なんのかんの言って、必要なのは「タフ」

 この年になるとね、人生で何が必要なのかって薄々解かってくんのよ。


 それはね、間違いなくメンタル面での強靭さ。


 金でも知識でも血統でもなく、メンタルさえ強けりゃどんな状況に置かれようがなんとかなる。格差社会で、もう固定化されてしまう、そういうゴタクを並べたがるのよな、社会は。それはけど、ただ、メンタル弱体化してきてる金持ち連中がお守り代わりにそう信じたいだけなのさ。権力も金も手に入れたら、人間、次は永遠が欲しくなる。その永遠が、格差社会は固定化された、という金言だ。そう信じたいの。自分たちの、子々孫々までの繁栄を信じたいのだろうね、愚かだよ。


 金と権力は反比例で人間を弱くするってのは、なんとなくでも薄々でも誰もが感じる摂理だし、金持ちも権力者も戦々恐々とするのはもはや自分ではなく、子供や孫なんだろう、因果よな。子供や孫は自分ほど出来るヤツじゃないもんな。


 ハングリー精神が大事って、これはタフでないとって話で、だけどぬるま湯育ちではなかなか難しい話だ。何かが欠けてしまうような気がしてしょーがない、てのはあるだろう。隣の芝生は青く見えるのだよね。


 格差社会は固定化される、という言説を聞くたびに、かつて教会が免罪符を販売した話を思い出すのである。そんなもので原罪の恐怖は去らないのである。

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