第44話退院(銘々に命名)-6

式が終わり、みんなそれぞれ写真を撮ったり、話し込んだりしていた。俺の周りにも何人かの生徒が集まっていた。

そこへ少し離れた場所に相川がやって来て、俺に向かって叫んだ。

「受験に失敗したの、センセーのせいじゃ無いからね!やりたい事見つけたんだから!あの学校じゃやりたい事出来ないから行かないって決めただけなんだから!」

受験に失敗した事は残念だったが、自分でやりたい事を見つけられた事は喜ばしい事だ。

「相川!やりたい事って、何なんだ?!」

「センセーになんか、教えないよ~だ!」

相川はそう言って笑いながらあかんべえをして走って行ってしまった。

「何だったんだ?最後まで嫌われてたんだなぁ、俺……」

その様子を一部始終を見ていた校長があきれたような表情で一言、言った。

「多田先生は、そのままが良いのかも知れませんねぇ」

「まったくです」

教頭までもがあきれ顔で頷いていた。


こうして俺の一年近い怒涛のマタニティライフは幕を閉じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る