第2話昔々、あるところに
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがすんでいました。
それはおいといて・・・
都では最近、毎夜現れる鬼たちに困り果てていました。
鬼たちは、夜になるとどこからかやって来て、人を襲い食べてしまうのです。
ある日、そのうわさを聞いて、暇で勇気のある若者が、夜の都に集まってきました。
桃太郎、一寸法師、金太郎の三人です。
桃太郎は、鬼ヶ島で鬼退治の経験がありました。その後仲間の裏切りにあって宝を奪われ、今は貧乏暮らし。一攫千金を狙って都にやって来ました。
一寸法師も鬼退治の経験がありました。打出の小槌で人並の大きさになりましたが、結婚した姫に浮気がバレて、元の大きさに戻され、今は別居中です。
田舎の山奥から来た金太郎は、相撲で勝った熊にまたがって都にやって来ましたが、熊との戦いで受けた傷が化膿して、今にも死にそうです。
鬼が現れました。
はじめに、桃太郎が挑みました。
仲間のいない桃太郎は、大した剣術もなく、あっさり殺されました。
次に金太郎。
力自慢の金太郎も怪我には勝てませんでした。弱った体では鬼に太刀打ちできず、力尽きて惨敗。斧を奪われて首を切られました。
残ったのは一寸法師。
小さい体で鬼に近づき、不意打ちを狙いましたが、鬼も馬鹿ではありません。同じ失敗を繰り返さないのが鬼のモットーです。
鬼は火をおこし、あたりを燃やしはじめました。一寸法師は慌てて逃げましたが、体が小さいのですぐに逃げられません。結局火の勢いに勝てず焼死しました。
教訓。
勇気だけでは世の中渡って行けない。
一度の成功が、人を堕落させることもある。
怪我をしたら治療しろ。
めでたし めでたし
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