「令和」元年 一般文芸はどう進むか

 昨日、突如として閃いたんですけどね、四柱推命では2000年代は「まっぷたつ」と予言されていたわけで、まさに明暗で別れていたり、トータル二派だったり、上下だったりで、色んな事柄がキレイに二つに分かれた感じです、この20年でそれがいよいよ見え始めた、というか。


 この「まっぷたつ」は貧富とかで見てもそう簡単な話ではなくって、例えばセレブと言いつつ旦那が酷い吝嗇家で、その家族は家庭内貧困に喘いでいる、なんてことだってあるわけで、一概に表面で見ることも出来ないわけで。


 ただ、一つのバロメーターに、創作物の性質とそれを求めるファン層の二極化ってのが出てきてるのに対応出来てない、てことはありそうだ、と気付いたのですわ。


 一つは、ラノベとかテンプレに代表される「マイナス層」向けね、ここは上手いことハマったから盛況なのかなと思うんですね。彼らはナイーブで、平たく言えば「解ってるから突きつけないでくれ」という精神状態。ここに従来の社会派とかの要素を持ってきても自爆にしかならないのは当然かなぁ、と。だから、荒唐無稽とか揶揄されるような、俺TUEEEとかハーレムとか、ストレスフリーが受ける。


 でももう片方には「プラス層」が居るはずなんよね。


 ここは、たぶん平成後半からどんどん追い上げてきたEXILE系の超前向きパワフルグループに代表される、ポジティブで前向きでパワフルな人々ですよ。


 でもさ、今の小説界全体にさ、この層をターゲットにした作品戦略ってのがてんで出来ていないのが、現状の出版不況の元凶ではないかなと、閃いて。(笑


 このプラス層とマイナス層、ほんと、時の経過と共にどんどん明確に別れてきていて、際だってきているから、かつての社会派作品とかはどっちの層にもアプローチ出来なくなってきてると思うの。


 プラス層は従来の切り口が嫌いなのね、例えばスポ根モノ。スポーツは前向きに楽しくやれるんだから、あんな苦痛まみれでやるのはナンセンス、てなもんだわ。これが、他のあらゆるジャンルにおいても言える。価値観とか物の見方が変わったんだろうね、そこに付いていけてないというか。


 大きくヒットした作品の、苦しい状況というものを描く時、キャラのモチベーションというか、価値観や考え方は恐ろしく前向きと思うの。負けたら世界が…なんてことはカケラもなく、勝つと信じ切ってて、苦しさは画面で表現される客体でしかない、というか。そういう弱気すらねじ伏せて前向き、いやいや、そういう弱気が浮くことをまず否定してんのかな、危機が起きればとにかく行動!てカンジで。


 ちょうど、描き方がなろう系と真逆になるんだなぁ、と気付いて。


「強敵? どんと来いやー!(わくわく)」て感じというか? ワンピースがウケたの解るなぁ、て今さら納得したってか。悲壮感、ないんだよね。ネガティブ禁止。

 どんな絶望的な状況でも、ハートの陽は陰らない。(笑


 コナンも基本はそうだよね、メインのキャラはあくまで前向き。折れない、負けない、したたかといえる強さ、そういうのがプラス層には共感を呼ぶのかなぁと思う。


 けど、小説界隈全体で、ちょっとナイーブに寄りすぎてきてない?


 だからプラス層の読者は離れてしまったよーな気がしなくもない。彼らは、うじうじしてんの、隠しても解っちゃうんだよ、きっと。で、そういう心理そのものが嫌いみたいだよね、人の弱さなんだけど、甘えんな!みたいな嫌悪を持ってるよーな。


 ナイーブ層とはちょうど水と油。(笑


 ナイーブ層の、ちょっとしたトコを、ポジティブ勢は甘えと受け取る。厳しいよね。それでいて、その厳しさをあんま自覚してなくて、「がんばろう!」とか励ましちゃう。それでなんとかなると思っちゃう、自分がなんとかしたから。

 それはまた正論で、ガンバル以外になくって、だからナイーブ勢が甘えてんのも真実を突いてんだけど、それを言ったら身も蓋も…てのがまた、もどかしいねぇ。(笑


 ポジティブにも解るよーにネガティブの心理を追体験でもさせてあげれば面白いかなとか思って、先の公募作品、雪女――は書かれたのでした。忘れてたけど。(笑


 三秒前のこと覚えてねーのに、作品とっかかりの時の狙いなんか覚えてねーわ!



 うーん。

 そういう二者の構図ってのを、大震災以後にポジティブ勢は突きつけられて、それまでまったく想像がつかなかったナイーブ勢の心理ってのに思いが行くようになったのもあるか。だから、今ならそういうのをテーマにしたってイケるはずなんだよね、盗作騒動でポシャったけど、例の芥川賞候補はそういう作品だったでしょ?(あ、蒸し返してスマンね)



 ガンバレ、て気持ちで傍にただ付き添って見守ってあげるって、すごく難しいし、もどかしいけど、ナイーブの人に必要なのはそれであって、励ましの言葉じゃないんだよねぇ。ほんと、金八先生の贈る言葉って名曲あるけど、アレは泣けるわけよね。

 すぐ横で言われるとプレッシャーで、だから、遠くステージの上からくらいがちょうどいい、てね。ポジティブの前向きさって、ナイーブにはちょっと眩しすぎ。(笑

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