第26話 登場人物をつくる

 皆さま、いつも ありがとうございます。


 今回は猗綺子の創作つれづれ第一回(?)を。


 それは。

 登場人物が先か、物語が先か。


 私の場合、物語が先のことが多いです。

 夢に視たり、思い浮かんだりした物語に合う登場人物をつくっていきます。


 容姿。性格。特徴。そして名前。

 できるだけ細かく作りこんでいきます。


 名前については、結構こだわります。

 あまりキラキラネームと呼ばれるものは好きではないのですが、ありふれた名前にも心を惹かれないので、なかなか難しいです。ただ、キャラクターの人品に合った名前を辞書などで調べて考えるのです。


 例えば、『La Catena d'innamorarsi』の結架。姓から考えると、「折れた橋を結び架ける」者ということになります。彼女の、周囲の人々への深い愛情と心配り、本来の人好きする性質を表しています。


 結架ほど顕著ではなくとも、その人格に相応しい名前を持つのが、集一でしょう。意識も、人々の心も、ひとつに集める。オーボエという楽器の独奏者ソリストに相応しい名前です。と、自画自賛。


 それから、名前を決めていくうえで決してしないと決めていることがあります。


 それは……。


 国をごちゃごちゃにしないこと!


 主人公がヴォルフガング(独逸ドイツ)で、ヒロインがエリザベス(英国イギリス)で、ライバルがアリステイディス(希臘ギリシャ)、サブヒロインがクワニャウマ(米国原住民インディアン)。

 どんな言語の国だ?

 ──ってことになりますよね。


 同じ国家に属する人間の名前は、各国混在させないこと。


 よって。

 主人公がクリストファーで、ヒロインがエリザベスで、ライバルがランバート、サブヒロインがヴィクトリア。すべて英語圏の人名です。

 はい、統一感が出ますね。現実的ぃー。


 もちろん、現代のように国際化が進んでいる世界により、出身国が違うの、といったような設定上の自然な事情があれば、話は別です。


 しかし、ファンタジーなどで明らかに同一国の同時代、同種族の存在なのに、言語的に混ぜこぜの名前を並べられると、私のようなコダワリの強い人間は、「どんな言語体系だ」と興ざめしてしまうのです。まあ、上記の例は極端なものですが。


 ヨーロッパ言語体系は(とくに系統的に祖語が同じであれば)、異国であっても同じ名前が使われています。伝統的な聖人の名前や神話の登場人物の名前などですね。そうした下敷きがあればいいのです。しかし、そうした下敷きもなく、国際交流の進んだ現代が舞台であったら自然に思えるものでも、中世的雰囲気の舞台では途端に嘘っぱちに思えるのです。これ結構、要注意。


 小説とは、大いなる嘘です。

 華麗なる虚偽です。

 それは、そうなのだと思います。

 だけれども、嘘を本当に思えるほど基盤をしっかりリアルにしておかなければ、その嘘が魅力的にならない。

 だから、キラキラネームをリアルに思わせるほどの描写力と文章力がなければ、手を出してはならないと思うのであります。

 それは設定でも同じですね。

 荒唐無稽な展開を現実的に思わせるには、涙ぐましいほどの細かいリアルな表現力が必要になるのです。



 ──さて、ここで、お礼があります。

 募集させていただいたエッセイネタに、リクエストを頂戴いたしました!

 なんて嬉しいことでしょう。

 お読みいただいているだけでなく、わたくしなどの呟きに関心を持っていただいて、感激です。深く感謝を申し上げます。

 次回、いただいたリクエストの話題について。語らせていただきまっす♪

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