描写で顕著になる書き方の問題

 コンテクスト圏と知識階層の問題。


 例に挙げるなら、探偵の長々とした謎解き台詞。あれが冗長で面白くないという人が居る。片方では待ってましたという感じで楽しく読める人も居る。それをお約束と捉えているからという場合も、そもそもでそういう長い文章が心地良いという場合も、千差万別の好みってこともある。


 しかし、書く場合はどれかに絞らんと、全部の要素を詰め込むことは出来ないんよね。描写をするとなったら、描写は好かんという人だけでなく、シンプルな文体が好きという層までごっそり切り落とす覚悟が居る。それは下手すりゃラノベ層全体かも知れないってこと。


 ミステリなんかも昨今は幅広い読者層が確認されるジャンルですけども、それでも細分化すれば、それぞれ日常ミステリ系とか、社会派とか、警察クライムとかで分かれるわけですよ。


『13階段』を読む層を想定して書くのか、『掟上今日子さん』を読む層を想定して書くのかで、文章自体のやれる幅も変わるってことを言いたいわけですわ。両者をミックスして書いたら、双方の読者にそっぽ向かれるわけだから、そういうどっち付かずはまず避けないといけなくって。

 で、前者の13階段寄りにするでも、例えば心理描写をどうするか、こと細かに書くスタイルを取るのか、そこまではやらずに一人称程度で抑えるか、てのも選択するよね。三人称の場合は本当に果てしなく描写は入れ込めるから、どの程度やるかってのも考えないといけないわけですよ。んで、多量にやるでも少なくやるでも、それ相応の問題ってのが都度で立ち上がってくるというね。悩ましい……。


 自作の、『フェイク』ではこれでしくじったと思ってんだから。途中から描写がスカスカになってんのよ。読者にも見抜かれていて、イイネが付いてんのは描写過多なプロローグ辺りってので本当に失敗したなと思ったわけです。(迷ってたから)

 統一すべきだった。描写のレベルは、緻密にやった場合には減量不可ってのを学んだ次第。逆はいいのにねぇ……。(あれは、描写がだんだん減って、シンプルにすることで、場が緊迫してきたってことを表わそうとしたんだけどね。そうではなく、スカスカに、描写で力尽きたと取られていると思います)


 他にも、描写をすると決めたがゆえの問題点が目白押しですだよ。どーしよ。


 注意:描写をしなけりゃ楽かと言えば、しない場合の問題点が、する場合とはまったく違うケースでの問題が山積するのであーる、んだけどね。どっちを取っても、だよ。(描写しない方へ進む気がないので、そっちには触れないってだけね)

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