◇後書きという名の無駄話◇
※タイトル通り、作品の後書きのフリをして、徒然なるままに関係のない事を書き綴っているだけですので、読後感を害する、ロリータになど興味ないという方は、申し訳ありませんがブラウザバックをお願い致します。
まずは本作を最後までお読み頂きありがとうございます。
吉田戦車先生の「はまり道」で言っていた「やらなくて済むゲームがやりたい」という言葉の意味が、今更分かるようになってきて悲しい夏希のたねです。
まず、誤解されないよう最初に言っておきたいのですが、私は俺TUEEE物もハーレム物も嫌いではありません。むしろ大好物です。
そもそも、娯楽作品はどれも多かれ少なかれ、主人公の無双要素を含んでいます。
例えばさいとう・たかを先生の「ゴルゴ13」とて最強無敵の完璧超人であるゴルゴが、バッタバッタと敵をなぎ倒し、美女とセクロスしまくる無双物と言えるでしょう。
(もちろん、面白い理由がそれだけだったら、あんなロングセラーにはなっていません。政治、宗教、軍事、経済など、私達が普通に暮らしていたら知る機会のない、様々な『知らない情報』をもたらしてくれる事こそが、ゴルゴ13の大きな魅力です。『人は知識を得る事に快感を覚える唯一の生物』とか誰かが言っていましたし)
ですから、俺TUEEEやハーレムが気に入らないという時、原因は主人公が最強な事でもモテまくる事でもなく、『その事に説得力が無い』『納得できない』というのが理由だと思います。
例えば、『地球を破壊できるほど強力な超能力を持った四歳児』というキャラが主人公だったとして、それを皆様は納得できるでしょうか? 楽しいと受け入れられるでしょうか?
コメディならありだと思いますが、この四歳児が「やれやれ、どいつもこいつもバカばかりでこまるな~」とか言って、高校生や社会人を叩きのめして説教し、幼稚園児から熟女まで様々な美女をコマすお話だったら、「舐めてんのかこのガキ、ぶち殺すぞ!」と怒りしか湧かない事でしょう。
(二十代の男が事故死して四歳児に転生、とかなら需要はありそうですが)
ですがこれが、『無数の戦場を潜り抜けてきた、渋い四十歳の傭兵』とかが、時に窮地に陥りながらも大活躍して、美女を射止める話だったら、素直に納得して楽しめると思います。
これは『四歳児=普通は弱くて人生経験もない子供』が強いという、現実と乖離しすぎた設定に対する拒絶感であり、年上の読者から見て年下の四歳児が生意気で気にくわないという、単純な嫌悪感が原因でしょう。
逆に『四十歳の傭兵=一般人より強くて当然、人生経験も豊富』なので、活躍しても違和感がありませんし、大概の読者から見て年上なので、理想の大人像として憧れを抱く事はあっても、「年上だから生意気だ」なんて間違っても思いません。
(自分の両親や先生と同じ年代なので、忌避感を抱く層は居ると思います。ですので、主人公の年齢は狙った読者層と同じにするというのが、創作物の基本となっているのですね)
少し話が脱線した気がしますが、ともあれ、私は俺TUEEEもハーレムも好きです。
そう、人が書いた物を読む分には全く問題がないのです。
ただ、これが自分で書くとなると、急に筆が鈍ってしまうのです。
理由は二つあります。一つは単純に『恥ずかしいから』です。
『最強の力を偶然手に入れて、押し寄せる敵を打ち倒し、数多の美少女を腕に抱いて高笑いする』みたいな話を書いて、それを読んだ読者の皆様に「
そのため、「英雄は他に居るから、主人公は最強じゃないから」と言い訳をしておいて、結局やっている事は主人公の無双というのが、現在連載中の『
そして、二つ目の理由が最も深刻なのですが、俺TUEEEやハーレムというよりは、『売れ線の王道テンプレ』と言った方が分かりやすいでしょうか。
そんな『王道テンプレを書きたいという意欲が湧かない』のです。
これ、何故かと理由ずっと考えていたのですが、最近ようやく分かりました。
ぶっちゃけますと、『自分が書かなくても、もっと凄い傑作が既にあるから』でした。
