コンテクスト問題は根深い

 んー。プロを目指している作者さんに対しての忠告なんだけどね、もっと市販で流通している小説を読んだほうがいいよ。文体が違うとこれだけ言ってんのに、まだ理解できない人が居て、どうすりゃいいんだろうとか思うのよ。


 別にね、なろう系のあの独特のコンテクスト圏ってのが、ちゃんと市場を形成していてそれが持続されていくなら何も問題はないんだよ。まず、あの文体に金を出す価値をちゃんと見出してくれる読者が、ビジネスが成り立つレベルで存在するってこと、これが十年二十年と継続すると見られることね、ジャンルとして世間に認められるかどうかってのはプロを目指すなら大事なのよ。


 あの文体でデビューした作者さんが、ちゃんとその後もファン層を獲得して、ブランドとして成り立っていけるのかどうかを問うてるのね。


 もちろん、デビュー後に文体が変化して一般的な読者層と合流してそこからファン獲得でもぜんぜんいいんだけどさ。文体変化か、読者層拡大か、どっちかなの。

 デビュー作はお布施で買うという言葉はよく聞くけどさ、二作目、三作目もちゃんと買ってもらえるの? それを懸念するわけよ。


 なろう読者って、作者じゃなくて作品に付くとか言うじゃん、その作品ってのはさ、二作目の出来が良ければとかの意味なの? 本当に?


 なろう全体でまた二作目を競争して勝ち抜いて、て意味じゃないの?


 それを心配してんのよ。一般的なデビューってさ、ブランドのデビューなわけよ。作者買いしてもらえるように、二作目、三作目の出来は気を抜けないて言われるわけ。この作者なら期待できる、て思ってもらうわけよ。

 作者が注目されるのよ、一般の市場ってのは作者に付く読者なのね。だから、文章力も言うし、理屈も細かいこと言うわけよ。個性が重視されるってのは、作品単体じゃないわけ。だから、どっかで見たような話は、多少の違い程度じゃボツを食らうのよ。テンプレが通用しないってのはそういう理屈なの。


 別にさ、記念碑的な出版で満足だとか、プロとかどうでもいいとか、Webで読まれてるから満足とかなら、どうでもいい話だから無視してくれていいよ。


 君の名は。がヒットしてさ、新海監督の他の作品まで観られるようになったでしょ、あれが一般的な読者の反応だよね。新海ブランドはどんなものかな、というんで他の作品にも手を出したわけよ。

 だけど、SNSの読者の反応はちょっと違うよね? 一つの作品がヒットして、そこから芋づる式に別の作品のアクセスも劇的に増えました、て話はあんま聞かないよ。逆はよく聞くね、ヒットしたヤツしか読まれない、てね。


 二次的だ、ていうのはそこよ。何かの身代わりなんじゃない? ていうの。作者に興味があるんじゃなく、作者も同じグループ員で和気藹々ってだけじゃないの?


 プロを目指してない人たちにはどうでもいい話だけど、問題なのよ、こっちは。


 んでさ、今回の某氏の苦言って根源にはこの問題が根深く絡んでるのよ。一般市場の文体と恐ろしく乖離してんじゃないのかい? 出版されてさ、普通は一般市場の目にも留まってさ、新規の読者が増えるのを期待するわけだけどさ、文体の乖離が激しかったら一般読者は読まないよ? それを懸念するけどね。


 ガラパゴス化してない? 古典的な作者にまで読めないって言われてるんだよ? 危機感持ったら?

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