設定に華を添えると叙述の仕掛けが分断される…

 うーん。


 試しに昨日、やっつけながら、思いついた新設定をねじ込んで改稿プロトタイプを作ってみたんですが、なんだか読者の興味が分散されてしまいそうな匂いがプンプンします。文章がツギハギ感なせいもあるとは思うですが…


 叙述は、的を一本に絞ってそこだけをひたすら読者に推測させてって、キレイにひっくり返した方が、受けるオドロキは大きいわけですよな。


 これを、やれ謎の薬物登場だの、組織犯罪の臭いだので拡散しちゃうのは勿体ないかなぁと思ってしまって、ちょっと悩んでおります。確かに若い読者さんなんかはそういう派手な設定があった方が、オラワクワクすっぞ、なんだろうなとは思うんですけどもね。


 そういう設定で物語に華を付けるって、読者獲得の手段としては非常に有用で、あらゆるメディアで氾濫してもいるから、今どきの若い読者さん向けにはこういう派手さがないと、物足りないと評価されても仕方ないだろうというのは解るんですよ。


 でも、当初の目的が「純文まぜまぜ」だったんで、こういうファンタジー設定って、相性が最悪ではないかなという危惧が…


 非常に簡単に言えば、純文は「地に足が付いた寓話」で、上記のような設定ってのは多かれ少なかれファンタジーで、「夢で見たオハナシ」っていう、両者のイメージを持ってたりするんで、危険を知らせるシグナルがガンガン響いてます。(笑


 ファンタジーがカケラでも入り込むと、途端に物語りはリアリティが希釈されてしまって、真に迫ってこなくなる危険が出てくるじゃないですか。寓話性が損なわれるとか言うんでしたっけ、「あー、面白かった、」で終わってしまって、その場限りの気軽な娯楽で完結してしまうとかの。それを危惧してます。(我が身に置き換えて深く考えてしまう、とかが寓話性。)


 実社会にテーマを求めてたんで、寓話性が下がると刺さらなくなりそうで…


 文章も危惧するとこがあって、トートロジーっていう重複表現の評価が割と問答無用なのかも知れないと知って、不安しかない、と。(笑


 大事なことなのでっ、二度っ、言いましたっ、ていう感じにさ。さらさら~っと流し読みに近い感じで読み飛ばしていくだろう読者に対して、ちょっと繰り返しで伝達力強化すんのがそんなにアカンのかなぁ、と思っちゃって…


 舐めるよーに丁寧に一字一句をじっくり噛みしめてくれる読者って、純文学とかも大好物のプロ読者だけじゃね? 今。


 まぁ、一行一行に魂を込めて、そういうじっくり読みしか許さんてトコまで昇華させた作品だったら、どんな読者も嫌でもそういう読み方するだろうけどさ。そうでないレベルだと漏れなく、文章を額面通りにペランと読まれて終わる危険ってのあると思うんだよねぇ。(だから逆手にとって、重複で刷り込んでやれ、と思った!)


 なんか、そういう不安が今になってひたひたと近寄ってきてさ、足元がちゃぷちゃぷしてて、変な具合に気に掛かってんですよねぇ。不安というほどもない不安? うっとうしい不安? わたしゃこういう書き方が好きなんで、それに今さら時間ないから直せないってことで開き直ってしまう以外ないのに、ムカつく不安感。(笑


 セオリーだと、文章ってのは適切な単語を組み合わせて無駄を極力省いたシンプルな形状であるほど美しくて読みやすい、となるわけだけども、正反対の悪文であってもそこに何らか科学反応的な作用が働いて、唯一とも言える”味”てのになるケースもあるからさ、一概に言えないじゃないですか、て話。アクも味のうち、てね。文章ってすごーく恣意的というか感情的評価が幅を利かすからさぁ。


 文章がメタメタでも「面白けりゃいい」てのが世間の物差しなわけで、こう、色々をぐたぐたと考え込んでしまいますわ。(笑

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