少し話は逸れますが、人が物語を書こうと思う最初の動機は『二次創作』だと思うのです。
そもそも二次創作って、例えば「マッチ売りの少女」を読んで、「何でこんな可哀そうな子が死ななきゃならないんだ!」と怒りを覚え、「少女が幸せになる物語を書いてやる」といった感じで、物語を読んで感じた不満点、こうすればもっとも面白くなるという発想を、形にしたいという欲求から生まれるのだと思います。
(薄い本の主流であるR18も、「本編にエロが無いから俺が描いてやる!」という欲求不満が……いや、これは苦しいか)
生まれた不満や発想に沿って、元作品を改変した物が二次創作。
ですが、千の作品を読んで生まれた万の発想を、一つの作品に纏めたらそれはもうオリジナルです。
(あくまで、作品を読んで生まれた『不満点や発想』をであって、改善もせずに元ネタを持って来たらそれはパクリですけれども)
それこそ神話、昔話、童話、英雄譚など、先人の残した膨大な物語の積み重ねがあるからこそ、二十一世紀はこんなにバラエティ豊かな物語が――とまた話が逸れましたね。
で、欲求の話に戻るのですが、先程の例でいくと「マッチ売りの少女」を読んで、「マッチ売りの少女」を書きたいと思いますか? 思いませんよね。
「新説・マッチ売りから女王までのし上がった少女」なんて二次創作なら書いてみたいと思います。
いっそ異世界転生・俺TUEEEの作法に則り、「童話の世界で成り上がり・マッチ売ってた子を救って嫁にしたった」とかでもいいです。
また、マッチ売りの少女で感じた不満や発想を、オリジナルとして昇華して書かれた、悲劇をぶち壊して女の子の涙を拭う、格好良い二人組の物語とか大好きです。
(何の事か分かった方には、抽選で100ガバスをプレゼント……しません)
ですが、話の筋が全く変わらず、少女が結局死ぬ物語なんて書きたくありませんよね?
だって、「マッチ売りの少女」を読みたいのであれば、自分で書く必要なんてなく、元から有る物を読めばいいだけですから。
はい、これが『王道テンプレを書きたいという意欲が湧かない』の理由です。
今まで小説だけでなく、漫画、アニメ、ゲーム、映画などで沢山の王道テンプレを楽しんできましたし、これからも楽しませて貰うと思います。
ただ、沢山の素晴らしい作品に出会ったからこそ、それと同じ物を書きたいとは思わないのです。楽しみたければ自分で書かず、それを読めば良いだけですから。
この結論に至った事で、同時にある真理に至りました。それは――
「小説家を目指すなら、沢山の物語を読めと言われるが、沢山読み過ぎると売れ線の王道テンプレを書く意欲を無くすのだよっ!」
「な、なんだってぇぇぇ―――っ!?」
というのは半分冗談ですが、半分は本音です。
誤解されないよう言っておきますが、これはあくまで『王道テンプレを書きたいという意欲』だけのお話です。
面白い小説を書くために必要な文章力、アイディアの引き出しは、やはり沢山の作品に触れないと育ちません。
それに、王道テンプレから外れていても、大人気になった作品は沢山ありますので、小説家に成れないという話でもありません。
また、自分が書きたいと思わなくても、読者のためや生活のために、もっと率直に名誉欲や金銭欲でも構いませんから、売れ線の王道テンプレを真っ直ぐ書けてこそ、本当のプロ作家なのだろうと思います。
(そういう意味では、自分はアマチュアなんだなと痛感して凹んでおります……)
まぁ、長々と何が言いたかったのか申しますと、こんな捻くれ者のポンコツ作者が書いた物語でしたが、最後までお付き合い頂き本当にありがとうございました。
追記・年齢が低いキャラほど可愛く書ける病を患っていますが、別に私はロリコンではありません。
【短編】異世界で俺TUEEEしようとした俺が地獄に落ちるまでのお話 笹木さくま(夏希のたね) @kaki_notane
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