まだ納得がいかない人に解説を試みる ③

 今、脚本家の相沢さんに集中砲火がきてるけど、それこそあの構造が最大限に効果を発揮しているということなんだよね。下請けの一番立場の弱い者を両端に置くというあの構造のさ。よく考えてほしい。


 あの構造はとてもよく出来ているんだということが今回見事に証明された。


 芦原先生は「個人事業主」の漫画家で、相沢さんは「制作会社」の「個人事業主」の脚本家だ。雇用主はそれぞれ「小学館」と「日本テレビ」、しかも組織は縦にも横にも細分化されていて、個々の社員の団結は阻まれている。結託を阻む為の構造なんだわ。上の指示が通るよう、上の手間が増えて業務で煩わされないように、て。


 よく出来てるなぁ。そうでなきゃある意味組織なんて回らんってコトだよ、これ。


 この構造だって悪意で作られたわけじゃないと思う。巨大な組織を回していく為に、スムーズに動いていく為には上意下達がしっかり守られないといけないから、上が決めたことにいちいち反発されたんじゃ、ロスが大きすぎるから、という理由でこの構造は現役で活躍し続けている。別に悪いばかりじゃない。


 だけど、この構造は「上が」すべての責任を負う立場であるってことなんだよ。日本式様式美に合わせた構造でもあって、両端の末端に責任が行かないようにするのが本来だったの。トップが頭下げて手打ちにして、すぐには変えられないけど努力していきましょう、てのを上意下達するのに適した構造。


 だから、そこを補うように間に沢山の部署を挟んである。誤魔化しが目的なんじゃなくて、チェック箇所を増やして指示の確度を上げるためだったろう。



 後は、相沢さんの能力だけど、脚本家としての彼女の強みはたぶん「辻褄合わせが巧い」ってことだと思う。色々と要望が出てきても、それをなんとか巧く落とし込んでなんとかストーリーを破綻させずに成立させるってコトが巧い人なんだと思う。


 山ほどお題を出されて、そのお題を一つも溢さず話に突っ込んで、なお破綻とか矛盾も小さく収めるって、これはこれで凄い才能だよ? そんで現状のドラマ制作現場だとこういう能力は重要だったと思う。特に役者よりアイドルとかに比重が掛かる現場だと。(最近は本当にアイドルとか言っても演技に力入れて役者でも通用する人が増えたけど、それも本当に平成辺りからと思うし)


 芸能事務所って、本職の役者さんにだってNGの役どころとか色々あるよね。何でもやりますって、役者さんでもそうそう居ないんじゃない? それ調整するわけよ。


 こういう人はそりゃ脚本家としてはすごく重宝されるよ。


 そんで、9話10話で評判が悪くなった原因も、色々お互いに不満はあったけど芦原先生と相沢さんが、結果的に見れば「二人三脚」体制だったものが崩れて、ドラマ制作ではドシロウトの芦原先生単独でストーリーを閉めたからだと思う。風呂敷の畳み方ってそれでなくても難しいんだし。


 じゃあ、いったい何が悪かったんだ、と言えば「どの道二人三脚やらせるんだったら、途中からでもいいから直で会わせとけ」て話なんだよね。二度手間三度手間が起きてんのに、末端だからって、その改善をほったらかしにしてたトコだと思う。構造のトップである局と出版社が鈍感すぎる。柔軟さが欠けてて、不具合あるのに従来通りに固執したのが直の原因と思うわ。色々話聞く限り。さっとやり方変えたら良かったのに。(ま、決定的に決裂して脚本家に降りられたら困る、て理由もあるだろう。脚本家界隈が慢性人手不足でサブ担当が付けられなかったみたいだし)


 第一その方が合理的じゃん。東京と大阪とか離れ過ぎてたわけでもないんだし。



 東京バンザイな知識人はさ、東京に住まなきゃダメだとかぬかすけど、こんなんじゃぜんぜんメリット生かされてないと思うよ?



 これまさに、昨今取り沙汰されてる「感情の問題」だよね。性的同意ばかり言われるけど、こっちもすごく深刻な話だ。で、なのにこれをまったく取りあげないのがTV局各社のダブスタというか、実は何も理解してません、ての露呈させてる。いや、理解してないからどう取りあげたらいいか解らん、が正解なのかな?


 同意してても感情が納得してなくて、PTSDに近いものを発症してしまうタイプの人にどう対応するか、というのがキモなんであって、憲法とか全部変えればいい、てザツな解決法はまさにズレまくってんだよね。何も解ってないんだと思う。


(こういう風に明文化することはなかなか面倒でも、感覚的に理解してる人はあの連中にモヤっとするんだよね。で、モヤっとな人の方が圧倒的に多い。)


 そんな簡単に解決する問題じゃなくて、理解にも苦労を要して、それを簡単に今行動に移せている人が、本当はなんなのかってのは推して知るべし、だよ。

(誤解を生む書き方だった、「活動家」と名指ししとく)




 今度こそ、自分の原稿に戻ります。(原稿もこのくらい書けたらねーww)

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