第45話 再建手術の傷が開き感染して入院
気持ちは前向きだったが3月の終わりイースターの日に感染症で入院した。
朝パジャマの胸の当たりが濡れていた。驚いて見てみるとなんと縫い目が開いて血が出ていた。小さい点のような穴から、中に黒く光っている物が見えた。これはウォーターバッグだったらしいが、その傷から感染しているようだ。
ERに行き、注射の時に血管に針が入らずに何回も刺されて思わず泣いた。後何回こんなこと繰り返すのだろうかと思いながら。もう泣かないと思っていたのに。抗生物質を入れながら翌日開いた傷を2針だけ縫う。
ドクターは「このまま様子を見るけれど、この後も悪いようならインプラントを取り出す」という。放射線をしていたのでやはり皮膚が固く薄くなっているらしい。
また入院。もう病院は嫌だ。夜もうるさくて眠れない。翌日さらに4針縫ったけれどそこも痛い。今度は大きいホッチキスのような物を使い、ガチャンと留める。
具合が悪くなりナースコールをしても、しばらく誰も来てくれなかった。
やっと退院できてホッとしていたのだが一週間後になんと一センチ位大きく開いていた。ホッチキスの針もぶら下がっている。 皮膚が固く弾力もなく、古いゴムタイヤのようで、どうしてもくっつかないのだった。
翌日に入れ替える手術か、もしくは決めていた卵巣の手術の時に取り出してしまうか話し合うという。
もう嫌になり、情けなさと辛さといろいろな感情が押し寄せる。
こんなこと繰り返す私ではなく、新しいワイフと新しいママと楽しい人生を送って欲しい、と思ってしまった。泣きながら夫についそう言った。そして
「直らないボロい中古車捨ててよ。新品のかっこ良い車買ってよ」と言ってしまった。すぐに意味がわかった夫は
「いやだよ、傷だらけでも歴史がある中古車が好きなんだ」と言ってくれた。
言い方が面白くて笑ってしまったけれど、まだこれから卵巣の手術もある。体と共に心までボロボになっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます