何か新しいモンが来ても「異世界」が吸収?(汗

 出版業界は、あきらか、新しいムーブメントを待ってる。かつて異世界転生とか転移とかが大ブーム起こしたみたいに、かつてない「目新しさ」を持ったガジェットの登場を待っている。


 出版は大きなムーブメントで大ヒット作が出ないと困る形態だから、というようなことを聞いたのだけど、例えば「君の名は。」は売れに売れたが、そのうちのかなりの部分はいわゆる「一見さん」だと思うのだ。普段はアニメどころか映画も観ないよーな人々までが一過性でも食いついたから、大きな話題となり、ちょうど人が人を呼ぶという現象で、そこから波及効果的に「他の映画も観てみようか、」という流れで映画業界全体が少し活気づいたものと思う。


 出版業界がそういうのを当て込んだ商売のサイクルを持っていて、だからとにかく次のムーブメントを今か今かと待ってると思う。だからこその、内情を知るプロの作家さん達が口をそろえて、下火になってきた…と不安がるのだろう。

 ここらへんは、プロではないアマチュアに過ぎない者たちにはまったく見えない裏側でのことだから想像でしかないんだけども。


 しかし、一見な人々は、つまり普段は本を読まない部外者たちは、だいたい大雑把にしか認識しないのが問題で、たぶん最近の本屋のウチワケってのは、


「刑事モノ、ポルノ、イチャコラ、異世界、江戸、しかないよね。」


 そういう、ものすごく雑なイメージでそれぞれのジャンルをひと括りにしてしまっていると思う。なんせ普段は別の娯楽で事足りている人々だ、彼らを振り向かせねばムーブメントは来ないのだ。彼らは、似たようなモノなら見る価値はないと思っている。さらに個々の嗜好でも篩にかける。


「君の名は。」とか「この世界の片隅で」は、あれは完全に従来のどこにも所属しないと見做されたから、だから彼らは映画館に足を運んだのだと思う。一見さんでない趣味人たちからしたら異議があると思うが、決めるのは彼らなのだ。彼らの価値観によれば、あれらは「他とまるで違う」と評されたのだろう。その評価をとやかく言ったところで仕方ない。


 で、今はラノベやファンタジー系はすべて「異世界」でひと括りにされているイメージだ。他に例えば学園モノとか超能力戦とかがあると宣伝しても彼らはスルーする。興味がないのだからCMは目に入らない。

 あるいは、言葉は悪いが「おパンツ」と思っているというのは懸念がある。あの手の表紙イラストならば、問答無用、冒頭もあらすじもタイトルさえ無視して、彼らは一昔前に流行った「ラッキースケベ系のイチャコラ」だと認識するかも知れない。

「竜王のおしごと」とかはあらすじや評判を見るまで、かくいう私も、イチャコラだと思っていたくらいだ。興味の薄い一見さんは、断言するが評判は読まない! 表紙で受けるイメージがスベテ、だから、「オーバーロード」や「幼女戦記」は違うという認識の元で彼らの目にも留まっていると思う。


 それは彼ら巨大マーケットから見えるラノベの、二大タイトルということだろう、それは別にいい。「おパンツ」か「異世界」というすごく雑な見え方というだけだ。稀少品として「その他」が個別であるだけだろう。


 この状況で、新しいトレンド、「異世界」を塗り替えるニューウェーブが来るかどうかを考えていたのだけど……。




 何か新しい要素が出現したら、申し訳ないが、ほんっっっとーーーーーーに、申し訳ないのだが、おそらく「異世界」に取り込まれて終わると思う。


 これ、予想外だったんだけど、異世界系ってのはテンプレート小説なんだけど、何か目新しい要素をどっかで見ると、なぜだかアレ系の書き手はその要素を、せっかく目新しいとされてんのに、わざわざ使い古された異世界テンプレの中に引っ張っていって、目新しさを削ぎ落としてしまうんだよね。

 例えば「オカルト」が目新しいというか忘れられてたけど、最近見なくて珍しいね、となるじゃん、そしたらそれをわざわざ「異世界」に持っていって、オカルト要素をちょちょっと付け足しただけみたいな使い方すんのよ。


