オーバー30コンテストで、危惧するポイント

 参加表明の作品を幾つか読ませてもらった。


 気になる点が二つほど見つかった。一つは、ラノベ主体の場所ゆえか、年齢層が固定的であるなということ。一つは、低年齢ばかりだな、ということだ。


 Web小説もかなり多様化したとはいえ、相変わらず人気があるのは「少年誌相当」を守った作品だけなのを、開催側は解っているのかいないのか。


 オッサン主人公といいつつ、そのオッサンは精神年齢がずいぶんと低い。


 良い方向へいけば、歳の割に若いとなり、悪くいけば幼稚な精神性といったオッサンたちばかりが人気だ。探せばもちろんちゃんと大人相当のオッサンも居るのだろうが、人気作にいかほど現れているかは知らない。幼稚なオッサンほど目に付きやすいというだけかも知れない。


 これは、作者が経験不足で自分の範囲でしか書けない限界問題に由来するのかも知れない。周囲の大人を観察するにも、普段は隠している深い部分を、垣間見えた瞬間にキャッチするなどという芸当はそうそう簡単ではないのだから、自然、大人の観察はまず書物などから、となるわけで、要は読み込み不足ゆえ、とも考えられる。ヘッセだのパールバックだのを読めというのは、その辺りでないと大人も認める大人を観測できないからだ、というわけだよ。


 昨今は、ドラマなどでも本当の大人が主体で出てくる作品はウケが悪くて少ないのが現状で、その事実を知らない若者が増えたのかも知れない。君らの思う大人は、大人からみればてんで幼稚なチョケた道化だったりするのだが。(ここらはもう少しフクザツで、大人はチョケた道化然とした生き様にアコガレがあるからややこしく、ドラマのキャラはチョケた中に僅かに大人を垣間見せてくるのだが、その垣間見せた部分を見逃しているのだろうから問題だという…)


 たまにはアマチュアの作品も読み込もうかと思って、カクヨムの作品で気になったモノをつまみ読みさせてもらったが、大人を標榜しているわりに大人とはとても思えない精神性を持つキャラが、割と多く見受けられるのが気になった。


 これは反転して、自身にも危惧されるべき問題点で、作者自らでは気付けないのではないかと思ったわけだ。自身では大人を描いていると思っているが、他人からみればそれはとても大人の振る舞いではない、というか……ダイジョウブか、自分、と。


 大人を観測する機会は少なく、きちんと観察できていない作者が大人を描くことが出来るわけがないということで、その様相が如実に表れているな、と思ったわけ。


 異世界とかでは、あちらの世界の大人はザツに描かれていても問題がない、それゆえあまり気付かれはしないだろうが、大人を中心にもってくるなら大人が書けねば話にならないわけで、そういう意味で、30オーバーというのは何を狙ったのだろうなぁと思った次第。



 一般文芸においても、「主人公が20代」と「主人公が30以上」とでは明らか、カテゴリというか、読者層も内容も文体も、異なってくるのだよなぁ…

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