれた気分になり、蹲る。
「神崎…世の中にはな、儘ならない事が多数ある。だから気にしてはいけない」
北嶋さんが、かなり楽しそうに私に同情しているのがかなりムカく!!
「婆さんの使いはまだかなぁ?」
「電話切ってから30分も経って無いわよっ!!」
さっきから20回は聞いて来ている。どんだけ楽しみにしているのよ!?
「いい?賢者の石はね、普通の人が持つと碌な事に使わないの。自分の欲望とかね!だから師匠が持った方がぜぇ~ったいに良い筈なの!!」
先程から『断るように』仕向けているが、北嶋さんが全く聞く筈も無く、ただ石の到着を楽しみにしていた。
「…石を預かるって事はね!狙われる頻度も格段に上がるって事なの!石の在処を廻ってとばっちりで死んだ人もいっぱいいるんだから!!」
「向かって来たら、全部倒せば済む話だろう?」
不適な笑いをしている北嶋さん…どこから、そんな自信が湧いて来るのか…
「…お風呂覗こうとしたら本っっっ気で出て行くからね!!」
私の警告(?)に、さっきまではしゃいでいた北嶋さんが、いきなり表情を曇らせた。
「え……?し、しかしだな、神崎は婆さんに命令されている筈だろう?」
師匠の名前を出して来た。明らかに動揺している。
確信した。いや、していたけど再確信だ。
やはり北嶋さんは石を使ってお風呂を覗こうとしていたのだ。なんて小さい野望なんだ!!
「…北嶋さん…平和ねぇ……」
呆れたと言うか、何と言うか。
きっと北嶋さんは、幅広く悪用する事は無いと思う。
師匠もそれを見越して石を託したんだろうけど…お風呂を覗かれるのは本気で勘弁だ。
「そんな訳だから、覗くなら覚悟して来てね」
「っくうぅ……」
膝を付く北嶋さん。何故か形勢逆転のような気がして気分がいいなぁ。
でも師匠の事だから、石をそのまま預けるような真似はしないと思うけど…
多分何か細工をして、石の効力を無効にしている筈だし。じゃなきゃ、簡単に預けるとか言わない筈だ。
それより師匠は何故北嶋さんに石を預けようとしたのだろうか?
サン・ジェルマン伯爵が石の所在に気が付かない訳は無い。
北嶋さんと伯爵を意図的にぶつけようとしている?
何の為に?
私は考えながら先程北嶋さんと伯爵の戦闘によって、散らかった家を掃除する。
北嶋さんは相変わらず膝をついたまま苦悩していたが、無視する事にした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「し、師匠?ほ、本気ですか!?」
師匠の部屋に呼び出された私は驚愕した。
あの『北嶋 勇』に人類の至宝を預ける事を決定したと言うのだ。
「やはりその反応かえ…なかなか良いアイデアだと思うんじゃがな?」
師匠が頭を掻きながら困っている。何か言いたそうだが…
「何かあったのですか?その決断をする何かが?」
「梓…小僧の所に、あやつが現れたそうじゃ」
私の心臓が一つ、大きく鼓動した。
「サン・ジェルマン伯爵が!?」
身体が小刻みに震える。
「どうやら小僧に石を託したと勘違いしたようじゃ」
「北嶋氏は?尚美は無事なのですか!?」
伯爵と対峙して無事でいられる訳が無い。近年では唯一、水谷師匠が退けたくらいだろう。
ひょっとしたら、北嶋氏は半身不随になって、石の力で治療しようと言うのでは…?
「あっさり退いたらしいわ。」
「……え?」
私の予想と真逆…いや、それどころか退いた?何故?
「小僧の力に怯んだようじゃな」
怯んだ!?あの魔人が!?
驚きと共に、身体が大きく震える…!!
中世ヨーロッパの歴史の裏で暗躍し、不老不死を実現させ、あらゆる時代にタイムトラベルし、未来も預言していた最高峰の錬金術師が北嶋氏に怯んだ!?
「怯んだと言うよりは、予想の範疇を遥かに凌駕した故に驚いた、と言う程度じゃがな」
あの魔人の予想を凌駕した!?
そう言えば…尚美は以前水谷の食堂で軽く口論になった時、もし北嶋さんと対峙する事になったら私の代わりに北嶋さんが『奴』を倒してくれると言い切った。
あの場のみんなは無理だと思っただろう。あの生乃ですらそう思った筈だ。
だけど尚美だけは全く疑いもせずに言い切った。
「……尚美が正しかった…?」
震えが止まらない…
「梓、お前さんが小僧に石を届けるんじゃぞ。あやつはお前さんにも縁が深かろう。小僧ならば…石を含め、あやつも葬る事が出来る」
師匠の一点の曇りも無い瞳に私は見据えられた。師匠も信じたのか?北嶋 勇を…あの素人を!?
