2018年
推理小説の未来
SFと同じくで、実はネタ自体はなんも枯渇も出尽くしたわけでもないのよね。
書ける人間が少ないってだけでさ。(笑
ほれ、サイエンスは専門性が極まっちゃったでしょ? 専門家すら隣のジャンルとなるとチンプンカンプン、なんてコトがザラになっちゃったわけです。だから、最新の科学を小説に落とし込んでくるには、ハードルがいまだかつて無いほど高くなっちゃってる。物理学とかの最新をネタにしようと思えば、どれだけのトコをカバーしなくちゃいけないことか。
中性子がどーたら、ですらもう古いネタだけどさ、これを利用しようと思えば周辺事情とかもぜんぶ把握してなくちゃいけなくって、そういう意味での専門性ってのがどうにも手が届かなくなった、てのがホントのトコの問題なのですな。
まったく同じ科学技術の発達しすぎって点で頭打ちになってんのですよ、推理も。
科学がこんだけ進化してんだもん、それを悪用すればいくらでも新しい犯罪は生み出せるはずなんだよね。ただ、それはやっぱ専門性に過ぎていて、読者に説明するのも大変だ、てコトになってる。
新しいトリックなんて、ほんとうは、こんだけ機械工学とかが発達したんだもんさ、いくらでもガッポガッポ作り出せていいわけだよ。ところが、それを作れるだけの専門知識を備えた作家ってのが足りないのよさ。
医療関係者だった方が作家に転向して、すごい医療トリックとか生まれてんのがいい証拠ですだよ。技術が専門に行き過ぎてて、片手間に備えるみたいなのではとても追いつかなくなっちゃったんだよ。
書き手が足りないだけなのね。新規トリックは最新技術に通じている知識人にしか作り出せないってトコにどんどん近付いてるのが問題なわけですわ。あるいは、大家の先生方みたいに、参考文献だけで何ページも埋まるくらいの勉強家にしか書けないって感じになりつつある。
門戸がどんどん狭くなってる、てのはネタの枯渇とかじゃなくって、必要知識のハードルがガンガン上がってるせい、ってことなのよさ。
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