第6話 気ずくグログロイズム
世界のヘソと言われている場所にある国家に本拠地を持ち、世界中にチェーン展開をしている、怪盗グログロイズムにとって初の敗北は、銀座みゆき通りにある銀行の窃盗事件であった。その窃盗事件の責任者 、支部長の九利西瓜(くりすいか)は、
「やべー!俺は東京湾に、沈められる。はやく犯人を捕まえて八つ裂きにし、その写メを本部に送らなきゃ」
鬼の形相で頭にビッシリと汗をかき叫んでいた。
銀座みゆき通り銀行支店からくすねてきた、現金格納用ジュラルミンケースには、最近いつも新聞紙が詰まっていた。グログロイズムにとって、その被害額は
100億円を越えていた。
「被害額はお前の生命保険で返せ」と本部から、九利西瓜のところに、ラインが届いている。
銀座みゆき通り築地に近い、とあるビルの地下15階で、グログロイズムの緊急幹部会議が開かれていた。
「われわれが設置した隠しカメラを分析したところ、とくにふしんなことは見当たりません。あえて一つ気になることといえば、札束が新聞紙に置き換わったころから、変な爺さんが隠しカメラに映り始めたことです」
若手幹部の雑木帯末(ぞうきたいまつ)は、自分こそ支部長の才覚を持っていると思っている。
「よし、この爺を調べろ」と、九利西瓜が絶叫する。
「無理」
九利西瓜が雑木帯末を睨みつける。
「無理とは何だ。調子のるなよ」
「だって、臭い」
「いいか、俺の命が掛かってんだ」
「別に何か?」
「臭いぐらい我慢しなさいね」
「我慢できるレベルじゃないんだよね」
幹部会議で烈しい議論が続いたが、結局清だら爺を調べ、怪しい動きがあれば、すぐに消せということになった。
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