とある作者さんが、実況ノートに書いていたこと

 まぁ、要約するとですね、「全部読んでから、面白かったかつまらなかったかだけ、書いてください。文章技術に関してのアドバイスなどは不要です。」というようなことを書いておられまして。


 言いたいことは解ります。私も、『一定水準に達している文章力』であるなら、それ以上の指摘はあまり必要ないかなと思います。水準に達しているならね。


 文章力が武器になるという場合は、飛び抜けて優れているケースだけですから、そこを磨くというのは、あまり得策じゃないかも知れませんし。普通の文章では、十把一絡げというかドングリの背比べというか、文章力なんて褒められもしませんし。


 アレです、同じ登山でも富士山やエベレストなら自慢になるが、他の、そこらの山じゃ自慢するのは逆に恥ずかしいというヤツに似ています。登山が趣味の人々はどこそこを登ったとかと自慢げに言いはしないわけで。登れることは彼らには普通です。


 ただ、その普通レベルに達しているかどうかは別の話ですよね?


 読んで欲しい、上達したい、もっと意見を聞かせてほしい、そう思っているくせに、その回答で一番多いであろう「文章が下手すぎて読めない」を無視してどうするんだ、と思うのですけどもね。


 私の持論はこの方とは反対方向です。この世に面白くない話などないと思っています。テンプレの、ほぼ同じ世界観や展開を繰り返しているジャンルでも、面白いとして大人気じゃないですか。


 駅伝って人気ですけども、あれの面白さってなんですかね。毎年、同じことの繰り返し、ただ走っているだけ、それでも面白いとされているじゃないですか。人間の面白いという感覚なんて、そんなものですよ。


『Web小説は、みんなで同じお題でよーいドンして、応援とか協力とかで順位を競うチーム戦のゲームだ。』という分析があるのをご存じですか。なるほどそれなら、Web出身の作家が、デビュー作だけで消えてしまいやすい理由も納得です。


 普通、何十巻と連載された人気作の作者なら、そのまま知名度になって、後は安泰だと思うのになぜか廃業してしまう……不思議な現象だと思っていましたが、読者心理が「半分は自分たちのおかげ」と思っていて、共同制作者のつもりでいるなら頷けます。お祝儀買いという言葉もあるくらいですし、その作家さんに実力があるだとかは、別の話になってるってことですよね? 通常の、公募出身作家との違いが見えてこれもまた面白いもんです。(笑


 読んで貰える小説作品、1に「文章が読める」、2に「文章が読める」、3、4がなくて、5に「構成が巧い」、だと思ってますけどもね。正直、具材なんか何だっていいんじゃないですか? 煮えていることと、味付けで、食えるモノにはなるってことで。後は個々の読者の好き嫌いでしょうよ。(女の子キャラを芋として、芋好きな読者にとびきり上等の芋料理を届けるには、まず煮えてないと食えないでしょって)


 文章が読める、てのは「文章が巧い」とは違うのですよね。そのものずばりで、「文章が小説特有の形式になっていること」であって、これはプール入るのに水着着てないって論外だろ、という意味程度と思ってほしいなぁ、と。

 だから、「文章が読みやすい」「するすると読めます」は褒め言葉じゃない、て常から言うわけでさ。それ、出来て当然、スタートに立ってますってトコロよ?



 文章にウルサい人って、たいがい、最低ラインしか言わないと思うの。




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