「…私は大人しくしませんよ?それでも私に届けろと仰いますか?」
伯爵と対峙出来るチャンスがひょっこりと、しかもあっさりと転がって来たのだ。
伯爵との因縁がある私が黙っている訳が無いのを知っていて言っているのか?
「お前さんじゃ犬死にじゃがな、小僧なら倒せるじゃろう。まぁ、小僧に任せてみるが良いわ。カッカッカ!」
師匠の笑い声が、北嶋氏の勝利を確信している事を物語っている。
確かに凄いと思った。素手で憑依を抜くなんて見た事も聞いた事も無かったから。別館の男共もあっさりと倒した。だらしないとはいえ多勢の男共を。喧嘩慣れしているんだな、程度にしか思わなかった。
彼にはそれ以上の何かがある…師匠と尚美だけはそれを知っているんだ…
だけど私には信じる事ができない。結局師匠がどうにかするんだろう。
その安心感だけを頼りに、私は力強く頷いた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
昨日はお風呂を覗きに来なかった北嶋さんではあったが、やはり石の到着を首を長くして待っている様子だ。さっきからそわそわしている。椅子に腰掛けたかと思ったらすぐに立ち上がり、ウロウロと。
「神崎、何時頃石が来るんだ?」
「知らないわよっ!!」
軽くキレてみる。威嚇も込めて。そんなにお風呂を覗きたいのか?
「安心しろ。風呂を覗くのは諦めた」
驚いた。昨日の脅し(?)と、今の威嚇が多少効果あったのか?
「お風呂を覗くのはやめたみたいだけど…今度は何を考えているの?」
あの北嶋さんが簡単に引き下がるとは思えない。お風呂覗きの代わりに何か思いついたのかも。
「な、なんの話だぁい?」
北嶋さんの大袈裟に肩を竦めるポーズ。脂汗を大量に流して目を泳がせている。
「……言いなさい……!!」
「な、何も企んでないさぁ!な、何を証拠に俺が寝室に侵入すると思ったんだぁい?」
「今度は部屋に入ろうとしているの!?」
北嶋さんの動揺が激しくなった。膝がかくかく震えている。まるで生まれたての小鹿のように。
「ば、馬鹿を言うな!お、俺が部屋に入ろうとする訳…ぷあっ!!」
北嶋さんの言い訳を聞く事も無く、私の拳がいつものように鼻を直撃する。
鼻を押さえながら立つ事も儘ならずに、その場に屈んでしまった。毎度毎度の事である。お互いよく飽きないなぁ、と軽く感動を覚えた。
ところで、屈んだ北嶋さんの直ぐそこに、丁度良く私の脚がある。
とどめとばかりに爪先で北嶋さんの顎を蹴り上げた。
「ごぉっ!!」
北嶋さんが跳ね上がる。
「碌でも無い事ばっかり企んでいるんじゃないわよっ!!」
仁王立ちで北嶋さんを睨む。
「あ、ああ…」
何かを訴えようとしている。震える声で。流石にやりすぎたかな…?ちょっと反省。
「青………」
青?はて?
ところで今日はスカートだ。ストッキングは白を使用している。
ふうん、成程。と左フックを放つと、それが見事にテンプルを捉えた。
「ぐあああああああ!!」
簡単に蹲った北嶋さんに指を差す。
「私の下着を見ているんじゃないわよっ!!」
「あ、青は自己責任だろう?」
テンプルを押さえながら訴える。涙目で。
「何ですって!?」
再び北嶋さんにパンチを当てようと振り翳すが、丁度良いタイミングで呼び鈴が鳴った。
「ほ、ほら!来客だ!」
流石に私の身体が止まった。お客様にこんな姿を見せる訳にはいかない。石を運んできた水谷の姉弟子かもしれないし。
「…命拾いしたわねっ!」
不完全燃焼ながらも玄関を開けた。
「はい。どちら様でしょうか?…って梓!?」
開けた先には私の同期の有馬 梓が立っていた。結構な荷物と一緒に。
「梓?石を運んで来たのは梓?」
「元気だった?此処に来る途中ナンパが酷くてね。ちょっと遅れちゃった」
梓は私と同い年とは思え無い程、綺麗だ。出掛ける度に男の人に声を掛けられるのだ。遅れたと言っても時間の指定は無かったから気に留めていなかったけど、わざわざ言うって事はひょっとして自慢!?
