棘「オタ趣味全開でもバカにされたことないよ?」おお…

 価値観の多様性って、良い面はこれだよね。マジョリティの価値観が正義ということにはならない。それだけに、では悪とは何だ?という部分で揺らいでしまうけど。


 なんにしても良い時代になった。


 かつて、漫画アニメは子供が観るもので、かの石ノ森章太郎先生でさえ迫害された時代があったんだよ。漫画が学問として評論を受けるなんてことは考えられもしなかった。論壇は漫画を存在しないものとして無視した。それを変えたのが石ノ森先生などの当時の漫画家の先達。


 だけども、漫画を認める評論家も迫害され、これを評するのは勇気が要った。コペルニクスはいつの時代にも居たんだよね。


 漫画が、大人にも読まれるようになっても、相変わらずアニメの地位は低かった。ガンダムやヤマトといった大人向けのアニメも作られたけど、それらは特殊としてカウントされなかった。相変わらず子供向けのものとされたし、中学まではまだよくても、高校生にもなってアニメを見ていると、頭が悪いと評された。


 世間は、ヤマトやガンダムで測るのではなく、同時代の子供向けアニメしか基準にしなかったからね。それらがアニメであり、ヤマトなどは自分たち大人も見るから”例外”だった。


 この頃、まだコミケは小規模な即売会でしかなく、しかも世間から認知されておらずで、後に、隠れたものという誤解が生まれてしまうわけですわ。アンダーグラウンドだという認識ね。疚しいもの、みたいな誤解はもう当時にはあったとか聞いた記憶が。(ここらはサークルの年長な先輩方から聞いたから不確か)


 一部にヤバ目のエロ同人は確かに当時から売られていて、だけど一割ほどしかなくたって、世間はそれが十割と認識したよね。内部でオタたち自身がそういう過激な一部エロ同人を嫌悪する向きもあったんだけどね。昔は、オタ同様にエロにも非寛容でしたね。このあたりは、意味は解らないものの私も目撃してたわ。(笑


 初即売会参加が中学生だったのもあって、エロの隔離スペースには近付くことが出来なかった思い出。連れてってくれた先輩たちにガッツリガードされたんだよね。記憶違いじゃなかったら、あの日見た光景では、エロは隔離されていたよ。あれは見ちゃ駄目、と嫌悪で言われた記憶。


 その後、私の周囲はあんまり迫害の空気なかったけど、宮崎事件があったよね。世間的には、鉄オタとかはただの変人扱いだけど、アニオタとか漫画系のオタは、迫害していいヒエラルキーの下層の住民だった。なんか事件あったらオタが疑われた。同時に、今でいうLGBTも非常に生き辛い時代。ゲイバーのオネェちゃんがよく自殺してしまうみたいな裏話を聞いたもんだった。


 これ、たぶん、「セクシャル」という部分で関連してたんだろうなぁ、というのが今思うトコロですわ。まだまだ男尊女卑だったからね。


 で、時代がだんだんと多様性に傾いてって、男尊女卑がカッコ悪いって風潮になっていくにつれて、オタにも人権が与えられてきて。同時にオネェが徐々にテレビとかに露出していって、そこからLGBTにも理解が広がっていったよね。

 漫画が堂々、大人が電車内で読んでいても恥ずかしくない趣味と認められるようになり、アニメでも大人向けのものが多数作られるようになって。


 時代が変わったなぁ、て。昔は、オタ趣味がバレたらイジメられたし、ゲイとバレたら迫害されたんだよ。オネェは徐々に追い詰められて人生のどこかで自殺することが多かったらしい。精神に障害を持つ人は家の中に押し込められていたそうだ。座敷牢とか、それ用の倉っていつの時代まであったんだろうかね。


 女が責任あるポストにつくなんて言語道断だった時代は、男は女の下に付くなんて恥でしかなかった。会社の上層部が懸命に構造を変えようとしても世間は嗤った。


 令和になってようやく、オタもLGBTも女性キャリアも、世間の普通になるかぁ。




「男は男らしく!」この価値観が思いもよらないとこへも波及していたと思ってる。

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