第34話10か月(ジンと来る陣痛)-2
次の日の朝、何だかお腹の調子が良くなかった。何度もトイレに行っては落ち着くといった感じだった。
「何か調子悪いんだよなぁ」
「何か悪い物でも食べたんじゃないの?こんな時に、大丈夫?」
「それがさ、定期的にお腹が痛くなって、最初はトイレも出てたんだけど、そのうち痛いだけになって来て……。だんだん痛みが強くなってくるし、間隔も短くなって来てるような……」
「ん~、変ねぇ。私も同じ物食べてるのにね。まさか……!陣痛だったりして!」
笑いながら静流が言った。
「まさか……。まだ予定日まで、まだ結構あるだろう?」
「でも……」
「っっ……。まただ」
「ねぇ、ちょっと痛みの間隔を計ってみましょうか?」
それからしばらく二人で時計とのにらめっこになった。
時間は結局は十分間隔だったり、それ以上だったりでまちまちだった。
「でも、一度教授に相談に行きましょう」
「そうだよな。どのみち手術の日を決めてもらいに行かなきゃいけないんだし」
「私、タクシー呼んでくる」
「ああ、そうしてくれる?」
(静流の運転じゃ万が一の時困るしなぁ……)
「ん?何か言った?」
「いいや!何も!」
俺達はタクシーで病院へと向かった。
「前駆陣痛のようですねェ」
診察した教授は神妙な面持ちで言った。
「理君、どうやらここに来て胎児が急激に成長してきているみたいなんですよ。なので私としては出来るだけ早く、手術をする事をオススメしますねェ。とは言っても色々と都合もあるでしょうから一度学校の方とも相談してきてくださいね」
「はい」
「理君」
「はい?」
「おそらく次に陣痛が来た時が、本番ですから。もしそうなった場合は緊急に帝王切開しますから、心しておいてくださいね」
「はい……」
その足で俺は学校に向かい、校長に話に行った。
「……と、いう事ですので大変申し訳無いんですが、急に入院となった場合にはよろしくお願いします」
「わかりました。無事、元気な赤ちゃんを産んでくださいね」
校長は快く了承してくれた。
それから何日かは何事もなく、穏やかな日が続いた。
そしてとうとう、その日はやって来た。
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