 だけどこれ、巨大マーケットの「一見さんたち」からしたら、「まーた異世界かよ、」でしかないからね。だから、「異世界って要素を抜けよ!」て言われんのに、なぜか書き手は頑なに異世界に持っていくのね。まるで異世界に持っていくパターンでないと書けません、て言いたいくらいな勢い。


 もうひとつの使い古しの、記号化ヒロインとかもね。それが飽きられているのに、それを頑なに使うわけですわ。それだけなら別に勝手にすればいいと思うかもだけど、これ、目新しいと思ったら、それが世間に認知される前に、テンプレのパーツに落とされてしまうからね。で、世間が知った頃には「なんだよー、何が目新しいんだよ、異世界にゴロゴロあるじゃん、」てなる。


 だから、いつまで待っても「ニューウェーブは来ない」結果になる。


 このままラノベは異世界と共に完全に飽きられて誰も彼もが憎むまで行かなきゃ衰退は止まらないのかねぇ…

 も一つ懸念。ソシャゲなら採算割ったらサービス終了できるけど、Web小説は終わらないからね。採算取れないってことで書籍化がゼロになっても、ネットでは生き残るよ、一定数のファンはどこまでも残るからね。それが、悪しき側面と共にどう今後の小説界に影響を与えていくかは不明ですだよ。ネットですら注目浴びなくなれば「目新しさを殺す」というテンプレの特質も、影響力を無くすのかなぁ。解からんですね。






 全然関係ないんだけど、高度プロフェッショナル制度、あれ導入するなら自民はもう私は応援しないことにするわ。



<追記>

 最終の部分、通じないだろーからもっと懇切丁寧に書きなおすわ。(笑


 つまりー、何かニューウェーブのキッカケになりそーな、目新しい要素をもった、まったく異世界の匂いがしない作品が一つ登場するじゃん?


 その作品自体は、流行りから外れてるからあんまり認知はされないんだよ、ごく一部の人が知るだけで。そんで、その一部には書き手が居るじゃん、だけど、この書き手たちは、その作品のリスペクトとして、目新しいそのパーツを、流行りだからこっちに入れた方がって考えで、わざわざ異世界に落とし込んで台無しにすんだよ、て話。目先の利益しか見えず遠方は見ない、て諺はなんて言うんだっけ。

 これ、その人らが、正しく異世界以外のネタで継承してくれたら、そこからフツーにニューウェーブが発生してくのに、殺してしまうんだよ。テンプレ異世界系は、ネタ殺しだ、て言ったのはソレ。


 で、せっかくの異世界ではない新しい波のタネは、異世界に撒かれて終わる、て。


 出版界は大波を待ってる。大波目当てで常をしのいでいく形態。その大波は本を読まない層が起こす。この層は無理解だ。ちょっとくらい違っても認めない。異世界ベースはどんな細工をしようがもう飽きたの一点張りだ。異世界以外で目新しいモノが来るなら読んでくれる。大勢が読むだろう。だが、製作側が目新しいモノを片っ端から異世界に放り込むから、目新しいモノは出てこない。

 目新しいと人々の噂になる前に、誰かが異世界に放り込む。異世界モノのソレ系が先に目に留まる、また人々はガッカリする。目新しいモノは出てこない、と。


 この悪循環。


 私も、もう何年も前から異世界を舞台にした作品、予定調和なボーイミーツガールはその臭いを感じただけで、読む気が失せるような感じだなぁと思ってた。

 てんむすってのあるじゃん、あるいは変わりネタの寿司。なんでもかんでもおむすびにしたり寿司にしたり、って。いくらバラエティ豊富っていって、それしかない、という取り方だって片面では出来てしまうんだよなぁ。


 大波の規模って、何万人単位なんだろねぇ。映画興行でいうと動員数何十万てならないと採算が取れないって世界だから、一万程度の固定ファンでは話にならないっていうスケールのを業界は待ってんだよね。そこを、ラノベの多くの論客は過小評価しすぎている。一万人程度の読者じゃ業界は支えられないんだよ。

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