「逃げ切った世代」の自覚がないクレしん新作映画

 なんか、クレヨンしんちゃんの最新作映画の評判がよろしくない。


 超能力を手にいれたしんちゃんと、三十代無職の敵役の話で、クレしんなのに子供を無視した作品だし、今の三十代とかにも刺さらないウエメセな作品だ、というような感想が聞こえてきた。


 これ、ドラクエの映画の時もラストに余計なドンデン返しを練り込んでブーイングだったのに、またやった、とか言われていた。


 しんちゃんの父ちゃんの野原ひろしは「勝ち組」なんだという認識がないんだろうという読みをされていたり。


 しんちゃんは勝ち組の子供で、恵まれた環境にある子供で、上澄み家庭の子だ。


 そんなしんちゃんが「仲間」と呼んだところで、ウエメセすぎてまったく響かないし、父ちゃんが「頑張れ」と言っても、余計なお世話としか聞こえない、と言われていた。




 これ、制作陣が自分たちを「逃げ切り世代」という自覚ないんだろな、という感想だ。野原家というのは、どんどん悪化していく中流家庭モデルのせいぜい「昭和版」であって、その後の「平成版」だと野原家は決して中流家庭ではないんだよね。


 都心に一時間以内で通える近郊都市にガレージ付き一軒家を構え、専業主婦で二児を養育できるご家庭は今じゃ中流ではない。


 そんな上流家庭のしあわせ家族から、「仲間」だの「頑張れ」だの言われても。


 仲間という言葉は同等という意味になるんで、ここは「友だち」の方が良かったよな、と思う。友だちは同等という意味を含まない。


 そんで、父ちゃんが言える言葉なんてのは何もなかったと思う。


 逃げ切った者が、後続の者達に何を言えと?


「頑張れ」も違うし、「負けるな」も違うし、「よくやった」も違う。強いて言うなら、運が悪かっただけなんだもの。逃げ切り世代は運が良かっただけだもの。


 掛けられる言葉がまったく見つからないなぁ、と思った。


 黙ってたら良かったんじゃね?(苦笑

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