第三章

3-1『サミュエルⅣ』

 僕が再び目を覚ました場所は、ダヴェッド城の側に建つ、グラハム・テルファー卿の住まいの寝台の中で、とうに夜半を過ぎていて、あれから丸一日たった夜であることを、テルファー夫人に教えてもらったあと、そんな夜中にも関わらずとても美味しい鮭のパイと豆の煮汁、そしてもちろん、ぶどう酒などを振る舞って頂いてから、サイモンは牢へ、ダニエル商人一家はケレディオンへ、行った事を聞いて安堵した後、またぐうすか眠って、こうして真っ昼間の日差しの中で起き出して、背伸びをして、やっぱ人助けとかはするべきだよね! なんてことを、ひとり呟きながら、それにテルファー夫人の料理は美味しいから、今日の夜も楽しみだなぁ、じゅるる、ってな感じでよだれを拭いていたのは、確か、大きなあくびをしたぐらいの前だったような気がするのに、グラハム卿が帰ってきて、伯を助けたのを、改めてものすごく感謝してもらったあとに、突然、ほんとに突然「私めと、手合わせして頂きたい」と、ものすごっく深刻な顔で言われてたりした上に「理由は、私に勝ってから聞いてくだされ」と押し切られ、いつの間にやら館の庭の真ん中で、目の前のグラハム卿は鎖帷子を着込んで木製の剣を構えていて、僕も斧槍に見立てた棒を持たされて――まあ、自分で鎖帷子を着たりもしてるのだけれど――なぜか対峙していたりする。


 なんで? なんでこうなってるの? ってなってる。


 いまここ!

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