生存戦略やってますか?

 いや、それ以前に作品を書いてデビューするとか人気者になるのが先だって意見もあるだろうけどもね。けど、ある程度状況が飲み込めてくるとさ、「とにかくデビューしてしまえ、後のことは後で考えよう」てのが非常に危険な考え方だなと解る日が来るのよ。(気付けない人ってのは目端の利かない、人生で損する人ね)


 デビュー作、特に何らかの賞を貰っての華々しいデビューを飾るなんてのは、人生でそう何度もは無い「ブースト」と考えた方がいいよね、て。


 とにかくデビューすれば道が開けるとか考えてる人は、ちょっと考え直した方がいいと思うの。本屋の棚を押さえるための実弾の一発で終わってしまうよ。


 私、このエッセイではキレイゴト言うつもりはないんで言っちゃうけども、デビュー作という最大かつ一人一回こっきりのブーストを使う作品をさ、そんなテキトーな構えで書いちゃっていいの?て。これでもか、て宣材入れられる最初で最後のチャンス、くらいに捉えといた方がよくない?


 よく、クラスタが色々と言われるけどもさ、ただ知名度を上げることにかまけて大した作品も書けないままだったらさ、もしブースト貰う機会があったとしても、はっきり言って無駄になるよ? 販売対象はクラスタじゃない人らだもん。


 無名の間に実力を磨いて、なにより自分という商品を唯一無二のモノにする努力と戦略を練るほうがいいよ。アイデアでなんとかなるかなとか思ってた時期が私にもあったけどさ、パクられて終わるって実例を幾つか見てさ、戦略が間違ってたって気付いたから。(笑


 パクったモンをカタパルトにして出てったヤツは、その後、必ず墜落するんだから放っときゃいいのよ。そのレベルのアイデアを常時で出せるわけではないんだから、メッキが剥がれりゃそれまでで、滞空してらんないんだから。(自分には煮えも食えもしないモンだからパクるしかないんだ、て気付けばいいのにねぇ…)



 んでさ、猫も杓子も異世界異世界って感じじゃないですか、今。だけど、正直、それを読んでる読者のうち、どのくらいがさ、作家買いしてますか~? てさ。大御所先生に限らず、生き残っている作家って、まず作家買いされてるよ、て。


 なんかさ、皆似たり寄ったりな文章でさ、特徴的な文体で書いてる作者さんっての、あの界隈にはあんまり見掛けないなと思うのさ。某ちゃんねるでよく話題に上ってた、作家別爆発シーンとか、ああいうネタにされるような作者でないとデビュー後の生存率が厳しいんじゃないのかなぁと、老婆心ながら思ったりするわけです。


「あ、この人の作品、好き♪」


 こういう動機で買ってもらえるようになるってトコに目標置いた方がいいよ。


 そしたらさ、色んな文章読本とか書き方講座でのポイントとか、作者ごとの有り様とかが一直線に繋がってくからさ。


 論文の書き方の本でさ、著作者先生がポロっと書いてらしたんですよ、読みやすい文章ってので話を進めてるけど、小説だけは例外だからね、て。

 この言い回しでピンと来るでしょ、色々と注意されている悪い癖、あれって使いようで幾らでも個性に化けるもんだから一概に悪いと言えないんだな、て。


 三大悪文の一人とかでよく紹介される、私も多大な影響を受けた蓮實先生の文章なんか、ものすごい個性の塊だよ。憧れるわ。(笑


 修飾語とか慣用句とかアレとかコレとか、とにかく細かくニュアンスを表現なさろうとするんだけど、そのこってりなニュアンスってのがもう「味」なんだよね。


 あの味に近付けたくてね、それまでのシンプルイズベストだった文章への考え方を変えて、悪文も突き抜けてしまえば個性、て感じに改めたんですだよ。万民に受けなくていい、一部に熱烈な支持者を作れれば勝ちなのですよ、表現者ってのは!


 それが、作家買いしてもらえる作家になる、てことだと思っとります。


 そもそも読みやすい文章って突き詰めると箇条書き最強だからね。小説ってのは、本来、幾らでも簡潔に書けるよーなモンを、わざわざ回りくどく書くメディアですよ。寓話にして、回りくどく、枝葉をゴテゴテくっつけて、それで何をしようってのかと言えばですな、説得力を産み出してんですよ。真に迫らせるために言葉を尽くすわけで。


 読みやすいはイコールで説得力がある、とは違うのだよねぇ。(だからそっち優先しすぎたら何も残らないなんて感想を貰っちまうのですだ)



 マイクラだってねぇ、やってみればこんなに楽しかったわけで、第一印象でスルーしてたことをすごく後悔したもんね。そうなるような作品書きたいもんです。


 いや、作品じゃなく、文章を買ってもらえるようになりたい。(笑

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