棘で文章技術を言うと、バッシング受けるよ

 なんでだろうね、アレ。

 下手くそを下手くそと言うと、めっちゃ燃えるんだ、面白いくらいに。(笑


 皆、文章巧くなりたいから書き方本だの講評貰える講座に参加だので興味津々なんだろうに、真正面から「下手くそ」と言われるとキレるのはなんでさ?


 お前に言われたかない、お前は言えるほど巧いのか、そんな感じの反論が溢れかえるのはまぁ構わないと思うけど、そこに混じり込んでくる「文章より中身だよ」のフェイクには気をつけて欲しいとつくづく思うよ。


 面白くない原因は文章が下手だからだ、と明言しといてやるけど、この上手下手にも登山並みのランクが存在するわけで、これを白黒みたいに下手でなければ上手いみたいに単純な二項対立に持ってくから納得がいかないんだよ。


 文豪の文章は、いわばエベレスト登頂クラスなんだよ。


 誰にでも到達できるとは思わんだろ、こう言えば。その違いが解らんてのは、お前の読み解き能力が低すぎるからだよ。(かつては私も思ってたわ!)


 同じ中身を書いても雲泥とか月とすっぽんな格差が現れるんだよ。(それが文章)


 自分の天井が、文章の到達点が少しでも上のレベルの峰でありますように、と祈る気持ちも解んない? エベレストクラスを狙えるかどうかは狙ってみなきゃ解らないけど(一太郎導入で送り仮名がイライラするわ、「解る」だろがクソ)、自己に与えられた才能の天井までなら上達するんだよ、自分に書ける最上レベルの文章までなら練習次第。より以上を望むには才能だ。エベレストが誰でも登れる山じゃないのと同じ、素潜りが素質要るのと同じだよ。人間は平等に出来てはない。


 けど、とりあえず順番にそこらの山から始めて、大山、穂高、富士、エベレスト、てな具合にランクアップさせてみないことには自分の天井なんか解かんないからね。

 そのレベルアップごとに必要な努力の量だって桁が外れたもんになってくぐらいは予測が付きそうなもんだと思うんだけどねぇ。曲線状に上がるグラフよ? なに平等神話に踊らされてガキ臭いこと言ってんの?


 棘で、描写についてさぁ、えらい否定意見が集まってんのよな。中身が大事のフェイクも混じってて、それ、文章が良けりゃもっと上行けるよな?と思うんだわ。人気ももっと出るはずだよな、文章技巧が足を引っ張らにゃ。間違ったこと言ってる?


https://togetter.com/li/1268207

『文章書きに読んで欲しい「言葉の相対性」から考える文章の書き方、推敲の仕方』


 このマトメはほぼ訂正部分がないと思う。作家志望の人の文章ほど読み辛いとかも、ワナビに限定せず、ある種の文章タイプを目指してる人を指していると考えれば間違いじゃなくなるよ。最近流行りになってきた文芸タイプの文章な。ちゃんと描写が入ったヤツのことだ。ちょっと前までWebシーンじゃあんまウケなかったよね。

 こいつが難しいのは解りきったことだし、目利き出来る読者らはそんな、下手くそに下手くそだとかはあんま言わんわけだわ。かつて「読まなきゃいいだけ」てなことを言われたからね、下手って意見は褒め感想と違って教えてもらえないモンだよ。


「美しい言葉」の二通り、文豪の美しい言葉と政治家の美しい言葉では、が違う、行間とか空白とか裏側とかまである書き方の話をしてんだけども、すでにそれすら理解出来てない人がチラホラしてるよね。


 そういう裏とか空白とかナシで、ストレートに表層だけの文章でいいじゃん、て意見ももちろん正しいんだが、この人が言ってるのは、裏とか空白とかコミコミの文章をあえて目指してる人らへ向けて、なんだわ。


 ヘコんでしまわれたとかで、なんか悔しいから代わりに反論してみたいと思って。


 挙げられていた例題を引用。

「その政治家は、一歩一歩踏みしめるように街宣カーに登った。高価なネクタイが風にはためき、絹の光沢が陽にきらめいている。暑い日で、聴衆の首筋には玉のような汗が浮いていた。怒号がパーティーのクラッカーのように飛び交うなか、政治家は美しい言葉で自分の考えを語った」


 これ、下手くそなの、一度読んだら解るだろ、てレベルだよ?


 何度か読み返すと、最初の違和感が消えてしまって慣れてしまう程度のレベルの、絶妙な下手くそ加減だから厄介なのだよねぇ、自分の文章の中に現れてきたらマジで頭抱えるタイプの性悪下手くそ描写だ。一番直すの難しい性悪悪文…


 先に書いたよね? 「敷き込まれた意図」がある書き方だ、て。この例題の場合は、「政治家の美しい言葉」の下敷きになっている意図のことだよ、書かれていない文章が横たわってんの。これを描写で浮き彫りにするか、最低限、書かないといけないわけよ。


 んで、正解だっつった、ストレートに表層だけ書けば?てのは、この下敷きの文章も隠さずに書いてしまえという話だよ。突き詰めりゃ好き嫌いの話だからそれでいいならそうすりゃいい、舌触りというか文体の触り心地の違いがあって、どっちが好きかしかないんで。文章の正解不正解とかは書き出すと面倒なんだが、Webはすぐこの前提を忘れた議論するから嫌いだよ。


 私もまだぜんぜん下手くそなんだけど、ちょっと例題を書き直してみるね。


「その政治家は、一歩一歩踏みしめるように街宣カーに登った。高価なネクタイが風にはためき、絹の光沢が陽にきらめいている。暑い日で、聴衆の首筋には玉のような汗が浮いていた。怒号がパーティーのクラッカーのように飛び交うなか、政治家は美しい言葉で自分の考えを語った」

   ↓

「その政治家は、一歩一歩を余裕綽々と登っていく。街宣カーは彼の独壇場だ、睥睨する高見の櫓だ。舞台中央へ進み、聴衆を見下ろした時、彼のネクタイが扇風機の風を受けてはためいた。絹の光沢がいかにもお高そうだった。暑い日で、目を怒らせた人々の首筋には玉の汗が浮いていた。多くの人は通り過ぎた。怒号がパーティクラッカーのように飛び交い、日傘の通行人を遠巻きにさせ、それでも政治家たる彼はにこやかに笑う。美しい言葉の数々を駆使して自身の主張をも着飾らせている。」


 こんなモンですかね。私もいうほど上手じゃないからね、かなり推敲してもこの程度ですわ。敷き込み文体はモロに技量が出るから、自信がないなら多用すんな、と言われる所以ですたい。(笑


 違い、解る? (聴衆の方の描写が薄いからシーン浮かばんよね、下手くそですまんです)

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