メフィスト、横溝正史、シエラザード

 あい、メフィストは通年の賞で、他二つは5月締め切りの賞っす。ミステリ系の。


 メフィスト狙いなんだけどもね、作品的にイロイロアッテ。ちょっと他の賞だとイロモノ扱いで落とされるんじゃないかという懸念があるんで、少しくらいキテレツなモンでも評価してくれるメフィストじゃないと、読んでもらえないかなぁという想いがあっての、メフィスト狙いっす。


 だって、描写が9割なんだもん、今回の公募作。フェイク以上に徹底して、木の葉を隠すなら森、てのを狙ったら描写9割になったというかで。だけど、特に本格系とかのミステリは人間描写よりもシステマチックだから、かなり簡素なんだよね、どれ読んでみても。描写が、文学並みにびっしりってのはまだ見てないっていうね。


 そりゃそうだろとも思うの。描写って、ネタバラシもいいとこだもん。ワトソンがものすごく詳細にホームズの一挙手一投足を思考で描写したら、ホームズが何を考えてるか、透けて見えるじゃん。今、このヒントを掴んだ、その内容はこう、てレベルでまで。フェイクの時、描写でやって初めて解かったことだけど、フェアなんてもんじゃないレベルで明け透けになるって気付いたんよな。


 それでもこれでしか勝負できそうもないと思って、今回はフェイクの時と違って逃げずに最後まで描写を押し通してさ、明け透けを逆手に取って、三人称一人視点の強みを活かして何とか書ききった、つもりなんだけど。


 だけど、こういう技巧上の狙いってのを選考時に気付いてくれるか、あるいは価値観としてアリと思ってくれる賞でなきゃ、てことなんですわな。これ、本題からズレている、人物描写主体で事件が中心でないから読みにくい、なんて言われたら、ぜんぜんこっちの狙いを解かってくれないって話になるわけだから。わざと解かりにくくしてんだよ、て辺りの機微が解かってもらえるだろうか、て。9割人間描写で紛れこんでるたった1割のヒントを捜せ、ていう趣旨なんだけど。書評家みたいな分析を促しているわけで、書評に足るものを書ける前提のわけで、ものすごい賭けに出たわけで、だからまったく自信が持てないんだけどね。orz


 こっちは、人間描写そのものを、木の葉を隠す森に仕立てようとしてるんだ、て話なわけだけど、自分がまずそれを実現できてるか、相手がその狙いをちゃんと気付いてくれるだけの器を持ってるか、それが非常に気がかりで。だって、気付く人なら気付いてくれると思うのよ、こういう試み的なものは。こっちが多少未熟でも。

 テンプレ小説なんかでも、人によっては頭から否定するでしょ、それと一緒。そこが不安で、出す賞は慎重にと思ってんのです。完璧には出来てないと思うんだけど、その不完全を見て狙いを汲み取ってくれるかどうかって、すごく重要じゃないすか、て感じ。


 だから、メフィストでないとダメなんだよ、今回の作品は。と思うのでした。




 視点主のヒロインの肉親が被害者でさ、そしたら被害者家族のリアルな心情は心穏やかではないでしょう、他人事な観察描写でいいわけ?と。警察にしたってそう、リアルな事件現場や情報収集は、模倣犯的な他事件やら同時に起きた他事件やらでごったがえすでしょうよ、フィクションみたいにシンプルに筋道一つに絞り込まれて綺麗に整頓なんかされてない、これはさすがにまだ扱えないけど、いつかやりたいと思うのよ、三つか四つ、無関係な事件がこんがらがってるって舞台。リアルの警察関係者を唸らせるようなモンをいつか書けたらいいよねー、と思うのでした。


 気付いてもらえるだろうか… わたしはただ、人間描写を叙述トリックとして使いたかったんだけど、描写というものが、書評を貰えるレベルで出来ているかどうかという点ではまったく自信がないので、できれば拾ってもらって機微の解かる編集さんと二人三脚で、完成まで漕ぎ着けたいと思っているのです。ブラッシュアップのための書き直しならナンボでもする覚悟だから。


 書評に耐える描写力がある前提での叙述トリックだから、自力じゃ限界だなぁと思ってて、だけどデビューを狙うならせめてこのくらいの仕掛けは最低限必要だろうと思うのですよ、私には専門知識とかの武器はないからね。

 叙述トリックがアリなら、ものすごくシステマチックに計算して書かれた人間描写の罠も叙述トリックの一環として認めてくれよぅ、て祈ってますわ。

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