書籍の妥当な金額ってどのくらい?
いろいろ、異論はあるでしょうが……。
私は、今の時代ならばせいぜい「ワンコイン」だろうと思ってます。それでも厳しいし、世の多くの人はその値段でも高いと不満を言うだろうと。
他の商品が軒並み値を下げている中で、書籍だけは高止まりでいられるはずはないんです。そのしわ寄せが、Webの台頭、タダで読める読み物の氾濫というサイアクのカタチで現出してしまったのが、今、だと思ってます。
売り方を変えねばならないわけで、大量消費を見込んで大量生産なんて時代が来るとは思わないから、旧態依然で来ちゃった、と。
他の野菜やらスイーツやらと同じく価格帯作ってグレードを変えるしかないんだけど。それが現代の市場原理だもん。
ハイブランドの育成ですね、買う価値があれば消費者は買う。ハイブランドを売る抱き合わせに、寄せ餌としての廉価品というビジネスモデルが今の世の主流。
安売りの方は何の問題もない、大量に仕入れて大量にたたき売ればいい。問題は、高価格帯をいかに維持するかでしょう。出版業界が頭痛を感じているのはむしろこちらのことなんだろうと思っていい。
芸能界なんかはどういうノウハウでやってんでしょうか。毎年毎年、新人は山ほどデビューすんですよ、あの業界も。売り込みして、露出を増やして、知名度を上げて、テレビに呼ばれるようになって……そのあたりのプロセスが、ほぼ同じになるんだろうと思うけど。
つまり、大量消費用の大量出荷品ってのはその辺りの品になるわけっす。
これから知名度を上げて、ブランド確立して、固定ファンを維持しつつ新規顧客もガンガン拡張できなきゃ値も上がらないし、先もない。よく、Twitterで宣伝しろとかの話題で文句が出てるけど、あれもそうなんだよね……ひな壇芸人一人ひとりの面倒まで見てられるか、という話でしかないわけでさ。(残酷なコト言うけど)
だけど、芸能界なんかは割とスムーズに、そういう十把一絡げの賑やかしから、のし上がってブランド確立してタレント業を安定させる人が、常に安定した数で空席が出たら都度で埋めていくっていうのに、書籍の場合はなぜこうも不安定なんだ、というのはあるんだろうなと思うんだよね。
デビューを飾る新人は事欠かないのに、そこから安定してファンを掴んでスタァとなる人材に成長してくれる率が低い? けど、おそらく芸能プロダクションはそのあたりにノウハウあって、育成してるから大樹に育ってんだと思うんだよなぁ……出版業界ではそのノウハウが古びすぎててもう通用しないのか、そもそも無くて欺しだましだったのか、どっちだろ。ファンが原石を掘り出してくれるの待ってるだけって業態だったり?(タレントは、よ~く見てたらちゃんと押し上げてんだよ、会社が)
書籍におけるハイブランドは、いわゆる大御所作家陣ってことだけど、軒並み高齢化の波が押し寄せて後輩は育ってんのかどうなのか、てトコだよね。国民的知名度までいってる作家さんが先細りでどんどん少なくなってんじゃないかなぁ……
「デビューはゴールじゃない、」ていう言葉をもっと具体的に言うと、こういうことなんだけども、ちゃんと世間に浸透してないよーな気もしますなぁ。
宝くじなら一等当たれば一億円だけどね。作家のデビューってそれでいえば千円くらい? 当たりくじ。ぜんぜんスタートでしかないよ。もっと買い続けなきゃ。
Kindleもそろそろ化けの皮剥がれていいんじゃない? あれも、一部プロ作品というハイブランドに集客するための賑やかしだよ。(現状は悪質な方なんで二の足踏んでんだよねぇ……Kindle参加は迷うね。)
商売なんてもともとダーティな部分あるだろけど、露見した時のダメージも計算にいれてほどほどにしとけよ、というのは鉄則じゃん、と思うの。
出版業は、プロデュースというあたりの英単語を考えるとどうなんだろ。タレント業界はそれで成立してて、吉本なんかは帝国を築いたわけだけど。思い切り裏側だから一市民にゃ解らん世界だけど、あるレベルまでは自力で登ってくるタレントをさ、そっから先、全国区に押し上げる戦略はプロダクション、て感じなんだよね~。
ちなみ。
こういう話をするとさ、理想論で反発する人が居るでしょ。多くの人に読んで貰いたいだけなら無料公開でいいじゃないか、とか。
わたし、読んで貰いたいだけなんてひと言も言ってないから。
(そんな時期もあったけどね)
知名度を上げる方法として、無料公開でファンを増やしていくってのは一つの方法だと思うの。Twitterで宣伝しまくるってのも、それで言えば手法の一つだよね。今、マイクラやってるから思うけど、正解なんてないから、何が近道か解んないんだよ、それぞれで違ってくるとも思うし。そういう無駄足を踏む覚悟は要るかなぁ、とは思うわ。何が正しいか、やってみないと解らんし。だからゲームと思って過程も楽しめば気が楽だよ、て。(笑
そんでさ、まだ文句タラタラなんだけど「新文芸」という名称は失敗だと思うんだよなぁ……。信用商売だって自覚ある? その名称は、既存の文芸ジャンルの築き上げた信用まで傷つけるよ?(新文芸って名称、大嫌い)
今の時代、人々がもっとも嫌うのは「紛らわしい」と「詐欺」だよね。けど、これって今までなら主流の戦略だったのが痛手だよ。コスパ至上主義だもん、手間を取らせるあらゆることが「悪」なんだわ……
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