「ラノベファンタジー」と「ファンタジー」は違う

『大作家芸大、講義中! ~おもしろいってどんなもの?~』

  https://kakuyomu.jp/works/1177354054882952799


 これに取り上げられている記事なんですが、ラノベのファンタジーの源流として「ロードス島戦記」と「スレイヤーズ」を挙げておられたので、思い出したことがあってですね。当時現役でフツーに読んでましたんで。


 これ、ロードスとスレイヤーズが、確かに軽い読み物として大人気だったのは覚えてますが、ファンタジーといわれて代表格に挙げられるのは「キマイラ」の方だったように思うのですね。それと中間点で「ヴァンパイアハンターD」とか「幻魔大戦」とか。「狼の紋章」もシリーズで好調だったと思います。

 これらはロードスやスレイヤーズが『綺麗なRPGゲーム』だとすると『エログロ洋画』というイメージです。大人気のバイオハザード映画版とかですね、あれらと同じ匂いがあります。


 私の感覚だと、むしろこっちが「大人向け」のファンタジー作品であり、それはもう文体からが違うという感じがしています。文体でいうと京極作品も入りそうです。


 実は昨日も洋画を一本観てたんですが、『パールハーバー』ですけどね、これのメイキングと出演者インタビューでもやはり、この手の作品では注意点として挙げている事は一緒なのですよ。

『こういう話はリアリティが勝負だから』

 これに尽きるようなのですね。とにかく現実味を持たせる為に細部にまで拘る。この姿勢は、バイオシリーズの原作であるゲーム版バイオでも言われていましたし、昨今の据え置きゲーム(プレステとかWiiとか)では主流はこれでした。モンハンも元はと言えば、グラフィックや狩猟の形態をリアルにした事でウケたゲームです。


 絵の世界でも、大元でデフォルメか写実かの二派に分かれるのが最初の気がしますので、それはゲームでも小説でも同じだろうと思います。


 一番大元でどちらなのか、これはベースの問題です。ラノベファンタジーは前者であるデフォルメの異界物語であり、ファンタジーは後者の写実の異界物語です。デフォルメのベースを持つ異界モノが差別化の為に写実を用いる事もあるでしょうが、それでもベースがどこかを把握していないと空中分解を起こし、どっちつかずの物語に成り果てるでしょう。


 私が常々言い続けているのは、この違いの事です。文体が違う、と言ってるのです。それは恐らく、最近の文学や文芸がラノベ寄りになってきた文体と、ラノベが文学文芸に寄せていったつもりの文体でも違うはずです。

 文学文芸の側はラノベを研究し、その強みを自身の側に取り込もうとしていますよね、私が読んだ「コンテクスト・オブ・ザ・リビングデッド」はそういう実験作だったし、昨今話題になった作品の多くはそうだと思いますし、今一番の話題である「蜜蜂と遠雷」もきっとそうでしょう。確実に侵略姿勢です。


 ラノベやWeb小説側はどうなんだろうか、と感じますね。

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