第5部 再建手術

第39話 ティッシュエクスパンダー挿入


3月30日


ついにこの日再建手術の為の手術をした。左乳房全摘出手術をしてから約一年経っていた。


左胸の皮膚の下にティッシュエクスパンダーというものを入れた。これは簡単に言うと水風船のようなものを皮膚の中に入れて組織を拡張する手術だ。この袋の中に徐々に生理食塩水を入れて皮膚を少しづつ伸ばしていく。


色々調べると大変な手術ではないらしいのだが、私の場合は皮膚が癒着していたのと皮膚も火傷のあとのケロイドに近く固まっていて、とても時間がかかった。


もしこれほどの時間や痛みをともなうと知っていたら、きっと手術はしていなかったと思う。再建前はすごくワクワクしていたので、とてもがっかりした。


全摘手術というのは乳房を丸ごと切り取ってしまう手術だ。 そして上下の皮膚を縫い合わせる。男性と同じような平らな状態になるので、乳房を作るのに皮膚が足りなくなる。なので、皮膚の中にエクスパンダーを入れて少しづつ皮膚を伸ばしていきスペースをつくるのだ。伸びたら、この袋を取り出してシリコンに入れ替える。


 今回は楽な手術だと思っていたのだけど、すごく辛かった。病院には10時間以上いた。フラフラで歩けないので車いすで車まで移動した。まだ立ち上がることもできない。帰ってからも30時間位ずっと吐き気が続いた。やはり手術は手術なのであった。


翌々日に病院へ行きチューブを抜いて検査をしてもらう。今回は調子が悪い。2回めのリンパの手術はとても楽だったので、ティッシュエキスパンダーを入れるだけだから今回も楽だろうと思っていたのだった。


放射線から5ヶ月経っていたのだけど、皮膚はケロイドのような状態で、薄くカチカチだ。それを無理に伸ばそうとしているので、とても痛みがある。


嫌な予感が頭をよぎっていた。


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