「……綺麗だ……」
いつの間にか私の背後に立っていた北嶋さんが、ダイレクトに第一印象を述べる。つか、水谷で客間に案内して貰ったでしょうに。忘れちゃったのか?あの時は眠そうだったからなぁ…
「ふふ…ありがとう。北嶋さんもかっこいいよ」
外に出ると、しょっちゅう口説かれる梓は、あしらい方も手馴れていた。この返しもその類だ。
「ほう。神崎、婆さんの弟子はみんな見る目があるな」
適当にあしらわれていると気が付かない北嶋さんは、梓の言葉を素直に鵜呑みにする。
「な、なかなか手強そうね…」
梓は笑っていたが、その表情はどこかぎこちない。
梓が私に耳打ちをする。
「流石尚美。よくあんな人と暮らせるわね」
「あんな人?そ、そりゃ北嶋さんは無茶苦茶だけど!!そんなに酷い人じゃないよ!!」
ついカッとなり、大声でフォローする。
梓がニヤニヤし始めてとんでもない事を言う。
「ふふ~ん…やっぱりね…こりゃ生乃が心配する訳だわ」
「ち、ちょっと!何を言い出すのよ!」
両手をブンブン振りながら否定する。だけど顔が熱くなって来る。何で!?
「何を話しているのか解らんが、取り敢えず中に入ったらどうだ?」
はぐらかすチャンスとばかりに北嶋さんに乗っかる。
「そ、そうよ!さ、さぁ、入って入って!!」
梓の背中をグイグイ押した。
「ふふ、はぐらかされてやるか」
意地悪な笑みを浮かべながら、家の中に入って行く梓。はぐらかしたってバレたのか…
北嶋さんが、事務所の応接室(二部屋ある居間の位置を改装したのだ)に、どっかと腰をかけた。
「神崎、お茶」
………偉そぉぉな態度だ!
「ふふふ…お構い無く」
北嶋さんの正面に座った梓が、意地悪そうに笑っていた。
「あのねぇ!お茶くらいは確かに煎れてあげるけど、その態度どうにかしなさいよ!!」
文句を言いながら支度する。梓は石を運んできた来客。お客にお茶も出さないのは色々おかしいから。
梓の前に玉露をトン、と静かに置いてから北嶋さんの前に、出がらしのパックほうじ茶をドカン!!と力任せに置いた。
「うわちゃああああ!!」
どうやらお茶が掛かった様子。しかも大量に。わちゃわちゃと身体が忙しく動いているのが動かぬ証拠だ。と言うか見たから解るんだけど。
「あら?すみませんねぇ~所長様」
「い、以後気を付けるように…」
北嶋さんが、タオルでお茶を拭く。着替えた方が早いだろうに。
「いつもこんな感じなの?」
梓の素朴な疑問に、二人、殆んど同時に答えた。
「ほぼ…」
「毎回だ」
梓が大笑いした。まあそりゃそうだ。こんなのが日常なら見る分は愉快だろうから。当事者としては複雑だけど
「そ、それより、石は?」
力ずくで話を変えると、笑っていた梓が、ピタリと止まる。
真剣な顔付きになり、桐で出来た木箱を取り出す。
「これが石か?木箱にしか見えないが」
これまた真剣な顔付きで北嶋さんか応じる。
「…天然さんか…」
「…見た事そのまま話すのよ…」
包み隠さず晒け出す北嶋さんだが、多少は考えて話して貰いたいものだ。
「…石はこの木箱の中にあるのよ」
ふーんと言いながら木箱を開けようとした。
「駄目よ!石は見せられないわ!」
梓がきっぱりと毅然とした態度で石を見せる事を拒絶する。
「ああ、やっぱりね」
理由が解っていたが、北嶋さんは釈然としない様子。と、言う事は何の細工も施さなかったのか。そっちの方が驚きだ。
「なぜ見てはいけないんだ?」
ごもっともな質問だ。当然この質問が出るだろうと予測していた梓はゆっくりと語りかけるよう、説明をした。
「石を見た人は、石の魔力に侵されて自我が保てなくなるの。最悪狂人になっちゃうかもね。耐えられる人も欲に駆られてしまう。要するに危険過ぎるのよ」
北嶋さんは、成程と頷いた。
「婆さんなら兎も角って事か」
「ええ、そうね。弟子である私達も、一部しか見る事が叶わなかったわ」
「お前は石を運んで来た訳だ。お前は見た事があるのか?」
北嶋さんにしては、もっともな質問だ。お前って言い方がすごおく
梓は確かに石を見る事ができる。
私も見た事があるが、石の魔力が怖くて、直ぐ様見るのをやめた。
梓は一つ溜息を付く。
「私のお父さんは宝石商だった…」
「!!梓!北嶋さんに話してもいいの!?」
「ええ。師匠が私をここに石を運ばせたのもそう言う理由でしょうから」
流石に慌てた。如何に北嶋さんとて………えーっと…なんでだろ?負ける姿が想像できない。簡単に退ける姿は容易の想像できるけど…
と、兎に角、何の覚悟も持たない状態では流石に酷いだろう。
「北嶋さん!!この話を聞いたらもう戻れなくなるわよ!!」
「戻る?早い話が、あのオッサンをぶっ倒せって事だろう?」
キョトンとしている北嶋さん…
そうだった。北嶋さんは、こういう人だった。
肩を落とす私だが、全く不安に思っていない私もいる。なんでだろ?
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